11年後のレッドリスト|コガネニセジクホコリ:雪解けの影で、置き去りの光【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|コガネニセジクホコリ:雪解けの影で、置き去りの光【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。

Hi there, I’m 鶏人|Keijin.

Back in a 2014 field guide, Diacheopsis metallica was featured as a slime mold that relies on very specific microhabitats during the snowmelt season. At the time, it was flagged with a threat level equivalent to “NT” (Near Threatened).

Fast forward to 2026, however, and you won’t find this species officially evaluated on the IUCN Red List. Over on the Global Fungal Red List Initiative, its assessment status is marked as “Dormant.” This doesn’t mean the threat has vanished out of thin air. Rather, there just isn’t enough information available to conduct a proper assessment, leaving it stuck in limbo before any official conservation judgment can be made.

I believe Diacheopsis metallica remains exactly that: “A forgotten light, left behind in the shadows of the melting snow.”

This is a quick read—it’ll only take about 5 minutes.
I’d love it if you stuck around to the end.

こんにちは、鶏人|Keijinです。

コガネニセジクホコリ(学名:Diacheopsis metallica)は、2014年の図鑑では、雪解け期の限られた微小環境に依存する変形菌として紹介され、「NT:準絶滅危惧」相当の危機が示されていました。

しかし2026年時点で確認すると、この種はIUCNレッドリストの公式評価としては確認できません。Global Fungal Red List Initiativeでは評価状況がDormantとなっており、危機が消えたというより、評価のために必要な情報が足りず、正式な保全判断まで届いていない状態です。

コガネニセジクホコリは今も、「雪解けの影で、置き去りの光」状態なのだと思います。

この記事は短く、5分で読めます。
よかったら最後まで読んでください。

※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける正式な最新評価は確認できていません。2014年図鑑では暫定的にNT相当として紹介されていましたが、現在確認できるGlobal Fungal Red List Initiative上の評価状況はDormantであり、以降の正式なIUCN公開評価は確認できていません。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:GBIF:Diacheopsis metallica Meyl., 1930(学名:Diacheopsis metallica

評価されないまま消える小さな変形菌|コガネニセジクホコリが映す雪解け環境の危機

⬇︎コガネニセジクホコリの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

基本情報|コガネニセジクホコリ(英名:No established English common name)

主に Index Fungorum、GBIF Japan、GBIF本体、Myxomycètes des Vosges の記載を照合しました。コガネニセジクホコリは、動物でも植物でも菌類そのものでもなく、アメーボゾアに属する変形菌・粘菌の一種として扱うのが正確です。Index Fungorum でも、Diacheopsis metallica は現在名として掲載されていますが、「この属名は菌類クレード内の生物には適用されない」という注記があり、分類上は Amoebozoa / Myxogastrea 側に置かれています。(Index Fungorum)

