※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
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こんにちは、fukumomo3_photo です。
サルクイワシ(Pithecophaga jefferyi)は、
2014年、図鑑に【CR:深刻な危機】として分類されていました。
2018年、IUCNレッドリストで、【CR:深刻な危機】と評価されました。
つまり、2014年から2018年にかけて、サルクイワシは
「森の沈黙が、翼の音を呑みこんでいた」状態なのです。
※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるサルクイワシの最新評価は2018年版です。それ以降の更新は行われていません。
この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/22696012/129595746
小さな誤解が、ひとつの種を追い詰めるとき
⬇︎サルクイワシの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | サルクイワシ(猿喰鷲) |
| 英名 | Philippine Eagle |
| 学名 | Pithecophaga jefferyi |
| 分類 | 鳥類・タカ目・タカ科 |
| 分布 | フィリピン(ルソン島、レイテ島、サマール島、ミンダナオ島)固有種 |
| 主な生息地 | 熱帯雨林(標高1,000〜1,800mの山地林) |
| 体長 | 約86〜102cm(世界最大級のワシの一つ) |
| 翼開長 | 約2メートル以上 |
| 体重 | オス:約4.5kg、メス:約6〜8kg |
| 寿命 | 野生下で約30〜40年、飼育下では60年近く生きる個体も |
| IUCN評価(2018年) | 【CR:深刻な危機(Critically Endangered)】 |
特徴
- 名前の由来:「サルクイワシ」という和名は、かつてサルを捕食していたと考えられたことに由来します。
- 外見:頭部の長い羽冠が特徴で、冠羽を立てるとライオンのたてがみのように見える。虹彩は淡い灰色または青。
- 視力:人間の約8倍とも言われる鋭い視力を持ち、森林の樹冠越しに獲物を見つける。
- 鳴き声:甲高く「クウィーッ」と鳴く。森の中でも遠くまで響く声を持つ。
- 性差:メスのほうが大きく、力強い。オスは狩りを担当することが多い。
生態と行動
- 食性:主に中型哺乳類(マカク、リス、コウモリなど)や鳥類(オオコウモリなど)を捕食。生態系の頂点捕食者。
- 繁殖:繁殖サイクルは非常に遅く、2年に1回ほど。1回の産卵で卵は1個だけ。
- 子育て:両親が協力して約2か月間抱卵し、孵化後も1年以上にわたってヒナを育てる。
- 行動範囲:広い縄張りを持ち、1つがいあたりのテリトリーは25〜50km²にも及ぶ。
- 脅威:森林伐採による生息地の喪失、違法狩猟、電線への衝突など。
- 保全活動:フィリピン政府と「Philippine Eagle Foundation」が保護・繁殖プログラムを実施中。
2014年絶滅危惧種:サルクイワシ【CR:深刻な危機】
多くの地元民が、このワシがニワトリを捕食するものと誤解して狩りの対象とし、このことも脅威となっている。
出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
| セクション | 内容 |
|---|---|
| 1. 誤解と実際の食性 | 信じられていること(誤解): 地域住民の間では、フィリピンワシがニワトリや子ヤギ、子ブタなどの家畜を襲う「害鳥」と信じられており、見つけ次第射殺されることもある。 実際の食性(事実): 主な獲物はヒヨケザル(空飛ぶキツネザル)で、ほかにサル類、オオトカゲ、ヘビ、鳥類(サイチョウなど)を捕食。 家畜を襲うことは極めて稀で、主な原因は生息地の破壊による獲物不足。 |
| 2. なぜ誤解が狩猟につながるのか? | 経済的な理由: 家畜は生活の糧であり、「被害の恐れ」が予防的な駆除を誘発する。 情報の不足: ワシが生態系の頂点に立つ重要な存在であることが十分に知られていない。 迫力ある外見: 全長1m・翼開長2mの巨体が恐怖心をあおり、誤解を助長している。 |
| 3. 狩猟がもたらす深刻な影響 | IUCNレッドリスト:CR(絶滅寸前) 個体数:野生ではわずか数百羽(約392つがい) 影響: 森林伐採に加え、狩猟が個体数の減少を加速。 繁殖特性: 2年に1羽のヒナしか育てないため、1羽の喪失が致命的。 |
| 4. 保護への取り組み | 教育・啓発活動: 誤解を解くための地域キャンペーンを実施。 コミュニティ連携: 住民を巣の監視員として雇用し、保護が利益につながる仕組みを構築。 法的保護: フィリピンの国鳥として法により厳重に保護され、殺害には高額罰金・長期懲役が科せられる。 |
| 5. 背景の意味 | 図鑑の一文に隠れていたのは、「人間と野生の対立」という構造的な問題。 それを乗り越えようとする人々の努力が、今も続いている。 |
「ニワトリを捕食するという誤解による狩猟」は、フィリピンワシの保護活動において長年の課題となっている。
背景には、人間と野生動物の間に生じた深刻な対立、そしてそれを乗り越えようとする人々の努力がある。
⬇︎サルクイワシの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 森林保全 | フィリピンの低地熱帯雨林を保護し、違法伐採・農地転換・鉱山開発を防止 |
| 保護区の設定 | ミンダナオ島・ルソン島などの主要繁殖地において「サルクイワシ保護区」を指定し管理 |
| 繁殖・救護プログラム | フィリピンイーグルセンター(Philippine Eagle Foundation, PEF)で飼育下繁殖と負傷個体のリハビリを実施 |
| 法的保護 | 国家鳥として法的に保護されており、狩猟・捕獲・取引を禁止(フィリピン野生動物保護法) |
| 教育・地域参加 | 学校教育・メディア・地域住民との協働による環境教育と「森を守る意識」の普及活動 |
| 国際協力 | IUCN、UNDP、USAIDなどの国際機関が資金援助や技術協力を提供 |
| 研究とモニタリング | GPS送信機を用いて繁殖行動・行動圏・餌資源などの科学的データを収集・分析 |
主な取り組み
- 森林保全:伐採・農地化・鉱山開発を防ぐための熱帯雨林保護プロジェクト
- 保護区指定:ミンダナオ島などに「サルクイワシ生息域保全区」を設定
- 繁殖支援:フィリピンイーグルセンターによる人工繁殖・救護・再導入
- 法的保護:国家鳥として厳重に保護、狩猟・取引を全面禁止
- 環境教育:住民・学生を対象に保全の重要性を伝える教育プログラム
- 国際支援:IUCNやUSAIDによる資金・技術支援
- 科学研究:衛星追跡とDNA分析により個体群の動態を継続的にモニタリング
最後に
これを読んでみて、どのように感じましたか?
