※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
Hi, 鶏人|Keijin here.
Back in the 2014 encyclopedia, the Sulawesi Coelacanth (Latimeria menadoensis, hereafter Indonesian Coelacanth) was classified as “VU: Vulnerable.” This was due to an estimated mature population of less than 10,000, limited known habitats, and concerns about population decline from bycatch.
Fast forward to 2026, and its IUCN Red List status hasn’t changed. It’s still sitting at “VU: Vulnerable.”
In recent years, non-invasive surveys using ROVs have spotted juveniles, groups of multiple individuals, and even new habitats like North Maluku. On top of that, domestic protection in Indonesia and international trade restrictions under CITES are ongoing. To protect these creatures from human disturbance, their exact locations are strictly kept under wraps.
That said, we still have no idea about their actual population size or whether their numbers are going up or down. Plus, bycatch remains a massive threat.
If I had to describe the current state of the Indonesian Coelacanth, I’d say: “We’ve caught new glimpses of their lives, but their true numbers remain hidden in the dark.”
I’ve tucked the more detailed info into the drop-down sections. But even if you just stick to this main text, I’d be really happy if you read it through to the end.
こんにちは、鶏人|Keijinです。
スラウェシシーラカンス(学名:Latimeria menadoensis。以下、インドネシアシーラカンス)は、2014年の図鑑では、成熟個体数が1万個体未満と推定され、既知の生息地点が限られていることや、混獲による個体の減少が懸念されていたことなどから「VU:危急」と評価されていました。
そして、2026年時点で確認できるIUCNレッドリストの評価も、2014年と変わらず、「VU:危急」のままでした。
近年は、ROVなどの捕獲を伴わない調査によって、幼魚や複数個体の集まり、北マルク州を含む新たな生息地点が確認されています。また、インドネシア国内での保護やワシントン条約による国際取引規制が続けられ、発見地点を攪乱から守るため、正確な位置を非公開とする対策も取られています。ただし、個体数と増減傾向は今も分からず、混獲も主要な脅威として残されています。
インドネシアシーラカンスは今も、「新たな姿は見えた、命の数は見えない」という状態なのだと思います。
少し詳しい内容は折りたたみの中にまとめています。
まずは本文だけでも、最後まで読んでもらえたらうれしいです。
※2014年の図鑑では「スラウェシシーラカンス」として掲載されていますが、現在の日本語情報では「インドネシアシーラカンス」または学名の Latimeria menadoensisで扱われることが多いため、本記事では両方を併記します。
※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2008年評価(2008年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Latimeria menadoensis)
インドネシアシーラカンスは今も絶滅危惧種|VUが続く理由と保全活動
⬇︎インドネシアシーラカンスの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 和名 | インドネシアシーラカンス |
| 英名 | Sulawesi Coelacanth、Indonesian Coelacanth、Manado Coelacanth |
| 学名 | Latimeria menadoensis |
| 命名者・命名年 | Pouyaud, Wirjoatmodjo, Rachmatika, Tjakrawidjaja, Hadiaty & Hadie, 1999 |