項目内容
和名コガネニセジクホコリ
かな表記こがねにせじくほこり
英名確立した一般英名は確認しづらい。英語圏では学名 Diacheopsis metallica のまま扱われることが多い
学名Diacheopsis metallica
命名者・命名年Meyl., 1930
原記載Bulletin de la Société Vaudoise des Sciences Naturelles 57:149, 1930
分類上の注意変形菌・粘菌の一種。日常的には「slime mold」と呼ばれるが、現在の系統分類では真菌そのものではなく、Amoebozoa に属する
上位分類真核生物・アメーボゾア・変形菌綱・Stemonitida 目・Lamprodermatidae 科・Diacheopsis 属
Index Fungorumでの分類Lamprodermatidae、Stemonitida、Columellinia、Myxogastrea、Mycetozoa、Amoebozoa、Protozoa として扱われる
Diacheopsis
属のタイプ種Diacheopsis metallica。Diacheopsis 属の基準となる種
和名の確認GBIF Japan の標本観察データ検索では、Diacheopsis metallica に「こがねにせじくほこり」「コガネニセジクホコリ」の和名が対応している
IUCNレッドリストIUCN Red List で評価対象として確認できない。少なくとも一般的な絶滅危惧種データベースで評価された動植物のようには扱われていない
分布GBIFでは Diacheopsis metallica は受容名として扱われ、世界各地から標本・観察記録が登録されている。記録数はGBIF上で数百件規模
原記載地・基準的情報Index Fungorum では、基質・産地情報として「土壌上、スイス」と記録されている
日本での記録GBIF Japan のデータセット内に和名付きで掲載があり、日本国内でも標本・観察記録が存在する
生息環境森林内の落枝、倒木、落葉、地表近くの有機物、湿った微環境などに発生する変形菌と考えられる
具体的な基質例Myxomycètes des Vosges では、ブナ林内で地面に落ちたブナの小枝上に発生した記録が示されている
雪との関係同記録では、融雪の近く、ただし雪のすぐそばではない場所で採集されたとされる。雪解け期・冷涼湿潤な環境と関係する可能性がある
肉眼で見える部分主に子実体・胞子形成体が観察対象になる。変形体そのものは一時的で、見つけにくい
子実体の形プラスモジオカルプ状、つまり変形体の流れ跡に沿うような、やや伸びた形の胞子形成体を作る
子実体の配置小さな群れを作り、5〜6個ほどが共通の下生膜上に集まる例が記録されている
子実体の大きさMyxomycètes des Vosges の記載では、長さ最大約3mm、高さ約1mm
灰色から青色がかった色で、金属光沢・虹色光沢を帯びる
名前の由来に関係する特徴種小名 metallica は「金属的な」「金属光沢をもつ」という意味で、子実体の金属的な光沢に由来すると考えられる
和名の印象「コガネ」は黄金色・金属光沢の印象、「ニセジクホコリ」は近縁群・形態上の印象を反映した和名と考えられる
胞子の色胞子塊では非常に暗い褐色。透過光下では明るい褐色に見えるとされる
胞子の大きさMyxomycètes des Vosges の記載では12〜13µm
胞子表面ゆるく、不規則に小さな棘状突起をもつと記載される
細毛体不規則に分枝し、やや粒状で、先端部は色が薄くなるとされる
生活史変形菌として、胞子、アメーバ状細胞、変形体、子実体形成という段階をもつ。湿度や温度などの条件が整うと子実体を作る
栄養摂取変形体の時期に、細菌、酵母、微小な有機粒子などを取り込んで生活すると考えられる
生態的役割森林内の微生物群集の一員として、落枝・落葉上の細菌や微小有機物の循環に関わる
観察されやすい時期記録からは、湿った時期、融雪期、冷涼な森林環境などで見つかる可能性がある。ただし地域差が大きく、通年で安定して見られる種とは言いにくい
探す場所湿った森林、落枝、ブナなど広葉樹の小枝、倒木、腐朽木、落葉がたまる場所
観察の難しさ子実体が数mm程度と非常に小さいため、肉眼だけでは見落としやすい。ルーペや実体顕微鏡があると確認しやすい
同定の難しさ色や形だけでは近縁種と混同しやすい。胞子径、胞子表面、細毛体、子実体構造などの顕微鏡的特徴が重要
近縁・類似種Diacheopsis 属の D. mitchellii、D. pauxilla、D. vermicularis などと比較される可能性がある
保全上の扱い個別種としての保全評価は一般に整備されていない。希少性の判断には、地域ごとの標本記録数、森林環境、基質の残存状況を確認する必要がある
主な脅威になり得るもの森林内の倒木・落枝の除去、過度な清掃、森林乾燥化、林床環境の単純化、湿潤な微環境の喪失

コガネニセジクホコリは「生き物としての本体」がいつも金色に見えているわけではありません。人が見つけやすいのは、胞子を作るために現れるごく小さな子実体で、その表面が灰青色から金属光沢・虹色光沢を帯びるため、名前にもその印象が反映されています。Myxomycètes des Vosges の記載では、子実体は最大でも長さ約3mm・高さ約1mmほどで、胞子は12〜13µmとされます。(Myxomycètes des Vosges)

