※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
Hi, it’s 鶏人|Keijin.
Back in the 2014 guidebook, the black abalone (Haliotis cracherodii) was assessed as “CR: Critically Endangered.” This was due to massive population drops driven by the spread of withering syndrome, along with historical overfishing, coastal development, and water pollution.
Fast forward to 2026, and a check of the IUCN Red List shows the situation hasn’t changed. It’s still stuck at “CR: Critically Endangered.”
Recently, there’s been some action. A final recovery plan was released in 2020, and efforts like long-term monitoring, disease resistance research, captive breeding, and adult transplants are underway. In 2023, 248 adult abalones were transplanted to the Santa Barbara County coast. While we’ve seen juvenile recruitment and localized population bumps in certain areas, the species as a whole hasn’t bounced back yet.
I think the black abalone is still just “clinging to the rocks, enduring a warming sea.”
I’ve tucked the more detailed stuff into the dropdowns. But for now, I’d be really happy if you just read through the main text to the end.
こんにちは、鶏人|Keijinです。
スルスミアワビ(Haliotis cracherodii)は、2014年の図鑑では、しぼみ症候群の拡大による著しい個体数減少や、過去の乱獲、沿岸開発、水質汚染などから「CR:深刻な危機」と評価されていました。
そして、2026年時点で確認できるIUCNレッドリストの評価も、2014年と変わらず、「CR:深刻な危機」のままでした。
近年は、2020年に最終回復計画が公表され、長期モニタリングや病気への抵抗性研究、飼育繁殖、成貝の移植が進められています。2023年には248個体がサンタバーバラ郡沿岸へ移植され、一部地域では幼体の加入や個体数増加も確認されていますが、種全体の回復には至っていません。
スルスミアワビは今も、「岩にしがみつき、温まる海に耐えている」という状態なのだと思います。
少し詳しい内容は折りたたみの中にまとめています。
まずは本文だけでも、最後まで読んでもらえたらうれしいです。
※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2021年評価(2021年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Haliotis cracherodii)
スルスミアワビは絶滅危惧IA類のまま|2014年と2026年のIUCN比較
⬇︎スルスミアワビの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 和名 | スルスミアワビ |
| 英名 | Black Abalone |