| 分類 | 動物界/脊索動物門/肉鰭綱/シーラカンス目/シーラカンス科/ラティメリア属 |
| 現生種 | 現在確認されているシーラカンスの現生種は、本種と西インド洋シーラカンス Latimeria chalumnae の2種だけである。 |
| 学名の由来 | 属名 Latimeria は、1938年に南アフリカで最初の現生シーラカンスを確認した博物館学芸員マージョリー・コートニー=ラティマーにちなむ。種小名 menadoensis は、発見地に近いインドネシア・スラウェシ島北部のマナドを意味する。 |
| インドネシアでの呼称 | Raja laut。「海の王」という意味で、スラウェシ島北部の漁業者には科学的発見以前から知られていた。 |
| 発見の経緯 | 1997年9月、マナド・トゥア島付近で捕獲され、マナドの市場に運ばれた個体が科学者の目に留まった。1998年7月に別の個体が捕獲され、形態とミトコンドリアDNAが調査された結果、アフリカ産とは異なる種であることが示され、1999年に新種として記載された。 |
| 分布 | インドネシア固有。北スラウェシ州のマナド湾、マナド・トゥア島、タリセ島周辺を中心に、西部ニューギニアのビアク島周辺などでも記録されている。2024年には北マルク州で生きた成魚が確認され、2025年に初記録として公表された。 |
| 分布の新知見 | スラウェシ島から約750km離れた西部ニューギニア方面の個体は、北スラウェシの個体群と大きな遺伝的差異を示す。両系統は約1,300万年前に分岐した可能性があり、インドネシア東部に未確認の個体群や別種に相当する系統が存在する可能性も指摘されている。 |
| 生息環境 | 海底の急な岩礁斜面、火山性の岩壁、炭酸塩岩の洞窟、岩の割れ目、張り出した岩棚などがある深海性・深部岩礁性環境に生息する。休息や大型捕食者から身を隠す場所として、洞窟や狭い割れ目を利用する。 |
| 生息水深 | 2005~2015年のROV調査では、水深115.6~218.9mで30個体が観察された。北マルク州では水深約134~144mで同一個体が2日続けて観察されている。 |
| 生息水温 | ROV調査時の水温は12.4~21.5℃。多くの記録は17~20℃前後の比較的冷たい水域から得られている。 |
| 体長 | 最大で全長約140cm。野外観察された成魚の多くは全長約120~140cm。 |
| 体重 | 1998年に捕獲された全長約120cmの個体は約29kg、2007年の全長約130cmの個体は約50kgだった。個体による差が大きく、十分な測定資料は得られていない。 |
| 体形 | 胴体は太く、頭部と口が大きい。胸びれと腹びれは筋肉質な肉質部を備えた葉状の構造を持つ。尾びれは中央に小さな補助葉を持つ特徴的な三葉形である。 |
| 体色 | 生体の地色は褐色から灰褐色で、青みの強い西インド洋シーラカンスと区別する際の分かりやすい特徴となる。体表には白色や金色に見える不規則な斑紋があり、その模様は個体識別にも利用できる。 |
| 鱗 | 厚く硬いコスミン鱗に覆われる。鱗の表面から粘液が分泌されるため、体表は非常にぬめりが強い。 |
| 骨格 | 一般的な硬骨魚のような完全に骨化した脊椎骨の中心部を持たず、太い脊索が体の支持構造として残る。胸びれと腹びれの内部には骨格があるが、海底を脚のように使って歩くわけではない。 |
| 頭蓋内関節 | 頭蓋骨の前部と後部の間に「頭蓋内関節」があり、口を開く際に頭蓋前部を持ち上げられる。現生脊椎動物ではシーラカンスにだけ残る、非常に珍しい構造である。 |
| 吻器官 | 吻の内部に微弱な電気を感知すると考えられる吻器官を持つ。岩陰や海底付近に潜む獲物の発見、障害物の把握などに使われると考えられている。 |
| 肺の痕跡 | 消化管の腹側に、脂肪で満たされた細長い肺の痕跡を持つ。成魚では呼吸器として機能せず、呼吸は鰓で行う。 |
| 泳ぎ方 | 胸びれと腹びれを左右交互に動かす独特の泳ぎ方をする。水流を利用してゆっくり漂いながら姿勢を調節し、必要なときには尾びれで推進力を生み出す。頭を下に向けたり、体を傾けたりすることもできる。 |
| 活動・休息 | 多くは単独で観察されるが、ROV調査では2個体、3個体、6個体の集まりも確認された。岩壁や洞窟内だけでなく、昼間に岩のそばや開けた斜面上へ出ている個体も観察されており、西インド洋シーラカンスより光への反応が弱い可能性がある。 |
| 食性 | 本種だけを対象とした食性資料は非常に少ない。ラティメリア属の生態から、深海性の魚類、イカやコウイカなどの頭足類を捕食する肉食性の待ち伏せ・漂流型捕食者と考えられている。低い代謝率に適応し、活発に長距離を追跡するより、近くの獲物を機会的に捕らえる。 |
| 代謝 | 深海の低温・低酸素環境に適応した低代謝の魚で、動きは比較的緩やかである。個体群の回復力は非常に低く、個体数が減少すると回復まで長い時間がかかると考えられる。 |
| 繁殖方法 | 本種の交尾、妊娠、出産は直接観察されていない。近縁の西インド洋シーラカンスと同様に、体内受精後、胚が大きな卵黄から栄養を得て母体内で成長し、十分に発達した幼魚を産む卵胎生と考えられている。 |
| 幼魚の記録 | 2009年10月6日、マナド湾の水深164.6mで全長31.5cmの幼魚が観察された。本種の幼魚が詳しく記録された最初の例で、捕食者が入りにくい細長い岩棚の奥に隠れていた。 |