出典

最終評価なし:コガネニセジクホコリ「正式IUCN評価なし」

コガネニセジクホコリは、雪解けの泉近くだけにすむという特殊な生態群に属し、これらは春先、雪どけ前に激しい日差しにさらされる山間部にのみ生息する。上に覆いかぶさる雪が土壌の急激な温度変化をおさえ、浮遊水と適度な微小環境をもたらす。コガネニセジクホコリは気候変動により積雪が減りつづけているため、危機にさらされている。

出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

コガネニセジクホコリ(Diacheopsis metallica)|2026年時点の現状まとめ

確認した限り、この種は「2014年のNTから、2026年に別カテゴリへ正式更新された」という状態ではなく、むしろ「正式評価が止まっている/情報不足扱いに近づいた」と見るのが正確です。GBIFでは Diacheopsis metallica Meyl., 1930 は受容名として扱われ、記録数は470件ありますが、これは分布記録であって個体数や安全性を示すものではありません。(GBIF)

項目2014年の図鑑現在(2026年確認)
和名コガネニセジクホコリコガネニセジクホコリ。日本語名としては現在もこの表記で扱ってよい。
学名Diacheopsis metallica MeylanDiacheopsis metallica Meyl., 1930。GBIFでは受容名。
分類上の位置づけムラサキホコリ科の変形菌として紹介。GFRLI画面では Kingdom: Protozoa、Phylum: Amoebozoa、Class: Myxogastrea、Order: Stemonitida、Family: Stemonitidaceae。つまり厳密には植物でも動物でも真菌でもなく、変形菌・粘菌として扱うのが安全。
2014年時点のレッドリスト表示図鑑では準絶滅危惧、NTとして掲載。ただし本文では「IUCNレッドリストでは正式に評価されていないが、暫定的には準絶滅危惧」と説明。GFRLIでは Assessment status が Dormant。正式なIUCN公開評価として確定している状態ではない。2015年の検討では、利用可能な情報の不足からDDまたはNE相当と解釈されている。
状態変化の読み方「気候変動で積雪が減り、危機にさらされている希少な雪解け性変形菌」として紹介。危機が消えたわけではない。むしろ「NTとして確定」ではなく、「評価に必要な生態・分布・個体群情報が不足し、評価作業が止まっている」と読むべき状態。
分布図鑑の地図では北米、ヨーロッパ、ロシア、日本など、北半球を中心に広く示されている。GFRLI画面では、オーストリア、カナダ、フランス、日本、ニュージーランド、ロシア、スイス、アメリカで記録。地理範囲説明では、アジアは日本とロシア、オーストララシアはニュージーランド、ヨーロッパはオーストリア・フランス・ロシア・スイス、北米はカナダと米国西部。
標高図鑑では雪解けの泉近く、春先の山間部という説明が中心。GFRLI画面では標高60〜4000mで記録され、多くは1000〜2000mとされる。雪解け性だが、必ずしも高山帯だけの種ではなく、山地・亜高山・高山の雪解け環境に関係する。
