11年後のレッドリスト|カークルーフアオシジミ:静かな草原に、かすかな青の祈りが残された【IUCNレッドリスト比較】

カークルーフアオシジミ 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
※当サイトはアフィリエイト広告による収益を得ています。

こんにちは、fukumomo3_photo です。

カークルーフアオシジミ(Orachrysops ariadne)は、

2014年、図鑑に【VU:危急】として分類されていました。

2020年、IUCNレッドリストで【EN:危機】と評価されました。

つまり、2014年から2020年にかけて、

カークルーフアオシジミは「静かな草原に、かすかな青の祈りが残された」状態になってしまいました。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるカークルーフアオシジミの最新評価は2020年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでくれると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/15413/168301698

カークルーフアオシジミが示す、生態系への依存の本質

⬇︎カークルーフアオシジミの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|カークルーフアオシジミ(Karkloof Blue)
項目情報
和名カークルーフアオシジミ
英名Karkloof Blue Butterfly
学名Orachrysops ariadne
分類昆虫綱・チョウ目・シジミチョウ科(Lycaenidae)
分布南アフリカ共和国(クワズール・ナタール州のカークルーフ山地周辺に限定)
主な生息地草原(原生の草原地帯、特にレンティル状の植生)
体長(翅の開張)約4〜5cm
体重―(昆虫のため測定対象外)
寿命成虫は2〜3週間程度、種全体のライフサイクルは1年

特徴

  • 名前の由来:「カークルーフ」は南アフリカ・クワズール・ナタール州の地名から。
  • 翅の色:オスは鮮やかな青色、メスは茶色がかり地味な色合い。
  • 食草:幼虫は Indigofera woodii(マメ科植物)のみを食べるという強い食草特異性を持つ。
  • 共生関係:幼虫はアリ類と共生し、保護を受けながら成長する。

生態と行動

  • 発生時期:成虫は毎年11月〜12月に出現し、限られた短い期間だけ飛翔する。
  • 行動範囲:飛翔力は弱く、生息地からほとんど移動しない。
  • 繁殖:メスは食草の近くに産卵。孵化後の幼虫はアリと共生しながら成長。
  • 生息域の狭さ:ごく限られた草原環境にしか生息せず、個体群も小規模。

保全状況

  • IUCNレッドリスト:EN(絶滅危惧種, Endangered)
  • 主な脅威
    • 生息地の農地開発・都市化による草原の消失
    • 侵入植物による食草の減少
    • 気候変動による環境変化
  • 保護活動
    • カークルーフ自然保護区での生息地保護
    • 食草 Indigofera woodii の保全・再植栽
    • 市民や学校を巻き込んだ保護教育活動

2014年絶滅危惧種:カークルーフアオシジミ【VU:危急】

この種は南アフリカのクワズール・ナタール州にあってウッドインディゴの上という非常に特別な環境にのみ生息する。まずその食草に卵を産み、ふ化した幼虫はオオアリと互恵的な関係をもちつつ成長する。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

カークルーフアオシジミが生息する環境が「非常に特別」とされる理由は、蝶、特定の植物、特定のアリ、そして特有の地形と環境管理という複数の要因が奇跡的に重なり合わなければならない点にある。

条件内容
絶滅危惧の生息地タイプ南アフリカ・クワズールナタール州の ミッドランド・ミストベルト草原 に限定。農地化や植林で90%以上が消失。
食草の希少な変種幼虫の食草は ウッドインディゴ(Indigofera woodii var. laxa)。湿潤な斜面にのみ生育し、分布が極めて狭い。
共生するアリナタールシュガーアント(Camponotus natalensis) が必須。幼虫はアリに巣へ運ばれ、保護されて成長。
微地形・環境条件冷涼で湿度の高い 南向きまたは南西向きの斜面。密生した草原環境で森林端に近いことが多い。
火災管理の精密さ適度な火入れが必須。
・頻度が高すぎ(2年未満)→壊滅的打撃。
・長すぎ(4年以上)→食草減少。
・幼虫が地中にいる時期に適切な強度で行う必要。

「ウッドインディゴの上という非常に特別な環境」とは、単に植物がある場所という意味ではなく、「絶滅危惧のミストベルト草原」の中で、「南向きの斜面」に、「希少な食草の変種」と「特定の共生アリ」が同時に存在し、なおかつ「適切な火災頻度」によって維持されている、極めて限定的で脆弱な生態的ニッチ(生息適所)を指す。

これらの条件が一つでも欠けると、カークルーフアオシジミは存続できない。

⬇︎カークルーフアオシジミの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保護南アフリカ・クワズールナタール州の限られた草原を保全し、農地転換や都市化を防ぐ
食草の保全幼虫が依存するインディゴ属植物(Indigofera spp.)の生育環境を守る
アリとの共生保護幼虫が特定のアリ種に保護されて育つため、アリ生息環境も合わせて保護
保護区の設定クワズールナタール州の自然保護区内で生息地を管理し、火入れや放牧を制御
市民・地域参加地域住民によるモニタリングや環境教育を通じ、保全意識を高める
研究とモニタリング個体数の調査、遺伝的多様性の研究、生息環境の変化追跡を継続

主な取り組み

  • 生息地保全:草原を開発や農地転換から守る
  • 食草保護:幼虫の食草であるインディゴ属植物を保全
  • アリとの共生:幼虫を保護するアリ種の環境も守る
  • 保護区管理:自然保護区で火入れや放牧を調整
  • 地域参加:住民による観察・啓発活動を実施
  • 科学研究:個体数や遺伝多様性をモニタリング

最後に

これを読んで、どのように感じましたか?

「依存体質だね!」

と、相利共生を笑う?

「微妙なバランスなんだよね…」

と、生物界のバランスの不思議を感じる?

感じ方は、いろいろあると思います。


単に、カークルーフアオシジミの極端に特殊化された生き方は、「生物は単独では生きられない」という真実を凝縮して見せてくれるモデルケースなだけであり、人類も、腸内細菌・農作物・家畜・生態系サービスなどの相利共生で生かされている。

しかし、人類はその関係性を非常に複雑かつ大規模にした結果、自分たちが依存している生態系全体を不安定化させる力まで持ってしまった。

「生物は単独では生きられない」

これは、どの生物にも当てはまる本質である。
出典:Global Assessment Report on Biodiversity and Ecosystem Services


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な命である5分間を本当にありがとうございました。

カークルーフアオシジミに、あなたの5分が届くことを祈ります。

fukumomo3_photo


インスタでは、カークルーフアオシジミたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。

コメント