| 繁殖場所 | 幼魚と成魚が同じマナド湾内で観察されたことから、同湾が生息地であるだけでなく、出産・成育場所としても利用されている可能性が高い。 |
| 成長・寿命 | 本種について、成熟年齢、妊娠期間、寿命は直接解明されていない。近縁種の研究から極めて成長が遅く、長寿で、成熟と繁殖に長期間を要する生活史が推測されるが、具体的な年数は本種では確認されていない。 |
| 人間による利用 | 食用魚としての商業価値はほとんどない。肉には油脂、尿素、ワックスエステルなどが多く、食用には適さない。一方、希少性から博物館、標本、展示、収集目的の需要が生じる危険がある。 |
| 推定個体数 | 正確な個体数は不明。2008年のIUCN評価では、成熟個体が1万個体未満と推定された。深海に生息し、既知の記録が少ないため、個体数・密度・増減傾向を判断できる十分な調査は行われていない。 |
| 個体数の傾向 | 不明。新しい分布地点の発見は既知の分布域を広げたが、個体数の増加を示すものではない。 |
| IUCNレッドリスト | VU:危急。評価基準はC2a(ii)およびD2。2026年時点で確認できる評価は2008年1月1日のもので、個体数の少なさ、限られた既知の生息地点、遅い生活史、混獲の危険などに基づいている。 |
| CITES | ワシントン条約附属書I。2000年7月19日に掲載され、学術研究などの例外を除き、商業目的の国際取引は禁止されている。 |
| インドネシア国内の保護 | インドネシアでは国の保護対象種に指定され、意図的な捕獲、保有、取引などが規制されている。北スラウェシの生息海域の一部はブナケン国立公園に含まれる。 |
| 主な脅威 | 深海性サメを対象とした刺し網や、深海性ハタ類を狙う釣り具による混獲。生息地の狭さ、個体数の少なさ、成長と繁殖の遅さから、少数の死亡でも個体群に大きな影響を与える可能性がある。 |
| その他の脅威 | 深部岩礁の開発・破壊、海洋汚染、プラスチックごみ、残留性有機汚染物質、希少動物収集、無秩序な深海観光などが潜在的な脅威となる。捕獲個体を長期間生存させることには成功しておらず、展示目的の生け捕りは個体の死亡に直結する危険が高い。 |
| 保全上の重点 | 既知および新たに発見された生息地の保護、深海刺し網・釣り具による混獲の防止、漁業者と連携した発見・放流・通報体制、ROV・環境DNA・非侵襲的撮影による個体群調査、正確な分布地点の慎重な管理が重要となる。 |
| 進化上の重要性 | シーラカンス類の系統は4億年以上前までさかのぼるが、現在の本種そのものが4億年間まったく変化せず生きてきたわけではない。現生シーラカンスも独自の進化を続けており、魚類から四肢動物へ至る肉鰭類の進化を研究するうえで重要な現生系統である。なお、現生四肢動物に最も近縁な魚類はシーラカンスではなく肺魚類と考えられている。 |
基本情報:出典
最終評価2008年:インドネシアシーラカンス「VU:危急」
スラウェシシーラカンスは、海底150~200メートルの岩斜面や洞窟で見られる。知られていることは少なく、野生における観察もほとんどない。この種へのおもな脅威は、深海ザメの刺し網による混獲や、深海ハタ用の釣り具による被害である。また、この種は近年、生け捕りや大型水族館での展示を目的とした捕獲が試みられているが、生きたまま捕らえられたことはない。
出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

| 項目 | 2014年の図鑑 | 現在(2026年確認) |
|---|---|---|
| IUCNレッドリスト | VU:危急。個体群が小さく、分布域も限られていると評価されていた。 | VU:危急のまま。評価基準はC2a(ii)・D2。ただし最新評価日は2008年1月1日で、2026年まで再評価されていない。新しい分布記録や観察結果は、現在のIUCN評価には反映されていない。 |
| 評価の意味 | 成熟個体数が少なく、ほとんどの個体が一つの小さな個体群に集中し、限られた分布地点で突発的な脅威を受けるおそれがあると判断されていた。 | 既知の分布は広がったが、成熟個体数や増減率を示す資料は得られていない。このため、分布記録の増加だけで絶滅リスクが低下したとは判断できない。 |
| 個体数 | 正確な個体数は不明。自然に小さな個体群であると考えられていた。 | 全個体数・成熟個体数とも不明。個体群動向も「不明」のままである。ROVで確認された個体数は生息域全体の推定値ではなく、調査地点で識別された個体の記録である。 |
| 既知の分布 | おもにインドネシアの北スラウェシ島沖、マナド周辺に限られると考えられていた。 | 北スラウェシ島北岸に加え、ニューギニア島北西部のビアク島周辺、西パプア州ワイゲオ島周辺、北マルク州でも記録された。インドネシア東部に、未発見の個体群が点在している可能性が高まっている。 |
| 西パプアの個体 | 図鑑では取り上げられていない。 | 2018年にワイゲオ島付近で捕獲された個体は、北スラウェシの個体と大きな遺伝的差異を示した。約1,300万年前に分岐した系統である可能性が示され、別種または亜種に相当するかどうかが検討されている。 |
| 北マルクでの発見 | 生息地として知られていなかった。 | 2024年10月、北マルク州で成魚1個体が水深約140~144メートル、水温19~20℃の場所で2日続けて観察され、2025年に報告された。同地域で初めての生体記録であり、インドネシア産シーラカンスをダイバーが自然環境下で直接撮影した初の事例でもある。 |