| 学名 | Haliotis cracherodii Leach, 1814 |
| 分類 | 動物界/軟体動物門/腹足綱/古腹足亜綱(Vetigastropoda)/Lepetellida目/ミミガイ科/ミミガイ属 |
| 名称に関する注意 | 日本産のクロアワビ Haliotis discus とは別種である。 |
| 生物の種類 | 岩礁に付着して生活する海産の巻貝。殻は大きく扁平で耳形を呈し、殻口が著しく広い。 |
| 分布 | 北東太平洋沿岸の固有種。主要な分布域は、アメリカ合衆国カリフォルニア州のポイント・アリーナ周辺から、メキシコのバハ・カリフォルニア半島にあるバイア・トルトゥガスおよびグアダルーペ島付近まで。サンフランシスコ以北やプンタ・エウヘニア以南では少ない。 |
| 現在の分布状況 | カリフォルニア州中部から北中部には比較的健全な個体群が残る。一方、ポイント・コンセプション以南では多くの個体群が低密度となり、地域的に消失した場所もある。2000年代以降、南カリフォルニアやバハ・カリフォルニアの一部で再出現や局地的増加が確認されている。 |
| 生息環境 | 波当たりの強い岩礁海岸、潮間帯の岩棚、割れ目、岩の下面、浅い潮下帯の岩礁に生息する。複雑な凹凸や深い隙間があり、海藻が豊富な場所を好む。 |
| 生息水深 | 主に潮間帯から水深約6メートルまで。特に潮間帯下部から浅い潮下帯で多く見られる。 |
| 環境への適応 | 潮の干満による乾燥、塩分や水温の変化、強い波浪に耐える。干潮時には殻を岩に密着させ、筋肉質の足で水分を保持する。 |
| 殻の大きさ | 一般に殻長約10~20センチメートル。大型個体では約21~22センチメートルに達する。 |
| 殻の形態 | 殻は厚く、低く扁平な楕円形。外面は比較的滑らかで、暗青色、暗緑色、褐色または黒色を帯びる。内面には真珠光沢があり、緑色、青色、桃色などの虹色を呈する。 |
| 呼吸孔 | 殻の片側に通常5~9個の開いた孔が並ぶ。これらは呼吸に必要な海水の排出、排泄物の放出、卵や精子の放出に用いられる。孔の縁は殻表面から大きく突出しない。 |
| 軟体部 | 足、外套膜、触角状の上足突起などがほぼ黒色で、英名の由来になっている。大きな足には強い筋肉があり、荒波の中でも岩に密着できる。 |
| 移動 | 通常は岩上に強く付着しているが、夜間や海藻を探す際には筋肉質の足を使ってゆっくり移動する。 |
| 食性 | 植物食性。成体は岩上の藻類や、海流によって運ばれてくるコンブ類などの海藻を食べる。幼体は主に岩面の微細藻類や付着珪藻を食べる。 |
| 主な餌 | 南カリフォルニアではジャイアントケルプ Macrocystis pyrifera やフェザーボアケルプ Egregia menziesii、カリフォルニア州中部・北部ではブルケルプ Nereocystis luetkeana などが重要な餌となる。 |
| 摂食方法 | 歯舌と呼ばれる細かな歯が並んだ帯状器官で岩面の藻類を削り取るほか、岩に付着したまま漂着・流下する海藻を捕らえて食べる。 |
| 活動性 | 夜行性の傾向があり、日中は割れ目や岩陰に潜んでいることが多い。好適な岩礁では複数個体が近接して集団を形成する。 |
| 生態系での役割 | 岩礁上の藻類を食べる大型植食者として、藻類群集の構成や岩礁生態系の物質循環に関与する。また、ラッコ、ヒトデ、魚類、タコ、甲殻類などの餌となる。 |
| 主な捕食者 | ラッコ、ヒトデ類、カリフォルニアシープヘッドなどの魚類、タコ、ロブスターや大型のカニ類。特に幼体は多くの捕食者に狙われる。 |
| 雌雄 | 雌雄異体で、外見だけから雌雄を判別することは難しい。 |
| 成熟 | 雄は殻長約40ミリメートル、雌は約50ミリメートルで性的に成熟するとされる。生息地によって差があるが、成熟までおよそ3~7年を要する。 |
| 繁殖方法 | 放卵・放精型。雌雄が卵と精子を海中へ放出し、体外受精する。繁殖期は主に春から初秋にかけてと考えられている。 |
| 発生 | 受精卵はおよそ1日でふ化し、トロコフォア幼生からベリジャー幼生へ発達する。浮遊幼生として通常数日から約1週間を過ごした後、石灰藻などが付着した岩面に着底し、稚貝へ変態する。 |