生息環境雪解けの泉近くだけにすむ特殊な生態群として説明。春先、雪どけ前に強い日差しを受ける山間部に生息。現在の説明でも、融雪斑の近くに出る nivicolous myxomycetes、つまり雪解け性変形菌として扱われる。生きた植物体・枯死植物体の上に発生するが、植物そのものを食べるというより、生活史の基盤・微小環境として利用する。
重要な微小環境雪が土壌の急激な温度変化を抑え、浮遊水と適度な微小環境をもたらす、と説明。この理解は現在も大きく変わっていない。雪は夜昼の急激な温度変化を抑え、融雪水と地表付近の湿った微気候をつくるため、栄養体・子実体形成に重要。雪解け性変形菌は春の融雪縁で子実体を出す生態群として研究されている。(Nature)
脅威気候変動により積雪が減りつづけているため、危機にさらされている。脅威の中心は現在も気候変動。冬季積雪の減少、融雪時期の変化、山岳地域の雪解け微小環境の縮小により、分布が高標高側へ押し上げられ、最終的に植物基質の乏しい岩場などで孤立する可能性が指摘されている。
個体群傾向図鑑では危機要因は説明されているが、個体数変化の詳細は限定的。GFRLI画面では Population Trend は Uncertain。国別でも不明扱いが多く、個体群が増えている・減っていると断定できる段階ではない。
日本での扱い日本も分布域に含まれる種として紹介されている。GFRLI画面では日本が Country occurrence に含まれる。GBIF Japanの国立科学博物館・変形菌類コレクションでは、Diacheopsis metallica の登録件数が4件示されている。(gbif.jp)
世界の記録数図鑑では主に危機評価と分布の説明。GBIFでは Diacheopsis metallica の occurrence が470件。ただし、これは標本・観察記録の集積であり、個体数推定や絶滅リスク評価そのものではない。
ドイツでの扱い図鑑本文にはドイツの地域評価は出ていない。ドイツのレッドリストセンターでは Diacheopsis metallica は Rare とされている。ただし同ページは「ドイツ国内カテゴリは国際IUCNカテゴリと対応しない」と明記しているため、IUCNのNT/VU等と直接比較してはいけない。(Rote Liste Zentrum)
保全活動図鑑では「現在、この種を保護するための活動は行われていない」と説明。GFRLI画面でも、In situではこの種に特化した保全計画・活動は知られていない。Ex situでも、WFCCに保存された生きた株は記載されていない、とされる。つまり2026年確認でも、種単独の保全はほぼ未整備。
必要な研究図鑑では詳細な研究課題までは大きく扱われていない。GFRLI画面では、新産地の探索、生態的選好と脅威の明確化、最適な保護方法の検討、生息地保護、分布・個体群動向・生活史の調査が必要とされている。
2014年から2026年への結論NTとして紹介され、気候変動による積雪減少が大きな脅威として示されていた。2026年時点では、危機が解消された証拠は見つからない。一方で、正式なIUCN評価としてNTが確定・更新されたわけでもない。最も正確な書き方は「2014年図鑑では暫定的にNTとされたが、現在確認できるGFRLI情報では評価はDormantで、情報不足・未評価に近い未確定状態。脅威としての気候変動と積雪減少は引き続き重要」となる。