| 野生個体の観察 | 野生における観察はほとんどないとされていた。 | 2005~2015年に北スラウェシ島とビアク島周辺で1,173回のROV潜航調査が行われ、30個体が識別された。単独個体のほか、2個体、3個体、6個体が同所にいる例も確認されている。依然として観察は難しいが、「ほとんど観察されていない」という段階からは大きく進んだ。 |
| 生息水深 | 海底150~200メートル。 | ROV調査では水深115.6~218.9メートルで確認された。北マルク州の個体は約140~144メートル、ワイゲオ島付近の捕獲個体は約300メートルから釣り上げられた。従来より広い水深帯を利用する可能性がある。 |
| 生息環境 | 岩斜面や海底洞窟で見られるとされていた。 | 急な火山性斜面、垂直に近い岩壁、洞窟、亀裂、岩の張り出しなどを利用する。洞窟の内部だけでなく、大岩の横や開けた斜面にいる個体も確認されており、日中は必ず洞窟内に隠れるとは限らない。 |
| 生息水温 | 150~200メートルの冷たい深海環境に適応していると考えられていた。 | ROV調査で個体が確認された水温は12.4~21.5℃。2025年の生息適地研究でも、インドネシア産とアフリカ産のシーラカンスは、おもに15~20℃の狭い水温帯と急斜面の組み合わせに強く制約されることが示された。 |
| 幼魚と繁殖 | 繁殖場所や幼魚の生態はほとんど分かっていなかった。 | 2009年にマナド沖の水深164.6メートルで、全長31.5センチの幼魚が確認された。大型捕食者が入りにくい細い岩の亀裂を利用しており、北スラウェシの生息地で繁殖が行われていることを示す重要な記録となった。ただし繁殖数や幼魚の生存率は不明である。 |
| 混獲 | 深海ザメ用の刺し網や深海ハタ用の釣り具による混獲が、おもな脅威とされていた。 | 深海刺し網や底層をねらう釣り具による偶発的捕獲は、現在も主要な人為的脅威である。既知の分布が広がっても、各生息地点の個体数が少なければ、わずかな混獲でも繁殖可能な個体を失う影響は大きい。 |
| 生け捕りの記録 | 生け捕りや大型水族館での展示を目的とした捕獲が試みられているが、生きたまま捕らえられたことはないと記載されていた。 | 1998年には刺し網にかかった個体が生きた状態で引き上げられ、泳ぐ姿や鰭の動きが記録されている。このため「生きたまま捕らえられたことはない」という記述は、文字どおりには正しくない。ただし、長期間の飼育、公開展示、飼育下繁殖に成功した記録は確認されていない。 |
| 捕獲・展示目的の脅威 | 生体展示を目的とした捕獲の試みが新たな脅威として挙げられていた。 | 最近の研究では、展示目的の捕獲よりも混獲と深海生息地への人為的圧力が重視されている。一方、発見地点を利用した無規制のシーラカンス観光が、新たな攪乱要因になる可能性も指摘され、北マルク州の正確な観察地点は非公開とされた。 |
| 生活史による弱さ | 詳細は不明だが、個体数の少なさから絶滅しやすいと考えられていた。 | シーラカンス類は長寿で代謝が低く、性成熟が遅く、妊娠期間も長い。成魚を失った後の回復が遅いため、混獲、観光、生息環境の変化などの外部攪乱に弱い。 |
| 保護状況 | ワシントン条約による国際取引規制、インドネシア国内の保護、ブナケン国立公園における刺し網規制が紹介されていた。 | CITES附属書Iへの掲載とインドネシア国内での保護は継続している。現在は、捕獲を伴わないROV、有人潜水、写真識別、環境DNAなどを利用し、個体数・移動・遺伝的構造を調べることが重要な保全課題となっている。 |
| 気候変動による影響の確認状況 | 地球温暖化や海洋環境変化による影響は記載されていなかった。 | インドネシアシーラカンスの個体数減少や死亡を、海洋温暖化に直接結びつけた研究はまだない。したがって、気候変動による影響は「確認済みの減少原因」ではなく、生息水温、生理、生息地の条件から考えられる将来的な重大リスクである。 |
| 海水温上昇の影響 | 記載なし。 | 本種はおもに12.4~21.5℃の冷たい水域で確認されている。中深度の海水温が上昇すると、現在の洞窟や岩壁が適温域から外れ、より深い場所への移動を迫られる可能性がある。適温と洞窟・急斜面が同時に存在する場所は限られるため、生息可能域が縮小・分断されるおそれがある。 |
| 海洋の貧酸素化 | 記載なし。 | 温暖化した海水は酸素を保持しにくくなり、海洋の成層強化によって深い層への酸素供給も弱まる。低温・低代謝環境に適応したシーラカンスでは、水温上昇による酸素需要の増加と、利用できる酸素量の減少が重なる可能性がある。ただし、本種についての耐酸素限界は測定されていない。 |
| 海洋酸性化と生息環境 | 記載なし。 | 海洋酸性化がシーラカンスの体に及ぼす直接的な影響は不明である。一方、北マルク州の生息場所には海綿類やソフトコーラルなどの底生生物があり、酸性化や温暖化による深場の生態系変化が、獲物や周辺環境を通じて間接的に影響する可能性がある。 |
| 深場への移動と漁業 | 記載なし。 | 温暖化によって適温域が深くなれば、深海刺し網や底釣り漁業と重なる場所が変化する可能性がある。深く移動すれば安全になるとは限らず、利用可能な洞窟の減少と混獲危険の増加が同時に起こるおそれがある。 |
