11年後のレッドリスト|カッショクハイエナ:月明かりの下で、消えかけた声をつなぐ【IUCNレッドリスト比較】

カッショクハイエナ 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
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こんにちは、fukumomo3_photo です。

カッショクハイエナ(Parahyaena brunnea)は、

2014年、図鑑に【NT:準絶滅危惧】として分類されていました。

2015年、IUCNレッドリストで【NT:準絶滅危惧】と評価されました。

つまり、2014年から2015年にかけて、

カッショクハイエナは「月明かりの下で、消えかけた声をつなぐ」状態なのです。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるカッショクハイエナの最新評価は2015年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでくれると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/10276/82344448

畑に撒かれる農薬のように、無差別に奪われる命

⬇︎カッショクハイエナの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|カッショクハイエナ(Brown Hyena)
項目情報
和名カッショクハイエナ(褐色斑犬)
英名Brown Hyena
学名Parahyaena brunnea
分類哺乳類・食肉目・ハイエナ科
分布南部アフリカ(ナミビア、ボツワナ、ジンバブエ、南アフリカ共和国)
主な生息地乾燥地帯、サバンナ、砂漠周縁部(特にカラハリ砂漠やナミブ砂漠沿岸)
体長約110〜125cm(尾を除く)
体重約40〜55kg
寿命野生で約12〜15年、飼育下で20年以上

特徴

  • 名前の由来:体全体の毛並みが暗褐色〜黒褐色をしていることから「褐色ハイエナ」と呼ばれる。
  • 外見:長い首回りのたてがみ状の毛と、縞模様のある脚が特徴。
  • 食性:主に死肉を食べるスカベンジャーだが、果実や昆虫、小動物も摂取する雑食性。
  • 群れ構造:10頭前後の家族的な群れを作り、縄張りを持って生活する。
  • 夜行性:夜間に活動し、嗅覚を頼りに食べ物を探す。

生態と行動

  • 縄張り生活:1つの群れが数百平方キロメートルの縄張りを持つ。
  • 子育て:群れ全体で協力し、メスが産んだ子を共同で守り育てる。
  • 社会性:ハイエナの中でも比較的おとなしく、群れ内では協力的な関係を築く。
  • 捕食・競争:ライオンやハイイロハイエナなどとの競合で不利になることも多い。
  • 生態的役割:死肉を食べることで病原体の拡散を防ぎ、生態系の衛生を保つ重要な存在。

2014年絶滅危惧種:カッショクハイエナ【NT:準絶滅危惧】

残念なことに、カッショクハイエナを家畜への脅威だとして誤認し、非常に否定的にとらえる人々がいる。カッショクハイエナは、銃殺毒殺、わな、犬持りの被害にあうことが多いだけでなく、非選択的捕食制御プログラムによって無意識的に殺されることもある。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

項目内容
目的と背景家畜を守るためにオオカミ・ジャッカル・ハイエナなどの肉食動物を減らす
非選択的の意味特定の個体や種を狙わず、広範囲で無差別に駆除する方法
手法例:毒餌毒入りの肉や死骸を設置 → どの動物が食べるか選べず、多様な動物が犠牲に
手法例:罠トラバサミやスネアを広範囲に設置 → 目的外の動物も捕獲される
カッショクハイエナへの影響・本来は家畜を襲うより死肉を食べるスカベンジャー
・毒餌を食べやすく犠牲になりやすい
・広範囲を移動するため無差別罠にもかかりやすい

非選択的捕食制御プログラムとは、「家畜被害対策のために、特定の種を狙わず、毒餌や罠などで無差別に捕食動物を駆除する方法」である。

その結果、本来のターゲットではないカッショクハイエナのような動物が、意図せず巻き添えになって殺されてしまう(=無意識的に殺される)という問題が発生する。

⬇︎カッショクハイエナの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保護南部アフリカの乾燥地帯・サバンナ・砂漠周辺の生息地を保全し、開発や過放牧から守る
国立公園・保護区カラハリ砂漠やナミブ砂漠周辺の国立公園で保護を受ける
国際的な取引規制ワシントン条約(CITES)附属書Ⅲに掲載され、国際的な商取引が規制されている
法的保護南アフリカ、ボツワナ、ナミビアなどで国内法による保護対象種に指定
人との共存対策家畜捕食をめぐる農牧民との衝突を減らすため、被害補償制度や防護策を導入
研究とモニタリング個体数の推定、行動範囲の追跡、遺伝的多様性の研究を継続

主な取り組み

  • 生息地保全:開発や過放牧からサバンナ・砂漠地帯を守る
  • 保護区管理:国立公園・保護区で個体群を維持
  • 国際規制:CITES附属書Ⅲにより国際取引を規制
  • 国内法保護:南部アフリカ諸国の法律で捕獲を禁止
  • 人間との共存:家畜被害を軽減する補償や防護策を実施
  • 科学研究:個体群調査や遺伝研究を続け、生息状況を把握

最後に

これを読んでみて、どのように感じましたか?

「俺たちがバランス取らなきゃな!」

と、あくまでも人間中心主義?

「狩猟対象の増加のため?」

と、人のエゴを感じる?

感じ方は、いろいろあると思います。


これは、畑や田んぼに、無作為に農薬を撒いて害虫を駆除する方法に似ている。

項目農薬の無差別散布非選択的捕食制御プログラム
本来のターゲット畑を荒らす特定の害虫(例:イナゴ、カメムシ)家畜を襲う特定の捕食動物(例:ジャッカル)
使用する手段広範囲に散布される化学農薬広範囲に設置される毒餌や罠
巻き添えになる種害虫の天敵である益虫(テントウムシ、カマキリ)、ミツバチなど獲物を襲わないスカベンジャー(カッショクハイエナ)、その他の無関係な動物
問題点生態系のバランスを崩し、結果的に害虫が(天敵がいなくなり)増える可能性すらあるターゲット外の種を不必要に減少させ、生態系機能(死肉の清掃など)に悪影響を与える

どちらも「問題を引き起こす特定の種だけを狙い撃ちする」のではなく、「そのエリアにいる可能性のある生物をまとめて排除しようとする」アプローチである。

そのため、害虫やカッショクハイエナのような無関係な種が犠牲になってしまう。

しかし「害虫・害獣」という分類は、生物学的な分類ではなく、人間の都合によって作られたレッテルである。

害虫やカッショクハイエナも、畑や家畜を守りたい人間側の視点から「脅威(害虫・害獣の可能性)」と見なされてしまうために起こる悲劇だ。

つまり、絶対的な基準があるわけではなく、「人間の活動領域と競合するかどうか」が判断の分かれ目になる。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な命である5分間を本当にありがとうございました。

カッショクハイエナに、あなたの5分が届くことを祈ります。

fukumomo3_photo


インスタでは、カッショクハイエナたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。

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