※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
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こんにちは、fukumomo3_photo です。
ジェームスコメネズミ(Nesoryzomys swarthi)は、
2014年、図鑑に【VU:危機】として分類されていました。
2018年、IUCNレッドリストで、【VU:危機】と評価されました。
つまり、2014年から2018年にかけて、ジェームスコメネズミは
「時間が癒せなかったのは、傷ではなく、沈黙だった」状態なのです。
※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるジェームスコメネズミの最新評価は2018年版です。それ以降の更新は行われていません。
この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/14709/22390617
壊した手で、いま守ろうとしている。
⬇︎ジェームスコメネズミの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | ジェームスコメネズミ |
| 英名 | Swarth’s Galápagos Mouse |
| 学名 | Nesoryzomys swarthi |
| 分類 | 哺乳類・ネズミ目(齧歯目)・ハタネズミ科(Cricetidae) |
| 分布 | エクアドル・ガラパゴス諸島(サンティアゴ島)固有種 |
| 主な生息地 | 乾燥低木林や溶岩原周辺、岩場の隙間など |
| 体長 | 約15〜18cm(尾を除く) |
| 体重 | 約50〜80g |
| 寿命 | 約1〜2年(野生下推定) |
| IUCN評価(2018年) | 【VU:危急(Vulnerable)】 |
特徴
- 名前の由来:「ジェームスコメネズミ」は、サンティアゴ島の旧名「ジェームズ島(James Island)」に由来し、この島で発見されたことから名づけられた。
- 外見:赤褐色から灰褐色の体毛で、腹部は淡色。しっぽはやや短く、細い。
- サイズ感:ガラパゴス固有の齧歯類の中では中型。外見は一般的なハタネズミに似るが、耳がやや大きい。
- 行動性:夜行性で、主に単独または小規模な個体群で行動する。
生態と行動
- 生息環境:サンティアゴ島の乾燥した地域に分布し、岩の隙間や植物の根元を巣として利用する。
- 食性:雑食性。種子、果実、昆虫、小型無脊椎動物などを食べる。乾季にはサボテンの果肉から水分を得る。
- 繁殖:雨季に繁殖が活発化。1回の出産で3〜5匹の子を産むとされる。
- 天敵:外来種(特にネコ、ネズミ、ブタ、ヤギ)による捕食や競合が最大の脅威。
- 保全状況:一時は絶滅したと考えられていたが、1997年に再発見。現在は個体数が安定傾向にあるが、依然として外来種の脅威にさらされている。
- 保護活動:ガラパゴス国立公園による外来捕食者の排除と、生息地の保全プログラムが継続中。
2014年絶滅危惧種:ジェームスコメネズミ【VU:危機】
残念なことに近年の気候変動はクマネズミを劇的に増やすと同時に、ジェームスコメネズミの生存に不可欠なウチワサボテンの数を大いに減らしてしまった。
出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| IUCN分類(最新評価:2018年) | Vulnerable(危急種) |
| 評価の意味 | 絶滅の危険性が高い状態が続いている |
| 主な脅威 | 外来種クマネズミ(ブラックラット)との競合・捕食 |
| その他の脅威 | 食料源であるウチワサボテンの減少・生息環境の変化 |
ウチワサボテンとガラパゴスの生態系
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ウチワサボテンの特徴 | 6種8変種すべてがガラパゴス固有種 |
| 主な食料関係 | ゾウガメ、リクイグアナ、ジェームスコメネズミなどが利用 |
| 共進化の関係 | 草食動物から身を守るため幹が木のように高く成長 |