出典

2014年の図鑑では、コガネニセジクホコリは雪解け期の限られた微小環境に依存する変形菌として紹介され、気候変動による積雪減少の影響からNT相当とされていました。しかし2026年時点では、IUCNレッドリストの正式な公開評価は確認できず、Global Fungal Red List Initiativeでは評価状況がDormantとなっています。危機が消えたのではなく、生態・分布・個体群情報が不足し、正式評価や保全活動が追いついていない種といえます。

⬇︎コガネニセジクホコリの保護活動の種類です。必要なら開いてください。

確認できる範囲では、コガネニセジクホコリ(Diacheopsis metallica)だけを対象にした現地保護プロジェクトや、具体的な保護区指定はほとんど見つかりません。したがって、下表では「種単独の実施済み活動」と「雪解け性変形菌(nivicolous myxomycetes)全体として必要・提案されている保全活動」を分けて整理します。D. metallica は Index Fungorum で Myxogastrea・Amoebozoa に置かれる変形菌として扱われ、2014年の Fungal Conservation 記事では、雪解け性変形菌として気候変動の影響を受けうる種の一つに挙げられています。(Index Fungorum)

保護活動の種類内容実施・提案の状況重要度補足
雪解け性変形菌としての保全評価Diacheopsis metallica を、雪解け時期に発生する nivicolous myxomycetes の一種として保全評価の対象にする提案・試行的評価あり高い2014年の Fungal Conservation 記事では、D. metallica を含む10種の雪解け性変形菌について、保全状態の試行的評価が行われたとされる
気候変動影響の評価冬季積雪量、積雪期間、雪解け時期の変化が発生環境に与える影響を評価する必要最重要雪解け性変形菌は、融雪帯・残雪周辺の微気候に依存するため、積雪期間の短縮は発生機会を減らす可能性がある
融雪帯・残雪環境の保全山地・亜高山帯などで、春の残雪が残る斜面、林縁、低木帯、倒木・落枝周辺の環境を保つ必要最重要種単独ではなく、雪解け性変形菌群集全体の生息環境として重要
高山・亜高山帯の生息地保護スキー場開発、林道整備、観光施設、山地開発による残雪環境の改変を抑える必要高い近縁・同生態群の雪解け性変形菌では、山地開発による生息地破壊が問題になる例がある
微小生息環境の保全落枝、枯れ草、低木の根元、倒木、腐植層、土壌表面などを過度に除去しない必要高い変形菌は大型動植物よりも小さな基質に依存するため、清掃・下草刈り・倒木除去が発生基盤を失わせることがある
森林管理での配慮山地林で倒木・枯枝・落葉層を一定量残し、林床の湿度と微気候を維持する必要高い変形菌の保全では、見えにくい微小生息地を残す管理が重要
土壌・腐植層の保護登山道拡幅、重機作業、過度な踏圧により、土壌表面や腐植層を破壊しない必要中〜高Index Fungorum では D. metallica の基質・産地として「土壌、スイス」が示されており、土壌表面の微小環境保全が重要と考えられる
発生地の法的保護確認地点が少ない場合、産地を保護区・保護林・重要微生物生息地として扱う提案レベル高い種単独の法的保護は確認しにくいが、希少な雪解け性変形菌の産地では、地点保護が有効
既存保護区内での微生物配慮国立公園、自然保護区、山地保護林などで、動植物だけでなく変形菌も保全対象として扱う必要高い変形菌は保全計画から抜け落ちやすいため、既存保護区の管理計画に含めることが重要
発生地モニタリング毎年または数年ごとに同じ融雪期・同じ場所で発生状況を調べる必要最重要雪解け性変形菌は発生時期が短く、年変動も大きいため、単発記録だけでは増減を判断しにくい
積雪・融雪データとの連動調査発生記録と積雪深、融雪日、気温、湿度を組み合わせて解析する必要高い気候変動への感受性を評価するには、標本記録だけでなく環境データとの対応が必要
分布調査欧州、北米、アジアの山地など、未調査地域で発生を探す必要高いD. metallica は研究・採集記録が限られるため、実際に希少なのか、調査不足なのかを分ける必要がある
標本の再検討博物館・菌類標本庫・変形菌コレクションにある古い標本を再同定する必要高いDiacheopsis metallica と D. kowalskii は近縁で、2006年論文では胞子サイズや細毛体の形態差で区別されるとされるため、古い記録の再確認が重要