| 幼生の分散 | 浮遊期間が比較的短いため、幼生の分散距離は限られ、親個体群の近くに加入する傾向が強い。地域個体群が消失すると、離れた場所から自然に回復するまで長い時間を要する。 |
| 低密度による繁殖障害 | 放卵・放精による受精には成体が互いに近接している必要がある。個体密度が低下すると卵と精子が出会いにくくなり、受精率が急激に低下する。このアリー効果が個体群回復を妨げている。 |
| 寿命 | 約30年以上生きる長寿の貝とされる。成長速度は個体の年齢、水温、餌条件などによって異なる。 |
| 個体数減少の経緯 | 19世紀半ば以降、食用として商業・遊漁の対象となった。商業漁獲量は1973年に約200万ポンドへ達したが、その後は乱獲と疾病によって急減し、1993年までに商業・遊漁とも閉鎖された。 |
| しぼみ症候群 | 最大の脅威は、細菌 Candidatus Xenohaliotis californiensis に関係する「しぼみ症候群(withering syndrome)」である。感染すると消化器官の機能が低下して栄養を吸収できなくなり、足の筋肉が萎縮する。重症個体は岩に付着できなくなり、衰弱して死亡する。 |
| 水温と疾病 | 原因細菌はカリフォルニア沿岸に広く存在し、多くの野生個体が症状を示さないまま保菌している可能性がある。高水温になると発症や死亡が増加し、エルニーニョや温排水に伴う海水温上昇時には大規模な死亡が発生した。 |
| 気候変動の影響 | 海水温上昇による疾病の悪化、コンブ類の減少、低酸素水塊や有害藻類の増加、暴風雨・山火事・土石流による土砂流入が懸念されている。海洋酸性化は殻の形成、受精、幼生の生存、着底場所となる石灰藻に悪影響を及ぼす可能性がある。 |
| その他の脅威 | 密漁、油や化学物質の流出、沿岸開発、土砂による岩礁の埋没、生息地の分断、遺伝的多様性の低下、新たな病原体の侵入など。2017年にはカリフォルニア州のマッド・クリーク地滑りによって約1.7キロメートルの岩礁海岸が埋没した。 |
| IUCNレッドリスト | CR:深刻な危機(Critically Endangered)。2021年公表の評価では、評価基準はA2ade+3e。過去の漁獲や疾病などによる著しい減少に加え、疾病による将来の減少も考慮されている。 |
| アメリカでの保護 | 2009年に米国絶滅危惧種法(ESA)のEndangeredに指定された。2011年にはカリフォルニア沿岸の岩礁約360平方キロメートルが重要生息地に指定され、2020年に最終回復計画が公表された。 |
| 保全活動 | 長期個体数調査、密漁防止、疾病耐性と病原体研究、生息地の保全、成体の移植、飼育下繁殖技術の開発が進められている。2023年にはチャネル諸島からサンタバーバラ郡沿岸へ248個体が移植され、個体群再建の試みが行われた。 |
| 回復上の課題 | 成長と成熟が遅いこと、幼生の分散距離が短いこと、低密度では受精しにくいこと、しぼみ症候群が海域に残存していることから、漁獲を停止しただけでは急速な回復が期待しにくい。 |
| 人との関係 | カリフォルニア先住民は1万年以上にわたり食料、交易品、装飾品として利用してきた。近代には重要な水産資源となったが、現在は米国で採捕が禁止され、保護・回復の対象となっている。 |
基本情報:出典
最終評価2021年:スルスミアワビ「CR:深刻な危機」
ここ数十年にわたり、スルスミアワビの数は大幅に減少した。そのおもな原因は、しぼみ症候群とよばれる病気であり、多くの個体に感染が広まったのである。この病気にかかると、足の筋肉が失われるため、スルスミアワビは海底にうまく付着することができなくなる。その結果、衰弱し、体重が減り、ついには死に至るのである。その他の脅威としては、商業目的や趣味の漁、沿岸開発、水質汚染などがある。
出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

| 項目 | 2014年の図鑑 | 現在(2026年確認) |
|---|---|---|
| 種 | スルスミアワビ(Haliotis cracherodii)。英名はBlack Abalone | 学名と英名に変更はない。米国ではBlack Abaloneの名称で保護・回復事業が続けられている |