「2025年の今は誤解されてないよね?」
そうだといいですよね。
気になるので、調べてみますね。
| セクション | 内容 |
|---|---|
| 1. 銃による射殺事件が継続的に発生 | 直近の報告(2024年):銃撃されたサルクイワシが複数発見・保護され、一部は死亡。これは過去5年間で初の銃による死亡例。 手製銃の使用:登録制のエアガンに加え、ビー玉などを発射する手製銃が使用され、取り締まりが難航。 PEFの記録:過去5年間で少なくとも11羽が銃撃による負傷を確認。 |
| 2. 「害鳥」という誤解は未だ根強い | 根本原因:森林伐採による生息地の喪失で、ワシが人里に出没。家畜襲撃の誤解と恐怖心が狩猟を誘発。 PEFの見解:ワシが人里へ来るのは「獲物を求めた結果」であり、それが人間との衝突を生んでいる。年間少なくとも1羽が射殺されているとの報告も。 |
| 3. 対策と保護活動の現状 | 罰則の強化:ワシの殺害には最大12年の懲役と高額罰金。さらに厳罰化を目指す法改正案を議会で審議中。 地域連携(Bantay Bukid):先住民族・地域住民を森林監視員として雇用し、巣や生息地を保護。 教育・啓発活動:PEFを中心に、学校・地域でワシの正しい生態を伝えるキャンペーンを継続。 繁殖・リハビリ活動:保護個体の治療と飼育下繁殖を進め、2025年1月には新たなヒナ誕生の朗報も。 |
| 4. 全体の傾向と課題 | 銃撃・誤解・森林伐採という複合的な問題が依然として深刻。 しかし、地域社会との協力によって「ワシを守ることが暮らしを守る」意識が広がりつつある。 |
出典:“At least one Philippine eagle is killed every year because of shooting.”
いまだ「家畜を襲う害鳥」という誤解による狩猟・密猟は、サルクイワシが直面する最も直接的な脅威の一つであることに変わりはない。
しかも、生息地である森林の減少という大きな問題に加え、人間による迫害が、この絶滅寸前の貴重な鳥をさらに追い詰めているのが現状である。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 1. 圧倒的な存在感と見た目からの恐怖 | サルクイワシは翼を広げると2メートルに達する世界最大級の猛禽類。 その巨大で精悍な姿が人々に「力強い捕食者」という印象を与え、直感的な恐怖や警戒心を生み出した。 姿を見ただけで脅威として認識されやすく、「あれなら家畜を襲うだろう」と思われてしまう。 |
| 2. 生活への不安と“犯人”の特定しやすさ | 山間部では家畜(ニワトリ・ヤギなど)が生活の糧であり、失えば経済的損失が大きい。 家畜が病気や他の動物によって失われた際、原因が不明な場合、目立つ存在であるワシが「犯人」とされやすい。 不安や怒りの矛先が、最も見えやすい“空の容疑者”に向けられる構造。 |
| 3. 生息地の破壊による人間との遭遇 | 森林伐採によって本来の狩り場を失い、餌を求めて人里に近づくケースが増加。 人々は「ワシが増えた」「家畜を狙っている」と誤解するが、実際は生きる場所を追われた結果。 背景を知らない人々にとって、ワシの出現は“脅威の拡大”として映る。 |
| 4. 正しい生態に関する情報の不足 | 地域住民は、ワシの主な獲物(ヒヨケザルなど)や生態系での役割を知る機会が少ない。 国鳥としての法的保護や、生態学的価値に関する情報も末端まで届かない。 科学的知識よりも言い伝えや噂が優先され、「害鳥」という誤解が世代を超えて固定化した。 |
| 結論:複合的な誤解の連鎖 | 「恐怖」「不安」「環境変化」「情報不足」が重なり、 結果として「サルクイワシ=家畜を襲う害鳥」という誤解が社会の中に深く根を下ろした。 |
科学的な知識よりも、「古くからの言い伝えや噂、個人の思い込み」が優先され、「ワシは害鳥だ」という誤解が世代を超えて受け継がれた。
このようなことは、現代の生活にも当てはまり、「昔の人が言ったから、〇〇は危険だ」などの言い伝えや誤解がSNSなどで拡散されさらに悪化する。
これらを防ぐには、自ら書籍を読むなどして、知る努力をすることが大切である。
ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。
あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。
サルクイワシに、あなたの5分が届くことを祈ります。
fukumomo3_photo
インスタでは、サルクイワシたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。



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