11年後のレッドリスト|アミメネコメガエル:安全の判定が、盾を砕く夜【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|アミメネコメガエル:安全の判定が、盾を砕く夜【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

今回は、アミメネコメガエル(学名:Pithecopus ayeaye)が、もしかすると「地球の神経細胞」みたいな存在なのかもしれないよね、っていう話です。

2014年の図鑑では、「ごく限られた場所にしかいない」ってことで心配されて、評価は「CR:深刻な危機」でした。
ところが最新のレッドリストでは、「思っていたより分布が広い」ことがはっきりして、「LC:低懸念」へと一気にランクが下がったんです。

だからアミメネコメガエルは今も、言ってしまえば「安全の判定が、盾を砕く夜」みたいな状態なんじゃないかな、と思っています。

この記事は短くて、5分くらいで読めます。
よかったら、最後まで読んでください。

※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2021評価(2023年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Pithecopus ayeaye

LCに下がったのに、油断できない理由|分布拡大と減少傾向のあいだで

⬇︎アミメネコメガエルの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

基本情報|アミメネコメガエル(英名:Reticulate Leaf Frog)
項目情報
和名アミメネコメガエル
英名Brazilian reticulate leaf frog / Reticulate leaf frog など
学名Pithecopus ayeaye(旧属名としてPhyllomedusaで扱われることもある)
分類両生類・無尾目・Phyllomedusidae(葉ガエル類)
分布ブラジル固有。自然に分断された分布で、主に南東部の山地や高原域に点在
主な生息地標高900m超のカンポス・ルペストレス(岩山草原)を中心に、開けた高地環境の小川や深い淀み・湿地縁の低木上など
大きさ体長(SVL)約3〜4cm(オスの平均33.7mm前後)
体重約2g前後(オスの平均2.29g前後)
寿命明確な平均寿命は不明。ただし標識再捕で13か月後に再確認された個体があり、複数の繁殖期を生きる可能性が示唆される

特徴

  • 名前の扱い:属の整理によりPithecopusとして扱われる。資料によっては旧属名(Phyllomedusa)表記で出てくることがある
  • 希少性:分布は自然に分断されており、進化的に異なる3つの単位が認識されている。地域によって遺伝的多様性が低い可能性も指摘される
  • 保全状況:ブラジル国内評価ではLC(低懸念)だが、世界的評価(IUCN)ではCR(深刻な危機)として扱われてきた経緯がある
  • 生活史の雰囲気:小川沿いの低木を使い、葉を折りたたんで卵を守るタイプの繁殖をする

生態と行動

  • 生育環境:主に標高900m以上のカンポス・ルペストレスや高原の開けた環境で、小川の縁や深い淀み、湿地周辺の低木・小木上で見られる
  • くらし:繁殖期にはオスが決まった場所に集まり、同じ発声場所を繰り返し使う(サイト・フィデリティ)が報告されている
  • ふえ方(繁殖):低木(例:Leandra属)の葉を折りたたんだ中に卵塊を収める。葉の毛(トライコーム)が卵の固定や乾燥防止に役立つ可能性がある
  • 繁殖の場所:小川や水たまりに近い場所が重要で、水域の状態に強く影響されるタイプ
  • 脅威:森林伐採・農牧業の拡大による生息地の劣化、水系の農薬汚染。場所によっては渓流沿いの農牧業や鉱山開発が直接の圧力になる
  • 追加のややこしさ:進化単位の一部は保護区に入っていない/遺伝的多様性が低い可能性があり、局所的には脆さが残る

出典

最終評価2021年:アミメネコメガエル「LC:低懸念」

アミメネコメガエルはセラード(熱帯林サバンナ)と大西洋落葉林の境界で見られ、ふ化したときにオタマジャクシが流れ落ちることができるよう、滝や池の上方にある木々の葉に卵を産む。この種は採鉱活動と火災による生息地の損失におびやかされており、採掘や農薬による汚染もまた好ましくない影響をもたらす。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

