11年後のレッドリスト|シカヅノミドリイシ:傷つきながらも、青を失わぬ心臓の鼓動【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|シカヅノミドリイシ:傷つきながらも、青を失わぬ心臓の鼓動【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
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こんにちは、fukumomo3_photo です。

シカヅノミドリイシ(Acropora cervicornis)は、

2014年、図鑑に【CR:深刻な危機】として分類されていました。

2022年、IUCNレッドリストで、【CR:深刻な危機】と評価されました。

つまり、2014年から2022年にかけて、シカヅノミドリイシは

「傷つきながらも、青を失わぬ心臓の鼓動」状態なのです。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるシカヅノミドリイシの最新評価は2022年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/133381/165860142

地球が訴える「最初の転換点」──サンゴ礁からの警告

⬇︎シカヅノミドリイシの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|ジカヅノミドリイシ(Staghorn Coral)
項目情報
和名シカヅノミドリイシ(鹿角緑石)
英名Staghorn Coral
学名Acropora cervicornis
分類刺胞動物門・花虫綱・イシサンゴ目・ミドリイシ科(Acroporidae)
分布カリブ海、西大西洋(バハマ、フロリダ、メキシコ湾、ベネズエラなど)
主な生息地水深5〜20mの浅いサンゴ礁域
形態枝状(鹿の角のような形状)
サイズ枝の長さ最大2mに達する群体を形成
寿命数十年(環境条件により変動)
IUCN評価(2022年)【CR:深刻な危機(Critically Endangered)】

特徴

  • 名前の由来:「シカヅノ(鹿角)」の名は、枝が鹿の角のように分岐して伸びる姿から。
  • 外見:黄色がかった褐色や青緑色を帯び、先端は白っぽくなる。群体として枝を密に広げる。
  • 成長速度:年間10〜20cmと、サンゴの中でも最も成長が早い種類の一つ。
  • 共生関係:体内に褐虫藻を共生させ、光合成で得たエネルギーを利用して成長する。
  • 役割:他の海洋生物(小魚や甲殻類など)の重要な隠れ家・繁殖場となる。

生態と行動

  • 生息環境:強い光が届く浅瀬に生息し、波の影響を受けやすい場所を好む。
  • 繁殖:有性(放卵・放精)と無性(枝の折れ片が再生する)両方で繁殖可能。
  • 回復力:折れた枝が海底に定着すれば新しい群体として成長できるが、白化現象や病害には弱い。
  • 脅威:海水温の上昇による白化現象、病気(特に白化病やホワイトバンド病)、ハリセンボン類による捕食、沿岸開発や乱獲による環境悪化など。
  • 保全活動:カリブ海各地でサンゴ移植や人工養殖プロジェクトが進行中(例:フロリダ礁海国家海洋保護区の再生計画)。

2014年絶滅危惧種:シカヅノミドリイシ【CR:深刻な危機】

気候変動はサンゴ類ならびにそれらが形づくるサンゴ礁に、広い範囲でさまざまな悪影響を与えている。なかでも特に重要なのが自化、酸性侵食、そして疾病の増加である。気候変動はまた、海水面の上昇、潮流の流路変化,嵐の頻発によるダメージの増加、それに河川からの懸濁物質の流入による光遮断といった要因や地域特有の人為的要因が重なり合って、悪影響をおよぼしているのである。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

気候変動による海水温の上昇は「海洋熱波」とも呼べる極端な現象を頻発させ、サンゴの白化と大量死をかつてない規模で引き起こしている。

脅威の種類2025年現在の状況
白化現象記録的な規模で発生し、壊滅的な被害。2023年以降、世界は観測史上4度目となる大規模白化を経験。サンゴ礁の約84%が影響を受けた。シカヅノミドリイシは熱ストレスに非常に弱く、2023年の海洋熱波では養殖場の90%以上が死滅。複数の遺伝子型が完全に失われた報告もある。
海洋酸性化大気中のCO₂上昇によりpHが低下。炭酸カルシウム形成が阻害され、骨格形成と成長が鈍化。損傷からの回復力も低下している。
疾病の増加「ホワイトバンド病」などが蔓延。海水温上昇や汚染によるストレスで免疫が低下し、感染症の広がりが加速。

新たな知見:複合ストレスと遺伝的多様性の重要性

テーマ内容
複合ストレスの影響汚染や病気の単独ストレスには耐性を示す遺伝子型があるが、複合的に作用すると全個体が死滅。気候変動と人為的要因が重なるリスクが高い。
遺伝的多様性の役割熱耐性を持つ遺伝子型の存在が確認されており、異種交雑による適応力向上の可能性も指摘される。遺伝的多様性の維持が生存の鍵。

未来への取り組み:科学的保全活動

取り組み内容
サンゴの養殖・移植熱・病気耐性を持つ個体を人工的に育て、サンゴ礁に移植する「再生プロジェクト」が世界各地で実施。
遺伝子研究の加速ストレス耐性に関与する遺伝子の特定が進み、保全戦略の精密化が図られている。
課題気候変動の根本原因(温室効果ガス排出)の抑制が伴わなければ、これらの努力は一時的な延命策にとどまる可能性がある。

結論

要点内容
全体の評価シカヅノミドリイシは依然として「絶滅危惧IA類(CR)」のまま。
過去との比較2014年から2022年にかけて、評価は変わらないが、実際の状況はより悪化。
今後の展望遺伝的多様性の確保と温暖化抑制が鍵。地球全体の気候対策が急務。