| 2014年との総合比較 | 分布が狭く、観察例もほとんどなく、混獲と生体展示目的の捕獲が主要な懸念とされていた。 | 分布と野外観察の知識は大幅に増え、幼魚や複数個体の集まり、新たな遺伝系統も確認された。しかし、個体数と増減傾向は依然不明で、IUCN評価も2008年のままである。発見地点が増えたことは生存の可能性を広げる一方、混獲、深場への人間活動、観光、海洋温暖化という脅威にさらされる地点も広範囲に存在することを示している。 |
現状まとめ:出典
インドネシアシーラカンスは、2026年現在もIUCNレッドリストでVU:危急に分類されているが、評価は2008年のまま更新されておらず、個体数と増減傾向も不明である。一方、ROV調査では30個体が識別され、幼魚や複数個体の集まりも確認された。既知の分布も北スラウェシ島沖からビアク島、西パプア、北マルク州へ広がり、従来考えられていたより広範囲に生息する可能性が高まっている。ただし、混獲は現在も主要な脅威であり、長寿で繁殖の遅い本種は個体の損失から回復しにくい。さらに、冷たい中深層に適応しているため、海洋温暖化や貧酸素化によって適温域が深くなり、洞窟や岩壁を備えた生息地が縮小・分断されるおそれがある。
⬇︎インドネシアシーラカンスの保護活動の種類です。必要なら開いてください。
| 保全活動の種類 | 実施状況 | 具体的な内容 |
|---|---|---|
| インドネシア国内での法的保護 | 実施中 | インドネシア海洋水産大臣決定第66号(2025年)により保護魚種に指定されている。捕獲、所持、輸送、利用、販売などを原則として規制し、偶発的に捕獲された個体についても商業利用や展示目的の確保を防ぐ。科学調査、標本収蔵などは、関係機関の許可と適正な手続きを必要とする。 |
| 国際取引の規制 | 実施中 | シーラカンス属 Latimeria spp. はCITES附属書Iに掲載されている。野生個体を対象とする国際的な商業取引は原則禁止され、研究用標本や組織試料の国境を越えた移動にも輸出入許可が必要となる。希少動物収集家、水族館、標本市場などによる需要の抑制が主要目的となる。 |
| 混獲の防止 | 優先課題 | 本種の記録には漁業による偶発的捕獲が多く含まれる。確認地点の周辺では、深場を対象とする釣り、延縄、刺網などについて、操業水深、漁場、季節、使用漁具と混獲発生状況を記録する。混獲が集中する斜面や海底地形が判明した場合は、漁具の変更、操業水深の調整、局所的な禁漁区域・期間の設定を行う。 |
| 漁業者向け識別・通報体制 | 一部実施・拡充が必要 | 沿岸漁業者に写真付き識別資料を配布し、捕獲場所、水深、時刻、漁具、個体の状態を速やかに行政・研究機関へ通報できる体制を整える。通常の魚として市場へ流通させたり、観賞・展示目的で保管したりすることを防ぐ。漁業者から得られる情報は、新しい分布域や混獲危険海域の把握にも利用する。 |
| 生存個体の混獲対応 | 体制整備が必要 | 深海性魚類は急速な浮上による影響を受けるため、船上へ揚げて長時間保持することを避け、個体の状態と作業上の安全を確認しながら可能な限り早く放流する。発見時の写真撮影、位置・水深・漁具の記録、関係機関への通報を組み込んだ本種専用の取扱手順を漁業地域ごとに整備する。 |
| 死亡個体の科学的利用 | 実施例あり | 死亡して発見された個体や混獲死亡個体は、違法流通を防ぎながら行政・研究機関が確保する。外部計測、解剖、性別・成熟状態の確認、DNA、組織、胃内容物、寄生生物、汚染物質などを調査し、公的な博物館・研究施設で標本を保存する。死亡個体の研究利用を目的とした意図的捕獲は行わない。 |
| ROV・潜水艇による非捕獲調査 | 実施中 | 2005~2015年のROV調査では、北スラウェシと西部ニューギニア周辺で1,173回の潜航調査が行われ、30個体との遭遇が記録された。これらは総個体数ではなく調査中に識別された個体数である。ROV、有人潜水艇、低照度カメラ、ソナーを利用し、捕獲せずに生息水深、隠れ場所、行動、繁殖関連環境を調査する。 |
| テクニカルダイビングによる観察 | 実施例あり | 2024年に北マルク州の水深約134~144メートルで、生きた個体が潜水者によって連続観察された。閉鎖式リブリーザーなどを用いることで、騒音や排気泡を抑えた観察が可能となる。ただし深度が大きく危険性も高いため、許可を受けた専門的な科学調査に限定し、一般観光による接近を防ぐ。 |
| 写真識別と長期個体追跡 | 実施・拡充段階 | 体側の白い斑点模様は個体ごとに異なるため、高解像度画像を用いた非侵襲的な個体識別が可能である。同一個体の再確認、滞在期間、移動、特定の洞窟・岩場への定着性を調べ、地域ごとの最小確認個体数と生存状況を蓄積する。 |
| 生息域・個体数調査 | 優先課題 | 確認地域は北スラウェシだけでなく、西部ニューギニア、北マルクなどへ広がっている。一方、各地域の個体数、分布の連続性、繁殖集団の有無は不明である。海底地形、水温、洞窟・亀裂、海流などを基に潜在生息地を抽出し、ROV、環境DNA、漁業者への聞き取りを組み合わせて調査する。 |
| 深場の岩礁・中深度サンゴ礁の保護 | 一部地域で実施・拡充が必要 | 本種は、水温約12~21℃の急斜面、垂直壁、洞窟、岩の亀裂などがある水深約115~220メートルで確認されている。海洋保護区の区画設定では浅いサンゴ礁だけでなく、こうした深場の斜面まで対象に含める。破壊的漁業、海底掘削、浚渫、投錨、土砂流入、廃棄物投棄などを管理する。 |