| 保全の重要性 | サボテンの健全な生育環境=島の生態系全体の維持 |
進展する保護活動:未来への取り組み
| 分野 | 取り組み内容 | 主な成果・期待 |
|---|---|---|
| ① 外来種の駆除プロジェクト | クマネズミを中心とした外来種の徹底駆除(毒餌散布・地上設置など) | 他島では成功例あり。鳥類の繁殖率向上・ネズミ個体数減少を確認 |
| ② 生態系全体の回復プロジェクト | リクイグアナ再導入(2019年に1,400匹以上) | サボテン種子の散布を通じた自然循環の回復が期待される |
| ③ 植林活動 | 日本の団体も参加し、外来植物駆除跡にスカレシアなどを再植林 | ガラパゴスの森再生プロジェクトとして、固有植生の回復が進行中 |
ジェームスコメネズミと彼らの食料源であるウチワサボテンを取り巻く環境は、依然として予断を許さない状況である。
しかし、天敵である外来種の駆除や、生態系全体を回復させようという包括的な保全活動が力強く進められており、これらの取り組みが実を結ぶことで、彼らの未来がより明るいものになることが期待されている。
⬇︎ジェームスコメネズミの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 外来種対策 | 捕食者として導入されたネコ・ネズミ・ヤギなどの外来種を排除・管理 |
| 生息地保全 | ガラパゴス諸島内の自然植生を回復し、乾燥林やサボテン地帯を保護 |
| 保護区の設定 | ガラパゴス国立公園および世界遺産地域として法的に保護されている島で保全活動を実施 |
| 個体群管理 | 生息個体のモニタリング、遺伝的多様性の確保、環境変化への対応策を検討 |
| 環境修復 | 過去に放牧や伐採で損なわれた環境を再生し、在来植物を植栽 |
| 研究とモニタリング | 生息密度調査、巣穴分布の記録、カメラトラップや夜間観察による生態把握 |
| 教育と啓発活動 | 地元住民・観光客に対し、ガラパゴス固有の哺乳類保全の重要性を伝える教育プログラムを展開 |
主な取り組み
- 外来種排除:捕食者(ネコ・ラット)を徹底的に駆除し再侵入を防止
- 生息地保全:原生植生を守り、侵入植物を除去
- 保護区指定:ガラパゴス国立公園内での法的保護と厳格な監視
- 個体群調査:個体数変動と繁殖傾向を長期モニタリング
- 環境修復:放牧や火災で失われた生息環境を回復
- 遺伝研究:近縁種との比較による多様性保持策の検討
- 教育活動:地元学校やツーリズムを通じた固有生物保全の啓発
最後に
これを読んでみて、どのように感じましたか?
「そもそも人間が行かなければ、このユニークな生態系は守られていたのに」
とても難しい問題だと思いますが、私も同感します。
調べてみますね。
| 区分 | 内容 | 主な影響・事例 |
|---|---|---|
| ① 人間の入植と交易(1800年代〜) | 食料・家畜・ペットの持ち込みにより、外来動植物が定着。 | 家畜:ヤギ・ブタ・ウシ・ロバが野生化し、植生を破壊。ペット:ネコ・イヌが野生化し、鳥類や小型哺乳類を捕食。クマネズミ・ハツカネズミ:船に紛れ込み上陸。繁殖し、固有種を捕食。 |
| ② 観光と人口増加(1900年代以降) | 観光業の拡大と物流の増加により、外来種侵入が加速。 | 輸送手段:飛行機・船に種子や昆虫・微生物が混入。観光客の荷物:靴底や衣類に種子・昆虫の卵が付着。 |
| ③ 外来植物の侵入 | 食用・観賞用目的の植物が野生化し、固有植物を圧迫。 | 意図的持ち込み:栽培目的で導入された植物が繁殖。非意図的持ち込み:輸送物や衣服に種子が付着。 |
現在の対策と課題
| 対策内容 | 実施場所・方法 | 目的・特徴 |
|---|---|---|
| 本土空港での検疫 | エクアドル本土(キト・グアヤキル)で出発前検査を実施。 | 動植物や生果物などの持ち込みを制限。 |
| 入島時の再検査と宣誓書提出 | ガラパゴス到着時に再検査と宣誓書提出を義務化。 | 外来種の侵入防止への意識づけを強化。 |
| 殺虫スプレー散布 | 飛行機内で手荷物や座席周辺に散布。 | 微小昆虫・卵の持ち込み防止。 |