| IUCNレッドリスト | 絶滅危惧IA類(CR) | 絶滅危惧IA類(深刻な危機:CR)のまま。現在掲載されている評価は2021年1月4日評価の「CR A2ade+3e」で、2026年版レッドリストでも維持されている。個体群動向は「減少」 |
| 評価基準の変化 | 当時の図鑑ではCRと記載されているが、詳しい評価基準は示されていない | 過去の著しい個体数減少に加え、病気などによる将来の減少も考慮した評価となっている。危機区分が改善したわけではない |
| 米国での保護区分 | 2009年に米国絶滅危惧種法の保護対象となった | 米国絶滅危惧種法上のEndangeredのまま。2026年のNOAA文書でも「高い絶滅リスクに直面している」と評価されている |
| 全体的な個体数 | ここ数十年にわたり大幅に減少したと記載 | かつてカリフォルニア沿岸に数百万個体いたとされるが、現在も種全体の個体数は歴史的水準を大きく下回る。南カリフォルニアの多くの個体群は低密度のままで、地域絶滅した場所も多い |
| 地域ごとの状態 | カリフォルニア州とメキシコ・バハカリフォルニア沿岸に分布 | カリフォルニア州ポイント・アリーナ周辺からメキシコのバイア・トルトゥガス、グアダルーペ島付近まで分布する。カリフォルニア中部・北中部には比較的健全な個体群が残る一方、ポイント・コンセプション以南では低密度または地域絶滅が多い。メキシコの個体群も歴史的水準より減少しているが、詳しい情報が不足している |
| 回復の兆候 | 種の回復計画、保護、生息地回復、研究の進展が期待されると記載 | 南カリフォルニアとバハカリフォルニアの一部で、新規加入や個体数増加が確認されている。ただし回復は少数の地点に限られ、分布域全体の自然回復に必要な規模には達していない |
| サン・ニコラス島の変化 | 図鑑では地域別の回復状況は詳しく示されていない | 数少ない明確な回復地点。USGSの9地点では2001年から2022年に確認個体数が約10倍となり、2022年には2,150個体以上が記録された。観察個体の90%以上が別の個体から1メートル以内におり、繁殖可能な集団配置も形成されている |
| 幼体の加入 | 記載なし | サン・ニコラス島の複数地点で、殻長30ミリ以下の幼体が10個体以上確認される加入現象が複数年にわたり発生している。地点によっては1年間に50~200個体以上の幼体が確認されている |
| 低密度による繁殖障害 | 詳しい記載なし | 依然として重要な回復阻害要因。雌雄が近距離で同時に放卵・放精しなければ受精しにくいため、個体が離れすぎた場所では、成体が残っていても繁殖が成立しにくい。この低密度状態が自然回復を非常に遅くしている |
| しぼみ症候群 | おもな減少原因。足の筋肉が失われ、岩に付着できなくなり、衰弱・体重減少を経て死亡すると説明 | 現在も最大の脅威。病原体はカリフォルニア沿岸に広く存在し、野生個体の多くが感染している可能性がある。ただし、感染していても症状を示さない個体が存在することが分かってきた |
| 病気への抵抗性 | 記載なし | サン・ニコラス島などでは、過去の大量死を生き残った個体群が遺伝的な抵抗性を持つ可能性が研究されている。また、しぼみ症候群の病原体に感染するバクテリオファージが、病原体量と死亡率を低下させる可能性も確認されている |
| 海水温上昇と病気 | 地球温暖化との関係は記載されていない | 水温上昇は、しぼみ症候群の感染進行と死亡率を高める。エルニーニョ、海洋熱波、発電所の温排水などによる高水温時には病気による大量死が起こりやすい。温暖化は新しい病気を生み出すというより、すでに存在する病原体を致死的に働かせる方向に作用する |
| 分布への温暖化の影響 | 記載なし | 南部では水温が適温域を超え、病気や生理的ストレスが強まる可能性がある。しぼみ症候群の影響が北へ広がれば、現在比較的健全な中部・北中部の個体群も危険にさらされる |
| 餌となる海藻への影響 | 記載なし | 海水温上昇や海洋熱波は、ジャイアントケルプ、ブルケルプなどの成長を低下させる可能性がある。漂着・流下する海藻片を食べるスルスミアワビにとって、餌不足は成長、繁殖、病気への抵抗力を低下させる |