観点以前(図鑑・旧評価の前提)現在(IUCN 2021評価が2023版に掲載/最新ページの表示)
レッドリスト区分絶滅危惧IA類(CR)として扱われていた。図鑑では「ごく限られた場所だけにいる」という前提で、分布の狭さが最大の弱点になっていた。低懸念(LC)。ただし「安全になった」という意味ではなく、IUCNページ上では個体群傾向が Decreasing(減少)になっている。
劇的なランクダウンの主因(改善に見える理由)以前は「ほぼ1地点(または少数地点)しか知られていない」前提だったため、分布域の狭さによりCR基準に乗りやすかった。調査が進み、新しい産地が見つかったことで「分布が想定より広い」ことが明確になり、地理的要件の面でCRに当てはまらなくなった、という流れで説明されている。 SALVE/ICMBioでも、分布は比較的広く、脅威が個体群全体を短期で崩壊させるほどではないとしてLCになっている。
分布イメージ(どこにいるか)「Poços de Caldas(ポソス・デ・カルダス)周辺の非常に限られた場所」という理解が強く、分布の狭さがそのまま絶滅リスクとして扱われた。ブラジル南西部ミナスジェライス州と、サンパウロ州側の隣接域にも記録がある。 SALVEではミナスジェライス州南部とサンパウロ州Pedregulhoの記録、EOO(Extent of Occurrence)66,283 km²が示されている。
「増えた」わけではない(重要ポイント)CRというラベルが「今にも消えそう」と直結しやすく、直感的には“数が少ない”印象を強く与える。ランクが下がった主因は「回復して増えた」よりも「実はもっと広くいた(見つかった)」側が大きい、という整理になる。発見で分布要件が外れた、という明記がある。
脅威(何が苦しいか)鉱山開発や人為的火災による生息地損失が強調され、分布が狭いぶん一撃が致命傷になりやすい構図だった。農牧業拡大、伐採、水系の農薬汚染、採掘などの圧は続いている(SALVEの脅威整理)。 LCでも環境側の問題が解決したとは限らない
保全の見え方(保護区など)狭い範囲に集中するため、保護の有無がそのまま生死を左右しやすい。複数の保護区に入ることで“全体としては”リスクが下がる一方、地域ごとの事情は残る。SALVEでも「保護区に複数入る」ことがLC判断の根拠に含まれている。 ただし、進化的に分かれた単位(ESU)が十分守られていない可能性も論じられている。
学名が違う理由(図鑑 vs 現在)図鑑では Phyllomedusa ayeaye 表記。現在は Pithecopus ayeaye として扱われるのが一般的(SALVEの分類、旧名欄)。 同じ種を指していて、分類体系の更新で属名が動いた。
2021と2023の関係(評価年と公開年のズレ)年号がズレると「評価が2023に改訂された?」と見えやすい。IUCNは「最終評価日(Last assessed)」と「掲載・版(citationの年やRed List version)」がズレることがある。最終評価が2021のままなら、2023は“改正”より「その版に掲載・整理された年(公開年)」として読むのが自然。

出典

本種は、旧評価ではPoços de Caldas周辺の局所分布と開発圧を根拠にCRとされたが、その後の調査でミナスジェライス州およびサンパウロ州の複数地点に分布することが確認され、分布域要件を満たさなくなったためLCへ改訂された。なお個体群傾向は減少で、農牧業・汚染・採掘等の脅威は継続する。分類学的にはPhyllomedusaからPithecopusへ変更され、評価は2021、版としては2023に掲載された。

⬇︎アミメネコメガエルの保護活動の種類です。必要なら開いてください。

保護活動の種類内容の概要
生息地の保全(渓流・湿地・周辺植生)繁殖に必要な小川・深い水たまり・湿地状の場所と、産卵に使われる葉のある植生を守る(伐採や改変を避ける、緩衝帯を設けるなど)。
開発・採掘の管理(鉱山・道路・観光)採掘や造成で生息地が削られないよう、開発の回避・規制、影響評価、採掘後の復元(リハビリ)を進める。
火災対策(山火事・野焼きの管理)高地の草地・疎林での火災リスクを下げるため、火入れ管理、延焼防止、監視・早期消火体制を整える。
水質保全・汚染対策(農薬・鉱山排水など)農薬・除草剤や鉱山由来の汚染が繁殖水域に入らないよう、流域管理(使用量の抑制、流出対策、簡易水質モニタリング)を行う。
保護区の整備・管理強化生息地を含む保護区(国立公園・州立公園など)で、保全目的に沿った管理を強化し、必要なら保護区の追加・拡張も検討する。
研究とモニタリング分布の再確認、繁殖地の継続調査、個体群の増減の把握、脅威(採掘・農業・汚染など)の影響評価を継続する。
遺伝的多様性の保全(保全単位の考慮)地域ごとの進化的に重要な集団(保全単位)を意識して、保護区が十分にカバーできているか点検し、抜けがあれば重点的に守る。
保全計画(PAN等)に沿った実行ブラジルの両生爬虫類保全の枠組み(PAN)など、既存の行動計画の中で優先度をつけて施策を進める。