顕微鏡・SEM観察胞子、細毛体、石灰質構造などを詳しく観察し、誤同定を減らす必要高いD. metallica は外見だけでの同定が難しいため、専門的な顕微鏡観察が不可欠
分子系統解析DNA解析により、Diacheopsis 属内の隠蔽種・誤同定・系統関係を確認する必要中〜高Diacheopsis 属では分類整理が続いており、保全単位を明確にするには分子データが役立つ
分類データベース整備Index Fungorum、MycoBank、Eumycetozoa などの分類情報を整理・更新する実施中・継続必要中〜高Index Fungorum は D. metallica の現在名と分類位置を示す一方、変形菌は真菌ではなく Amoebozoa 側の生物として扱う注意が必要
レッドリスト掲載・更新国別・地域別・世界レベルで、D. metallica の評価を進める必要高いD. metallica は「Species on the Edge of Survival」に掲載された最初の変形菌として言及されるが、通常の動植物ほど評価情報が整っていない
データ不足種としての扱い確実な情報が足りない場合、無理に脅威度を断定せず、DD相当として調査を優先する必要高い変形菌は発見しにくく、発生年変動も大きいため、希少性と調査不足の切り分けが重要
市民科学の活用iNaturalist、地域の変形菌観察会、写真投稿を通じて発生情報を集める実施可能ただし写真だけでは同定困難な場合が多く、標本採取と専門家確認が必要
標本採取ルールの整備希少地点では過剰採集を避け、写真・少量標本・位置情報管理を徹底する必要中〜高個体というより子実体の採集だが、局所的に発生が少ない場合は慎重な採集が望ましい
位置情報の管理希少発生地の詳細位置を公開しすぎず、過剰採集や踏み荒らしを避ける必要目立つ大型種ではないが、希少微生物の産地保護として有効
研究者・観察者の育成変形菌の採集、培養、顕微鏡同定、標本化ができる人材を増やす必要高い変形菌保全では、まず見つけて正しく同定できる人材が不足しやすい
教育・普及啓発変形菌も生態系の一部であり、保全対象になりうることを伝える必要中〜高大型動植物に比べて注目されにくいため、保全対象としての認知向上が重要
山岳観光への配慮残雪期の踏み荒らし、林床の攪乱、山野草採取、ルート外歩行を抑える必要雪解け直後の短い発生期に、林床や低木帯の微小環境が壊される可能性がある
スキー場・リゾート開発対策造成、人工降雪、排水改変、斜面整備による融雪帯環境の変化を抑える必要高い雪解け性変形菌では、自然な雪解けのタイミングと微気候が重要
水文環境の維持雪解け水の流れ、林床湿度、微地形を改変しない必要高い融雪水は発生環境の湿度維持に関わるため、排水路整備や地形改変に注意が必要
気候変動緩和温室効果ガス排出削減により、長期的な積雪環境の消失を抑える必要最重要雪解け性変形菌にとって、積雪期間の短縮は生息環境そのものの縮小につながる可能性がある
気候避難地の把握将来も残雪が残りやすい斜面、標高帯、北向き斜面を特定する必要高い温暖化が進む場合、局所的に冷涼・湿潤な場所が重要な避難地になる
ex situ 保存標本、スライド、写真、DNA、培養株などを研究機関で保存する必要中〜高野外個体の直接保護とは別に、分類・再評価・将来研究の基盤になる
培養・生活史研究胞子発芽、変形体、子実体形成条件を調べる必要生態条件がわかるほど、発生地保全や気候影響評価がしやすくなる
飼育下繁殖動物園的な意味で増やして放す該当しない変形菌では通常、野生動物のような飼育下繁殖は主要な保全手段ではない
再導入・移植胞子や基質を別地点へ移す現時点では主要対策ではない低〜保留生態条件が未解明な段階では、移植よりも既存発生地の保全と調査が優先される
生態系全体の保全山地林、低木帯、残雪環境、腐植層、微生物群集をまとめて守る必要最重要D. metallica の保全は、単独種の保護というより、雪解け期の微小生態系を守る活動に近い
国際的な情報共有欧州・北米・アジアなどの研究者間で標本・記録・文献を共有する必要高い分布が広域かつ記録が少ない可能性があるため、国境を越えたデータ統合が重要
保全優先順位の明確化本種が本当に絶滅危惧なのか、地域的希少種なのか、単に未調査なのかを整理する必要高い具体的な保全措置を決める前に、分布・個体群傾向・脅威を明確にする必要がある