| 低酸素と有害藻類ブルーム | 記載なし | 温暖化は有害藻類ブルームを増加・長期化させる可能性があり、海水中の酸素低下や毒性物質によって成体が死亡するおそれがある。低酸素への長期曝露は、とくに幼体の生存率を下げる可能性がある |
| 捕食者への影響 | 記載なし | 水温上昇によって捕食者であるヒトデ類の摂食速度が高まり、スルスミアワビへの捕食圧が増す可能性が指摘されている |
| 海洋酸性化 | 記載なし | 殻の形成・維持、受精、幼生の成長を妨げる可能性がある。スルスミアワビを直接用いた研究はまだ限られるが、近縁のアカアワビでは低pHによる受精率低下や、幼生の高水温耐性低下が確認されている |
| 幼生の着底環境 | 記載なし | 幼生が着底し、初期の餌として利用する殻状サンゴモも海洋酸性化の影響を受ける可能性がある。酸性化は個体だけでなく、次世代が育つ場所そのものを弱らせる |
| 豪雨・山火事・土砂災害 | 沿岸開発を脅威として記載 | 気候変動に伴う激しい山火事、豪雨、嵐が、地滑りや土石流を通じて新たな重大脅威となっている。2017年にはカリフォルニア中部で約1,700メートルの岩礁潮間帯が地滑りに埋まり、2020年の大規模火災後にも土石流が発生した。2023~2024年にも良好な生息地と個体群が埋没している |
| 海面上昇 | 記載なし | 潮間帯と浅い亜潮間帯に生息するため、海面上昇によって適した岩礁環境の位置や面積が変化する可能性がある。沿岸開発で陸側への生息地移動が妨げられる場所では、利用可能な潮間帯が狭まるおそれがある |
| 漁業による脅威 | 商業目的や趣味の漁を脅威として記載 | カリフォルニア州では1993年からスルスミアワビの採捕が禁止されている。ただし、高価なアワビ肉を目的とした密漁は現在も続き、とくに個体数が比較的多いカリフォルニア中部の遠隔地で問題となっている |
| 沿岸開発・水質汚染 | 沿岸開発と水質汚染を脅威として記載 | 沿岸改変、化学物質や油の流出、温排水、陸上からの有害な流出物は現在も脅威。近年は、山火事跡や豪雨による土砂・汚染物質の流入も、生息地を埋める複合的な危険として重視されている |
| 生息地の保護 | 米国で絶滅危惧種法の保護対象となり、回復計画の進展が期待されていた | 2011年にカリフォルニア沿岸の岩礁潮間帯・浅海域約360平方キロメートルが重要生息地に指定された。2020年には最終回復計画が策定され、長期モニタリング、病気研究、生息地保全、移植、飼育繁殖が進められている |
| 移植による回復 | 記載なし | 2023年にチャネル諸島の高密度地点から、サンタバーバラ郡の回復地点へ成体248個体が移植された。放流後の調査では高い生存率が確認され、今後はカリフォルニア沿岸の重要地点へ拡大する計画となっている |
| 飼育繁殖 | 科学的研究の進展が期待されると記載 | 雌の産卵誘導には成功しているが、雌雄を同時に産卵・放精させて継続的に子孫を生産する技術は確立していない。2026年にはサン・ニコラス島の幼体を用いた飼育、成長、餌選択、将来の繁殖研究が計画されている |
| 2014年との総合比較 | 病気、漁業、沿岸開発、水質汚染によって大幅に減少し、回復が期待されていた | 病気と低密度状態は解消されず、IUCNの深刻な危機(CR)から改善していない。一方、サン・ニコラス島などでは明確な増加と幼体加入が確認され、移植も始まった。しかし回復は局地的であり、海水温上昇、海洋酸性化、餌不足、低酸素、地滑り・土石流など、気候変動による脅威が回復をさらに難しくしている |
現状まとめ:出典
スルスミアワビは、2014年から現在までIUCNレッドリストの深刻な危機(CR)にとどまり、個体群も減少傾向と評価されている。しぼみ症候群と過去の乱獲によって南カリフォルニアの多くの地域で低密度化や地域絶滅が起こり、繁殖相手との距離が広がったことで自然回復も難しい。一方、サン・ニコラス島では2001年から2022年に確認数が約10倍となり、幼体の加入や繁殖可能な集団も確認された。移植や飼育繁殖の研究も進むが、回復はまだ一部地域に限られる。さらに海水温上昇は病気の進行を速め、海洋酸性化、海藻の減少、低酸素、山火事や豪雨後の土砂流入なども、生息と回復を脅かしている。