| 重要地点の非公開と立入り管理 | 実施例あり | 北マルク州で確認された個体の正確な位置は、新たな個体群への攪乱を避けるため公表されていない。希少種観光、無許可潜水、捕獲、位置情報の商業利用を防ぐため、詳細な座標は行政・研究機関の管理下で共有し、調査許可や潜水人数、照明、接近距離を管理する。 |
| 遺伝的多様性と分類単位の保全 | 研究中・優先課題 | 西パプアで得られた個体とスラウェシの個体の間には大きな遺伝的差異が確認され、約1,300万年前に分岐した系統である可能性が示されている。インドネシア各地の個体を一つの均質な集団として扱わず、スラウェシ、西部ニューギニア、マルクなどの地域集団を個別の保全単位として管理する。生体を捕獲せず、海水中の環境DNAや接触採取による微量DNAを活用する。 |
| 汚染物質の監視 | 調査段階 | インドネシア産個体の組織からPCB、PBDEなどの残留性化学物質が検出された研究例がある。死亡個体や非侵襲的試料を利用して、残留性有機汚染物質、重金属、マイクロプラスチックなどの蓄積を継続監視し、流域・沿岸から深海へ到達する汚染負荷を削減する。 |
| 観光活動の規制 | 予防的対策が必要 | 新しい観察地点が希少生物観光の対象になると、照明、騒音、接近、反復潜水、位置情報の拡散による影響が生じる。商業的なシーラカンス観察ツアーを無許可で実施させず、必要な場合は科学的影響評価、人数制限、接近禁止距離、撮影条件、位置情報管理を設定する。 |
| 地域住民への普及啓発 | 実施例あり・継続が必要 | 発見当初から、政府機関、研究機関、国際協力団体、自然保護団体が、地元で「raja laut(海の王)」と呼ばれる本種の保護を周知してきた。漁村、魚市場、港湾、ダイビング事業者、学校を対象に、保護法、混獲時の連絡先、販売禁止、科学的重要性を伝える。 |
| 地域横断的な保全計画 | 拡充が必要 | 分布域が複数の州と島嶼海域にまたがるため、北スラウェシ、ゴロンタロ、北マルク、パプア地域の行政、海洋保護区、大学、BRIN、漁業者が記録を共有する。目撃・混獲データベース、緊急対応手順、調査方法、遺伝試料の管理基準を統一し、地域集団ごとの保全目標を設定する。 |
| 飼育下繁殖・展示目的捕獲の回避 | 原則として非推奨 | 深海環境への高度な適応、低代謝、晩熟、長い妊娠期間を持つため、生体捕獲や水族館展示は死亡リスクが高く、野生集団への負担も大きい。保全の中心は飼育下繁殖ではなく、生息地内保全、混獲防止、非侵襲調査、死亡個体の科学的保存とする。 |
| 保全状況の再評価 | 更新が必要 | IUCNでは危急種に分類されているが、既存評価後に分布域、遺伝的分化、汚染、新たな観察記録に関する情報が増えている。地域別の個体数、混獲死亡、繁殖状況、脅威を再集計し、最新情報に基づくレッドリスト評価と種別保全行動計画を作成する。 |
保全活動の種類:出典
- インドネシア海洋水産省法令データベース「海洋水産大臣決定第66号(2025年)保護魚種」
https://jdih.kkp.go.id/Homedev/DetailPeraturan/6890 - Scientific Reports「First record of a living coelacanth from North Maluku, Indonesia」
https://www.nature.com/articles/s41598-025-90287-7 - 北九州市立自然史・歴史博物館紀要「Field surveys on the Indonesian coelacanth, Latimeria menadoensis using remotely operated vehicles from 2005 to 2015」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kmnh/17/0/17_49/_article - Scientific Reports「A thirteen-million-year divergence between two lineages of Indonesian coelacanths」
https://www.nature.com/articles/s41598-019-57042-1 - Mongabay Indonesia「Dinyatakan Punah 66 Juta Tahun Silam, Ikan Purba ini Ada di Laut Indonesia」
https://mongabay.co.id/2026/05/02/dinyatakan-punah-66-juta-tahun-silam-ikan-purba-ini-ada-di-laut-indonesia/
地球温暖化と貧酸素化はインドネシアシーラカンスをどう脅かすのか
Questioner: It seems like a recipe for disaster if the global warming and ocean deoxygenation we’ve caused collide down at the 100 to 200-meter depths where the Indonesian Coelacanth lives. As the ocean warms, it gets harder for the top and bottom layers to mix, and we’re already seeing shifts in global ocean circulation, right?