出典

最後に

Questioner: Is Diacheopsis metallica destined to just fade away without ever getting a proper assessment?

Me: The author of that 2014 field guide probably feared exactly that. I imagine that’s why they included it in those 365 species—as a kind of plea for its survival.

Questioner: That makes me wonder… what exactly is this little slime mold’s job in nature? What role was it born to play?

Me: It has to be more than just a rare slime mold with a pretty golden shine. It must have a deeper purpose. Let me look into it.

質問者:評価されずにコガネニセジクホコリさんは消えていってしまう運命なのでしょうか。

私:そうなると感じた2014年の図鑑の著者が願いを込めて365種の一つに入れたのでしょうけどね。

質問者:ところで、このコガネニセジクホコリさんって、自然界でどのような役目をもって生まれてきたのでしょうか。

私:黄金色に輝く珍しい変形菌というか粘菌の一種として珍しいといっただけではない、なにかをもって生まれたはずです。調べてみます。


森の「春の目覚め」を支える養分供給ポンプ

変形菌は、キノコなどの菌類とは異なり、アメーバのように動き回ってバクテリア(細菌)などを「食べる」時期(変形体)と、動かずに胞子を飛ばす時期を持ちます。

分厚い雪の下は、外気が氷点下であっても0度前後に保たれる、保温性の高い安定した空間です。豪雪地帯の厳しい冬の間、雪の下の土壌や落ち葉では、低温を好むバクテリアや菌類がひっそりと増殖しています。コガネニセジクホコリは、雪解け水が浸み出す春先に動き出し、これらのバクテリアを大量に捕食します。

ここで重要なのは、彼らがバクテリアを食べることで、バクテリアが抱え込んでいた「窒素」や「リン」などの栄養素が、植物が吸収しやすい形で土壌に放出されるということです。雪が解け、高山植物や樹木が一斉に芽吹く「春のわずかな期間」に、爆発的なスピードで栄養素を供給する自然の肥料ポンプのような役割を担っています。

微小な食物連鎖の「ハブ(中継点)」

黄金色のクッションのような姿(子実体)になると、彼らはもう食事をしません。今度は彼ら自身が、森の小さな生き物たちの「ごちそう」になります。

  • トビムシやダニなどの餌に: 変形菌の胞子や子実体は、土壌にすむ微小な昆虫(トビムシ類やダニ類、特定の甲虫など)にとって、非常に栄養価の高い食料です。
  • 命の運び屋として: 彼らを食べた小さな虫たちが移動することで、変形菌の胞子が別の場所へと運ばれます。そして、その虫たちをさらに大きなクモや昆虫、鳥たちが食べます。

コガネニセジクホコリは、目に見えないバクテリアのエネルギーを、目に見える昆虫や動物のエネルギーへと変換する「命の架け橋」として機能しています。

気候と環境の安定を測る「センサー(指標生物)」

彼らの存在自体が、その土地の環境が健全に保たれていることの証明でもあります。

コガネニセジクホコリのような好雪性変形菌は、「上に覆いかぶさる雪が土壌の急激な温度変化をおさえ、浮遊水と適度な微小環境をもたらす」という、非常に繊細なバランスの上でしか生きられません。もし気候変動で雪が減ったり、春の訪れが早まって雪解けのタイミングが狂ったりすると、土壌が乾燥したり凍結と融解を繰り返したりして、彼らは生き残れません。

出典

Questioner: If we’re comparing it to the ocean, would it be like the phytoplankton we talked about yesterday with the vaquita?

Me: It might actually be closer to zooplankton—the ones that eat the phytoplankton.

Questioner: So it really does play a crucial role in the food chain, then.

Me: Absolutely. For all the plants and animals that spring to life when the snow melts, this little slime mold is essential. It spends the freezing winter beneath the snow, feeding on bacteria and storing up nutrients for them.

Questioner: Is that why the authors of that 2014 guide included it? Hoping it would finally get an official Red List assessment?

Me: It’s the everyday people who hold up the world, and it’s the tiniest creatures that hold up the Earth. So yeah, I imagine they put it in there with exactly that hope in mind.


Thank you for sharing your precious five minutes with me.

I truly hope those five minutes somehow reach Diacheopsis metallica.

鶏人|Keijin

質問者:海で言ったら、昨日話していたコガシラネズミイルカさんの中にでてきた植物性プランクトンの位置なのかな。

私:植物プランクトンというよりは、それを食べる動物プランクトンのほうに近いかもしれません。

質問者:ということは、やっぱり食物連鎖で言えばかなり重要な位置にいるよね。

私:春になって成長する動植物たちにとって、冷たい雪の中でバクテリアを食べながら栄養を蓄えていてくれたコガネニセジクホコリは、なくてはならない存在だと思います。

質問者:だから2014年の図鑑の著者さんたちは、レッドリストで正式に評価してほしくて掲載したのかな。

私:世界を支えているのは民であって、地球を支えているのは小さな生物たちですから、そういう願いもあったのかもしれませんね。


貴重な5分間を、ありがとうございました。

コガネニセジクホコリに、その5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin


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