⬇︎スルスミアワビの保護活動の種類です。必要なら開いてください。
| 保全活動の種類 | 実施状況 | 具体的な内容 |
|---|---|---|
| 絶滅危惧種法による保護 | 実施中 | 米国では2009年2月13日から絶滅危惧種法(ESA)のEndangeredに指定されている。許可のない捕獲、殺傷、所持、販売、輸送、輸出入などが禁止され、研究、移植、飼育繁殖にも連邦政府の許可が必要となる。連邦政府が許可・出資・実施する沿岸事業については、本種や重要生息地への影響を事前に審査する。 |
| 採捕禁止と密漁防止 | 実施中 | カリフォルニア州では1993年からスルスミアワビの採捕が禁止されている。潮間帯で発見しやすく、岩から剝がして持ち去られる危険があるため、漁業監視員による取締り、販売・所持状況の監視、市民への識別方法と通報先の周知が行われている。殻だけの違法採取や、他種のアワビと偽った流通も監視対象となる。 |
| 重要生息地の指定 | 実施中 | NOAAは2011年、カリフォルニア沿岸の約360平方キロメートルを重要生息地に指定した。対象はデル・マー・ランディング生態保護区からパロス・ベルデス半島までの沿岸、ファラロン諸島、アニョ・ヌエボ島、チャンネル諸島などにある岩礁性の潮間帯・浅海域で、おおむね平均高潮線から水深6メートルまでを含む。 |
| 沿岸開発の影響審査 | 実施中 | 港湾工事、護岸、排水施設、発電所、海底ケーブル、浚渫、海岸利用施設などについて、岩礁、亀裂、転石、餌となる海藻、幼生の着底環境への影響を評価する。重要生息地を破壊・改変する可能性がある場合は、工法、施工時期、排水温度、濁水対策などの変更を求める。 |
| 長期個体群モニタリング | 実施中 | NOAA、MARINe、国立公園局、カリフォルニア州、大学などが、固定調査区で個体数、密度、殻長、幼貝の加入、死亡殻、病気の兆候、生息環境を継続調査している。一部では1970年代から調査が続き、1980~1990年代の大量死、局地絶滅、生残個体群、近年の加入増加を把握する基礎となっている。 |
| メキシコを含む分布域調査 | 拡充中 | カリフォルニア南部とメキシコ・バハカリフォルニアでは情報が不足しているため、調査地点の追加、漁業協同組合からの情報収集、統一手法による個体数調査が進められている。米国側だけを回復させるのではなく、歴史的分布域全体で生残集団と幼貝加入地点を把握する。 |
| しぼみ症候群の監視 | 実施中 | 消化管に感染する細菌「Candidatus Xenohaliotis californiensis」に関連するしぼみ症候群について、野生個体と生息環境から試料を採取し、PCRなどで病原体を検出する。水温上昇時には発症と死亡が増加するため、海水温、個体の衰弱、足部の萎縮、死亡率を併せて監視する。 |
| 病気に対する抵抗性の研究 | 研究中 | 病原細菌に感染するバクテリオファージを持つ個体では生存率が高まる可能性があり、その作用が研究されている。遺伝的な病気抵抗性についても解析し、移植や将来の飼育繁殖で、抵抗性を持つ可能性のある系統を失わないようにする。 |
| 飼育個体の防疫 | 実施・研究中 | 移植・繁殖用個体を施設へ搬入する際は、検疫、病原体検査、個体ごとの健康記録を行う。飼育下では抗菌薬によって病原体を除去する方法が開発されているが、野生海域全体への薬剤散布には使用せず、研究個体や繁殖群の衛生管理に限定する。 |
| 成貝の移植 | 実証・拡大段階 | 個体密度が高い供給地から、個体が少ない回復予定地へ成貝を移す。スルスミアワビは放卵・放精による体外受精を行うため、個体が離れすぎると受精率が低下する。複数個体を適切な間隔で配置し、繁殖集団を再形成することが目的となる。 |
| 2023年の大規模移植 | 経過観察中 | 2023年、カリフォルニア大学サンタクルーズ校を中心とする研究チームが、チャンネル諸島からサンタバーバラ郡沿岸の回復予定地へ成貝248個体を移植した。放流後の初期調査では高い生存率が確認されており、今後は定着、移動、産卵、幼貝加入を長期的に追跡する。 |