出典

最後に

読んでみて、どう感じましたか?

「分布域要件を満たさなくなったため、LC(低懸念)へ…」ってあったけど、これってつまり「数は少ないかもしれないけど、思ってたより広い範囲にいたんだね」って解釈で合ってる?

あと気になったことが、保護活動とかやったことないから想像なんだけど、CR(深刻な危機)からLC(低懸念)みたいに一気に下がると、「もう危機じゃないんだね。じゃあ支援や予算はカットで」みたいになりそうで怖いんだよね。

それ、なりそうだよね。
このへんの資金の流れと保護活動がどう結びついてるのか、正直よく分かってないから、ちょっと調べてみるね。


論点仕組み(資金・政治経済が動くロジック)現場で起きうること(メリット/リスク/注意点)
ランクが下がる(改善する)=支援や注目の優先度が下がる、という現実保全の現場は資金・人員・時間が足りない前提で動く。限られた資源をどこへ振るか、優先順位付け(保全のトリアージ)が起きやすい。ランクが高い(CR/EN/VU)ほど「緊急」と見なされやすく、提案書・助成金・寄付の説得材料になりやすい。一方でLCになると、少なくとも「緊急枠」から外れたように扱われ、資金が別の対象へ移る可能性が出る(資金がゼロになるとは限らない)。
「数は少ないかもしれないけど、思ったより広い範囲にいた」解釈の妥当性IUCNのカテゴリー変更は、個体数が増えたからではなく、情報が増えた(分布が広いと分かった等)だけでも起こりうる。カテゴリは優先順位付けそのものではなく、相対的な絶滅リスク指標。「見つかったから安全になった」と誤解されやすい。実際には、個体群が減少傾向のままでも、分布情報の更新だけでリスク判定が変わることはあり得るので、ランクだけで安心しない、という読み方が必要になる。
IUCNレッドリストは誰がお金を出す仕組みか(IUCNは資金提供者ではない)IUCNレッドリストは、種の絶滅リスク評価と関連情報を整理・提示するデータ資源で、IUCN自体が直接「この種に資金を配る」という仕組みとは別。レッドリストは科学的情報として、政策・計画・資金提案の根拠に使われる。「格付け会社」「投資家向けの四季報」という比喩は、現場感覚としては当たっている面がある(資金を出す側が参考にするため)。ただし、レッドリストのカテゴリーだけで機械的に資金配分や法的措置を決めるのは不適切、という注意点も明示されている。
資金の動き(CRだと集まりやすく、LCだと他へ回りやすい)資金提供者(政府、NGO、財団、動物園、大口寄付者など)は、提案の正当化・緊急性・成果見込みで投資先を選ぶ。レッドリスト情報は資金提案(fund-raising)にも使われるとされる。LCへの移行は、緊急性の旗が下りたように受け止められ、調査費・監視費・広報費が相対的に削られやすい、という懸念は現実味がある。ただし、LCでも「個体群減少」や「脅威の継続」が明確なら、別枠(地域の保全、研究、影響緩和)で支援を組み直す余地は残る。
政治・経済との絡み(開発側にとってLCが意味するもの)開発許認可や環境影響評価は国・州の制度に依存し、IUCNカテゴリーがそのまま法的拘束力になるとは限らない。一方で、評価情報は政策・法律・資源配分・意思決定に影響し得る、という位置づけで語られている。「CRの看板」は交渉上の強い材料になりやすいが、LCだと「他にもいるなら、影響は局所で管理できる」と扱われやすくなる可能性がある。ただし、開発の可否が単純に決まるわけではなく、地域の法制度、保護区指定、EIAの設計、現地調査の結果、回避・低減・代償などの条件で結果が分かれる、という形に補正して読むのが安全。
予算カット以上に怖い点(抑止力の低下)保全はしばしば「止める力」ではなく「条件を付ける力」として働く。緊急度が下がったと見なされると、開発側・行政側の判断が「中止」から「配慮しつつ実施」へ寄りやすくなる構図はあり得る。予算の問題に加え、「象徴的な盾」が弱まることで、生息地の改変が加速するリスクがある。特に分断・火災・汚染・採掘が複合する地域では、局所個体群の喪失が積み上がり、後から効いてくるタイプの危機になりやすい。
保全のパラドックス(調査が進むほど守りにくくなる皮肉)新産地の発見で分布が広いと分かり、カテゴリーが下がる。カテゴリーが下がると緊急性が薄く見え、資金や規制圧が弱まり、結果として開発や劣化が進みやすくなる、という循環が起こり得る。なお、カテゴリー変更は情報更新だけでも起こる、という点がここに接続する。「見つけたのに守れなくなる」という皮肉が現実に起きうる。だからこそ、LCでも個体群傾向が減少で、脅威が継続しているなら、カテゴリーとは別軸で「どの場所をどう守るか(保護区管理、影響緩和、モニタリング)」を再設計しないと油断が生まれる。
まとめ(このカエルの未来の見立て)LCは「絶滅リスクが相対的に低い」ことを示す一方、優先順位付けの世界では、支援の重心が移るきっかけになり得る。レッドリストは優先順位付けそのものではないが、意思決定には影響する。「絶滅の危機は去った」ではなく、「静かに生息地が削られるタイプの危機」に形が変わる、という見方は成立する。怖さの中心は、資金だけでなく、開発圧に対する交渉力・社会的注目の低下も含まれる。