| 島間移動の制限 | 島から島への動植物・土の移動を禁止。 | 島ごとの生態系の独立性を保つ。 |
ガラパゴス諸島は、そのユニークな生態系ゆえに「進化の実験室」と呼ばれる。
しかし、現在のガラパゴス諸島は、観光が環境保護に不可欠な要素となっているという、少し皮肉なジレンマを抱えている。
| № | 影響のテーマ | 内容 | 主な結果・懸念 |
|---|---|---|---|
| 1 | 保護活動の資金源が絶たれる | ガラパゴスの保全には外来種駆除・調査・レンジャー雇用など多額の資金が必要。その主な財源は観光客が支払う入島料(1人100ドル)。 | ・駆除プロジェクトの中止 ・パトロール活動の停止 ・生態系モニタリングの継続困難 ・人間がもたらした問題の解決資金が失われる |
| 2 | 地域住民の生活が成り立たなくなる | 島の経済は観光業に大きく依存(ホテル・レストラン・ツアーなど)。観光が途絶えると住民の収入源が失われる。 | ・漁業拡大や土地開発による環境破壊のリスク ・密猟や違法伐採の増加 ・環境保全への関心や動機の低下 |
| 3 | 世界的な関心が薄れてしまう | 訪問者が体験を通じて環境保護意識を広げてきた。観光が止まると情報発信と支援の輪が縮小。 | ・国際的な注目の低下 ・寄付や支援の減少 ・「遠いどこかの島」化による孤立 |
「そもそも行かなければ」という考えは、問題の本質を突いている。
その上で、一度人間が関わってしまった場所をどう未来に残していくか、という現実的な課題に対する現在の答えが、この「管理された観光」である。
「これもきっとこの観光資源をあてにして違う事業をしている人たちの言い訳なのでしょうね」
そのような考えも当然浮かびます。
さらに深掘りしてみますね。
| № | 観点 | 内容 | 主なポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | お金は「誰が」「何に」使っているのか? | 観光客が支払う入島料(外国人成人200ドル)は法律で使途が定められており、40%がガラパゴス国立公園管理局に配分。 | ・外来種の駆除・管理(クマネズミや外来植物の対策) ・科学的調査とモニタリング ・レンジャーの給与・装備・監視活動 ・環境教育プログラムの実施 ・自治体(25%)・海洋保護区(5%)・検疫(5%)への分配もあり、地域全体を支える仕組み |
| 2 | 住民を「破壊者」から「守護者」へ | かつて密漁で生計を立てていた住民が、観光業の拡大により保全の担い手へと変化。 | ・「自然があるからこそ生活が成り立つ」という意識の芽生え ・漁民がナチュラリストガイドや船の操縦士に転身 ・地域住民を保全活動に巻き込む仕組み →「保全を自分ごと化」させる戦略的転換 |
| 3 | 完璧ではないが「最善の策」 | 観光による環境負荷(ゴミ、水資源、外来種リスク)は残るが、完全隔離では失敗した歴史がある。 | ・「人を入れない」政策で関心が薄れ、保護活動が停滞 ・現在は「人間の関与を厳しく管理し、経済活動を保全に還元する」方針 → 理想よりも「現実的な共存」への挑戦 |
この「管理された観光」とは「観光事業者の言い訳」という側面はゼロではないかもしれない。
しかしそれ以上に、「管理された観光」は、科学者、行政、そして地元住民が長年の試行錯誤の末にたどり着いた、理想と現実の狭間にある、現時点で最も現実的な次善の策といえる。
結論として、ガラパゴス諸島は、「もう元には戻せない状態」なのである。
ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。
あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。
ジェームスコメネズミに、あなたの5分が届くことを祈ります。
fukumomo3_photo
インスタでは、ジェームスコメネズミたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。



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