| 移植元集団の保全 | 移植時に実施 | 移植によって健康な供給地を弱体化させないよう、供給地の個体密度、サイズ構成、繁殖可能個体数、病原体保有状況を調べ、移動可能数を制限する。遺伝的に異なる地域集団を無計画に混合せず、地域適応と遺伝的多様性を維持する。 |
| 生息地の修復 | 実証段階 | しぼみ症候群によって個体が消失した場所では、岩の亀裂や裸岩が付着生物に覆われ、幼生が着底しにくくなる場合がある。幼生が好む無節サンゴモ、裸岩、隠れ場所、海藻片が供給される環境を維持・回復し、移植個体の繁殖後に幼生が定着できる条件を整える。 |
| 飼育繁殖技術の開発 | 研究段階 | NOAA南西水産科学センターなどが2013年以降、飼育下での成熟、産卵誘発、受精、幼生飼育、着底、稚貝育成を研究している。雌の産卵誘発には成功しているが、雌雄を同時に産卵させ、安定して次世代を生産する技術はまだ確立していない。 |
| 飼育個体の野生復帰 | 将来計画 | 飼育繁殖が安定した場合、局地絶滅した場所や個体密度が著しく低い場所へ幼生・稚貝・成貝を放流する。放流前には遺伝的適合性、病原体、餌環境、捕食者、海水温、幼生着底環境を確認し、標識や遺伝情報によって放流後の生残と繁殖を評価する。 |
| 山火事・豪雨・地滑りへの緊急対応 | 体制整備中 | 山火事後の豪雨や強い嵐によって土砂・瓦礫・有害物質が沿岸へ流れ込み、岩礁とスルスミアワビが埋没する被害が増えている。危険海岸を事前に特定し、災害発生後に調査員を迅速に派遣する。救出可能な個体は、行政許可のもとで一時収容または安全な生息地へ移す。 |
| 油流出・化学物質事故への対応 | 実施中 | 浅い潮間帯に生息するため、油、燃料、農薬、工業排水などの影響を受けやすい。事故時には個体と生息地の汚染状況を調査し、清掃作業による踏み付け、高圧洗浄、岩の移動などが追加被害を起こさないよう、スルスミアワビに配慮した対応方法を選ぶ。 |
| 海水温と海洋熱波への対応 | 研究・管理中 | 高水温はしぼみ症候群の発症・死亡を促し、海藻の減少や低酸素化も引き起こす。海水温ロガーと個体群調査を組み合わせ、エルニーニョや海洋熱波の前後で死亡率を比較する。冷水湧昇が維持される地域や高温影響の小さい場所を、将来の供給集団・気候避難地として優先的に保護する。 |
| 海洋酸性化の影響研究 | 研究中 | 酸性化は殻形成、受精、幼生の生存・成長、無節サンゴモへの着底を妨げる可能性がある。スルスミアワビそのものに関する実験データは限られているため、生活段階ごとのpH耐性、水温・低酸素との複合影響、地域個体群の適応能力を調べる。 |
| 海藻群落と餌資源の保全 | 実施・研究中 | スルスミアワビは流れてくるコンブ類などの海藻片を食べる。海洋熱波、ウニの増加、沿岸開発、汚染による海藻群落の減少を監視し、海藻の供給源となる岩礁生態系を保全する。餌不足は成長、繁殖、病気への抵抗力を低下させるため、個体だけでなく周辺生態系全体を管理する。 |
| 回復基準による進捗評価 | 実施中 | 2020年の最終回復計画では、歴史的分布域全体で自立的な個体群を再形成し、ESAによる保護を必要としない状態にすることを最終目標としている。個体密度、幼貝加入、分布、集団の持続性、脅威の軽減状況などを基準に、指定解除または区分変更の可否を評価する。 |
| 普及啓発と地域・先住民との協力 | 実施中 | 学校、沿岸住民、観光客、漁業者に対し、採捕禁止、潮間帯での踏み付け防止、目撃情報の提供、密漁通報を呼びかける。歴史的にスルスミアワビを食料、交易、装飾、儀礼に利用してきたチュマシュなどの先住民社会とも連携し、文化的価値を含めた保全を進める。 |
| 米国・メキシコ間の協力 | 実施・拡充中 | NOAA、カリフォルニア州、大学、CICESE、バハカリフォルニアの漁業協同組合などが、調査方法、病原体情報、移植技術を共有する。メキシコでは漁業協同組合による移植成功例も報告されており、国境を越えた分布域全体で回復を図る。 |
保全情報の種類:出典
- NOAA Fisheries「Black Abalone: Conservation & Management」
https://www.fisheries.noaa.gov/species/black-abalone/conservation-management - NOAA Fisheries「Final Black Abalone Recovery Plan」