しかし、これらの懸命な努力も、気候変動の根本的な原因である温室効果ガスの排出が抑制されなければ、時間稼ぎにしかならないことも専門家は指摘している。

⬇︎シカヅノミドリイシの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
サンゴ礁の保護保全区域の設置や潜水制限により、物理的損傷・観光・漁業圧からサンゴ礁を保護
サンゴの養殖・移植健康なサンゴを養殖し、白化や破壊された場所へ移植して再生を促進
水質改善沿岸の汚染源(農薬・生活排水・土壌流出)を削減し、サンゴに適した環境を維持
海洋保護区の設定カリブ海各国で「Marine Protected Areas(MPAs)」を整備し、漁業と観光のバランスを管理
気候変動対策サンゴ白化の主要因である海水温上昇に対応するため、耐熱性個体の選抜・研究を推進
市民・地域参加ダイバーや地元住民によるサンゴ保全ボランティア活動や啓発イベントを実施
研究とモニタリングサンゴの成長速度・白化率・遺伝的多様性を長期的に観測・分析し、保全方針に反映

主な取り組み

  • 養殖・移植活動:海中育成施設で健康なサンゴを育て、劣化した礁へ移植
  • 保護区設定:カリブ海沿岸で海洋保護区を設け、漁業・観光を制限
  • 水質改善:農業排水や生活排水による富栄養化を防止
  • 気候対策:高温耐性を持つサンゴ系統の研究と導入
  • 市民参加:地元住民・ダイバーによる「リーフレスキュー」活動を展開
  • 長期観測:サンゴ群体の白化・病変・回復を追跡調査
  • 教育普及:学校教育・エコツアーなどを通じてサンゴ礁の価値を啓発

最後に

これを読んでみて、どのように感じましたか?

「サンゴ礁の死滅って最初の転換点って聞いたことある」

気候変動は、人類の想像を超える速度で進んでいますね。

心配なことこそ、知ることで安心へ変えましょう。

調べてみますね。


項目内容
定義「転換点(Tipping Point)」とは、一度超えると元に戻れない不可逆的な変化が連鎖的に広がる臨界点を指す。
比喩ドミノ倒しのように、一つの崩壊が他の崩壊を誘発する。
サンゴ礁の位置づけサンゴ礁は地球の「最初の転換点」とされる。気候変動の影響が最も早く、顕著に現れる生態系であり、その死滅は地球システム崩壊の警告とみなされている。
意味するものサンゴ礁の死滅は、地球がすでに危険な領域に突入した証拠であり、環境変化の不可逆化を象徴している。

連鎖する危機(システミック・リスク)の現実味

連鎖の構造影響・結果
サンゴ礁の死滅 → 海洋生態系の崩壊 → 食料安全保障の危機サンゴ礁を失うことで魚類の生息地が失われ、漁業資源が枯渇。沿岸住民の生活と食料供給が直撃を受ける。
サンゴ礁の死滅 → 防波堤機能の喪失 → 沿岸防災の脆弱化サンゴ礁は「天然の防波堤」として高潮や津波を和らげるが、その機能が失われ、沿岸地域の被害リスクが増大する。
次なる転換点:大西洋子午面循環(AMOC)の崩壊地球規模の気候システムが混乱。ヨーロッパの寒冷化、アジアのモンスーン変動、極端気象の頻発など壊滅的影響が想定される。
全体像サンゴ礁の崩壊は、単なる「生態系の一部の異変」ではなく、地球システム全体の連鎖的崩壊の引き金となる可能性を示す。

3. 「絶望」ではなく「行動」を促すための最後の警告

項目内容
メッセージの核心恐怖を煽るのではなく、「残された時間が極めて少ない中で、今すぐ行動すべきだ」という行動喚起のメッセージ
COP30との関係報告書の発表時期は、各国が新たな排出目標を設定するCOP30直前。科学者たちは政治的決断に直接影響を与える意図を持って発信している。
適応から脱却「気候変動への適応」だけでは不十分であり、根本原因=温暖化を引き起こす汚染の除去こそが急務である。
意義「絶望」ではなく「行動」へ──この報告は、未来を選び直すための最後の警鐘である。

サンゴ礁は、気候変動の影響が最も早く、最も顕著に現れる生態系の一つである。

その広範な死滅は、地球がすでに危険な領域に足を踏み入れたことを示す、動かぬ証拠と言える。

さらに、ヨーロッパの寒冷化やアジアのモンスーンの変化など、その影響は計り知れず、まさに「壊滅的」という言葉が当てはまる。

このことから、残された時間が極めて少ない中で、今すぐ行動を起こす必要がある。

それには、これまでは気候変動の影響にどう『適応』していくかに焦点が当てられてきたが、温暖化の原因となる汚染を断ち切るという「根本原因の除去」が急務である。


知っても安心できない状態にまで気候変動は起こっています。

なので、「知って行動する」と安心は向こうから歩いて来ます。

あなたは、傍観者のままで終わりたいですか?

私は嫌です。

『あなた』や『わたし』の小さな行動からこの気候変動の「根本的原因」を除去できるかも知れません。

わたしはそう信じます。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

シカヅノミドリイシに、あなたの5分が届くことを祈ります。

fukumomo3_photo


インスタでは、シカヅノミドリイシたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。

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