Me: Exactly. The big worry is that warming causes ocean stratification—basically putting a lid on the water—making it much harder for oxygen to reach the deeper layers. Plus, massive currents like the AMOC and the regional Indonesian Throughflow could shift. That being said, we can’t definitively say that a slowdown in the distant AMOC will directly choke off oxygen in the coelacanth’s habitat. Let me dig into what we currently know about what might actually happen in the waters around Indonesia.
質問者:インドネシアシーラカンスが暮らす水深100~200メートル付近で、僕たちが招いた地球温暖化と貧酸素化が重なったら、大変なことになりそうに思える。海が温まると上下の水が混ざりにくくなるし、地球規模の海洋循環にも変化が起きているんだよね。
私:そうです。温暖化による成層化によって、表層と深い層の間で水や酸素が交換されにくくなることが懸念されています。さらに、AMOCやインドネシア通過流など、地球規模・地域規模の海流も変化する可能性があります。ただし、遠く離れたAMOCの減速が、インドネシアシーラカンスの生息地を直接貧酸素化させると確認されたわけではありません。インドネシア周辺で何が起こり得るのか、現在分かっている範囲を調べてみます。
インドネシアシーラカンスの海に何が起きるのか|AMOC・海流・貧酸素化がつながる未来
水深100~200メートルの岩場に暮らすインドネシアシーラカンス。その静かな生息地にも、遠く離れた大西洋の海流変化が巡り巡って届く可能性があります。AMOC、インドネシア通過流、海の成層化、そして貧酸素化。まだ見えない海中で進み得る変化を、海洋物理学・海洋化学・生態学の三つの視点からたどります。
1. 海洋物理学の視点:AMOC減速から伝わる「海流の連鎖」
遠く離れた大西洋のAMOCの変化は、海洋内部の波や密度構造の調整を通じて、インドネシア周辺の海流にも影響を及ぼす可能性があります。
- インドネシア通過流(ITF)の長期的な変化:
インドネシア海域には、太平洋の海水をインド洋へ運ぶ「インドネシア通過流(ITF)」があり、地球規模の熱・淡水・塩分輸送に重要な役割を果たしています。気候モデルでは、温暖化に伴うAMOCの減速が海洋内部を伝わり、長期的にはITFを弱める可能性が示されています。ただし、2026年の研究では南大洋側の変化も大きく関与するとされ、単純な一方向の「ドミノ倒し」ではないことが分かってきました。
また、1998~2020年の観測では、ITF上層700メートルの熱輸送がむしろ増加していました。これは主に自然変動によるものと考えられており、ITFが現在すでに一貫して弱まっているとは限りません。長期予測と現在の観測を分けて捉える必要があります。
- 海の「入れ替わり」が弱まる可能性:
将来ITFが弱まれば、太平洋とインド洋の間で運ばれる海水や熱、塩分の量が減り、水温・密度・栄養塩・酸素環境が変化する可能性があります。一方、インドネシア海域には潮汐、風、内部波による強い混合もあるため、海水が全面的に停滞するわけではありません。温暖化による成層化と海流の変化が重なった場所では、深い層への海水の供給や入れ替わりが弱まることが懸念されます。
2. 海洋化学の視点:厚みを増す「蓋」と貧酸素化
流れや混合の変化に地球温暖化が重なると、海中の酸素環境にも影響が及びます。
- 「成層化」の進行:
温暖化によって海面付近の水が温められると、密度の小さい温水が上層に、冷たく重い水が下層に残りやすくなります。この密度差が大きくなると、上下の海水が混ざりにくくなり、海面に「蓋」が厚くなるような成層化が進みます。その結果、表層から中深層へ運ばれる酸素が減少する可能性があります。ただし、潮汐混合が強いインドネシア海域では、成層化の程度に大きな地域差があります。 - 100~200メートル付近で起こり得る酸素消費:
海中では、沈降したプランクトンなどの有機物を微生物が分解する際に酸素が消費されます。酸素極小層は一般に水深約100~1,500メートルに形成されますが、深度や酸素濃度は海流、地形、生物生産、混合状態によって異なります。インドネシアシーラカンスの生息深度である100~200メートル付近が酸素の少ない層と重なる可能性はあるものの、北スラウェシ全域で現在この深度が「デッドゾーン」になっていることを示す証拠はありません。 - 貧酸素水塊が拡大する条件:
成層化によって酸素供給が弱まり、有機物の分解による酸素消費が供給を上回ると、貧酸素層が拡大したり浅くなったりする可能性があります。ただし、その変化は地域ごとに異なり、ITFの弱体化だけでインドネシア海域に貧酸素水塊が形成されるわけではありません。海流、潮汐混合、生物生産、外洋から流入する水塊を合わせて考える必要があります。
3. 生態学の視点:シーラカンスにかかる「二重の圧力」
水温上昇と貧酸素化が重なれば、水深100~250メートルを主な生活圏とするインドネシアシーラカンスにも影響が及ぶ可能性があります。ただし、この種について気候変動の影響を直接測定した研究はまだ限られています。
- 代謝のジレンマ:
インドネシアシーラカンスは、これまで水温約12~22℃の場所で観察され、多くの生息適地は15~20℃前後と推定されています。一般に魚類などの変温動物は、水温が上昇すると代謝と酸素要求量が増える一方、温かい海水ほど保持できる酸素量が少なくなります。そのため、生息水温の上昇と貧酸素化が同時に進めば、「必要な酸素は増えるのに、利用できる酸素は減る」という二重の生理的圧力が生じる可能性があります。 - 逃げ場が細る「生息地の圧縮」:
水温が上昇した場合、シーラカンスはより冷たい場所へ移動する可能性があります。しかし、深い海ほど必ず酸素が豊富とは限らず、酸素極小層と重なることもあります。また、この種は岩斜面、洞窟、岩の隙間などを休息場所として利用しますが、洞窟の外で確認された例もあります。より深い場所に適温、十分な酸素、利用可能な岩場がそろうとは限らないため、三つの条件が重なる生息空間が狭まり、生息域が上下から圧縮される可能性があります。
出典
- AMOCとインドネシア通過流の長期的な連動:https://journals.ametsoc.org/view/journals/clim/36/5/JCLI-D-22-0331.1.xml