出典

「他にもいるなら、影響は局所で管理できる」って扱われやすくなる、って書いてあったけど、これって結局、生息地の改変が進むリスクに直結するよね。

ほんと、こんなこと言っちゃダメなんだろうけど、その地域で開発や開拓を進めてた業者からしたら、「よし、面倒な保護活動家がいなくなって仕事しやすいわ」みたいに、口には出さなくても思ってそう。……とか考えちゃいました。

うん、そういう空気、出ちゃう可能性はあると思う。
ただ前提としては、レッドリストって「保護の命令書」ではなくて、科学的情報として政策や計画、資金提案の根拠に使われるデータ資源なんだよね。IUCN自体が「この種に直接お金を配る仕組み」ではない、っていうのもその通りだし。
でもそれとは別に、ランクが下がったことで、これまで保護の理由になって止まっていた計画が動きやすくなる、っていう現象は起きうると思う。だから、今の話みたいに「口には出さないけど、内心ニンマリしてる人もいそう」って感覚は、あながち的外れじゃない気がする。

怒られるかもしれないけど、最近はね、絶滅危惧種を調べたり研究したりする行為って、「生き物を守る」っていうだけじゃなくて、地球の健康診断みたいなものなんじゃないか、って思うようになってきたんです。
だから「どこどこの国にいたこの種が減ったから保護」って活動は、保護活動家が地球のお医者さんみたいになって、できる限りのことをしてるんだろうなって。開発を止めてもらったり、工場の排水を調べたりして、元の状態に近づけようとしてる。そんなふうに感じ始めてます。

でね、このカエルさんは、地球の細胞の一部みたいな存在で、その地球の一部を作って守ってきたんだと思うんです。
でも、人間の経済活動や気候変動みたいな変化で、自然のサイクルよりずっと早く劣化してしまった。だからCRとして、なんとか増えないものかって頑張っていた。
それが、「この細胞、ほかにもあったから大丈夫」って判断になった、ってことなのかな、とね。

でもね。根本の原因である、経済活動による温暖化や気候変動を解決しないと、結局は難しいのかな……なんて思います。

「でもね」ばっかりで申し訳ないんだけど、でもね?
もしアミメネコメガエルが、地球の神経細胞みたいな役割を持ってる存在だったとしたら……それ、ほんとに大変なことだよね。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

アミメネコメガエルに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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