- 1998~2020年に観測されたITF熱輸送の増加:https://www.nature.com/articles/s43247-026-03545-5
- 温暖化によるITFの将来的な弱体化予測:https://www.nature.com/articles/s41467-025-66746-0
- 成層化・酸素極小層・有機物分解の解説(NOAA):https://oceanexplorer.noaa.gov/ocean-fact/omz/
- 海洋温暖化と世界的な酸素減少:https://www.science.org/doi/10.1126/science.aam7240
- インドネシアシーラカンスの観察深度・水温・生息地:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kmnh/17/0/17_49/_article
- インドネシアシーラカンスの三次元生息適地モデル:https://www.frontiersin.org/journals/marine-science/articles/10.3389/fmars.2025.1521474/full
Questioner: You know, I could read this two ways. Either it’s like, “don’t worry, we’re fine,” or it’s like, “we’re teetering on the edge.” It’s like keeping tropical fish in a huge room where the ambient temperature is creeping up every year. The water pumps in the tank are still humming along just fine, right?
Me: That’s a spot-on way to put it. As long as those pumps are running strong, the water doesn’t instantly turn stagnant or run out of oxygen. So, if you only look at today, you could say, “we’re still okay.”
Questioner: But if the room temperature keeps rising, eventually the pumps won’t be able to keep up, right?
Me: Exactly. As the water temperature climbs, it holds less dissolved oxygen, and it gets easier for that temperature gap between the top and bottom of the tank to widen. Even with the pumps running, the environment throughout the entire tank is quietly changing.
Questioner: So, the pumps are still going, but the surface water is being heated by the room. As a result, the oxygen level drops, and the Indonesian Coelacanth gets pushed down by that warm surface water into an even tighter squeeze. That’s the image, isn’t it?
Me: That’s it exactly. You’d think they could just escape into deeper, cooler water, but there’s no guarantee they’ll find enough oxygen, food, or the right rocky crevices and caves there. They’re being pressed from above by warm water, while deoxygenation and the seafloor topography block them from below and the sides. Even while the “ocean pump” is still running, the Indonesian Coelacanth might be finding its livable world shrinking little by little.
Thank you so much for taking the time to read this.
I truly hope these feelings find their way to the Sulawesi Coelacanth.
鶏人|Keijin
質問者:なんかさ、これって、「そんなに心配いらないよ」とも読み取れるけど、「あと少ししたらヤバいよ」とも読めるよね。要は、熱帯魚を飼育している大きな部屋のなかの室温が年々上がってきている。でも、水槽の中に設置してある複数の水中ポンプは、まだ元気に回っている。そんなイメージだよね。
私:そうですね。水中ポンプが元気に回っているうちは、水槽の水がすぐに淀んだり、酸欠になったりするわけではありません。だから今だけを見れば、「まだ大丈夫」とも言えます。
質問者:でも、部屋の温度が上がり続けたら、水中ポンプが回っているだけでは追いつかなくなるかもしれないよね。
私:はい。水温が上がれば水に溶け込める酸素は減り、水槽の上と下で水温差も生まれやすくなります。ポンプが動いていても、水槽全体の環境が少しずつ変わっていく可能性があります。
質問者:つまり、ポンプが止まっていないけど、水槽の表面温度は高い室温によって温められている。結果酸素の量が減ってインドネシアシーラカンスは表層の温かい海水に押されて狭い場所に押し込められるってイメージだね。
私:そういうことです。より冷たい深場へ逃げればよいように思えますが、そこに十分な酸素と餌、身を隠せる岩場や洞窟がそろっているとは限りません。上からは温かい海水に押され、下や横には貧酸素化や地形の壁がある。インドネシアシーラカンスは、海流というポンプがまだ動いているあいだにも、暮らせる場所を少しずつ狭められていく可能性があるということです。
貴重な時間を、ありがとうございました。
インドネシアシーラカンスに、その想いが届くことを祈ります。
鶏人|Keijin
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