https://www.fisheries.noaa.gov/resource/document/final-black-abalone-recovery-plan-haliotis-cracherodii - NOAA Fisheries「Climate Change Threatens the Survival and Recovery of Black Abalone」
https://www.fisheries.noaa.gov/feature-story/climate-change-threatens-survival-and-recovery-black-abalone - NOAA Fisheries「Black Abalone Critical Habitat」
https://www.fisheries.noaa.gov/inport/item/72577 - 米国国立公園局「Could Black Abalone Return En Masse to the California Coast?」
https://www.nps.gov/articles/000/could-black-abalone-return-en-masse-to-the-california-coast.htm
地球温暖化とエルニーニョがスルスミアワビに与える影響
Questioner: It looks like the rising sea temperatures from the global warming we brought on ourselves are speeding up the progression of the black abalone’s disease. I hear the water temps from around Point Arena in California, all the way down to Bahía Tortugas and Guadalupe Island in Mexico, might get even warmer by next spring. They’re saying it’s because of the El Niño that’s been brewing since around spring this year (2026).
Me: I can’t make any sweeping statements just based on the current forecasts, but it definitely has me worried. I’ll take a closer look into exactly how El Niño is impacting the waters off the California coast where these abalones live.
質問者:僕たちが招いた地球温暖化による海水温上昇でスルスミアワビの病気の進行を速めているみたいだね。カリフォルニア州ポイント・アリーナ周辺からメキシコのバイア・トルトゥガス、グアダルーペ島付近の海水温って今年(2026年)の春頃から発生しているエルニーニョの影響で、来年の春には海がもっと温かくなるかもしれないって言われているよね。
私:現時点の予報から一律には言えませんけれど、気になります。スルスミアワビの生息するカリフォルニア州近海のエルニーニョの影響を詳しく調べてみます。
海が温まると病気も進む――エルニーニョがスルスミアワビに重ねる脅威
冷たい湧昇流に支えられてきたスルスミアワビを、海水温の上昇が追い詰めています。高水温はしぼみ症候群を進行させるだけでなく、餌となる海藻を減らし、豪雨による生息地の埋没にもつながります。強いエルニーニョが予測される今、その影響は一つではありません。
エルニーニョと海水温上昇のメカニズム
- カリフォルニア海流系では、沿岸の表層水が沖へ運ばれることで、深海から冷たく栄養豊富な水が湧き上がります。この湧昇流が、ケルプをはじめとする豊かな沿岸生態系を支えています。
- エルニーニョが発生すると、風や海流が変化し、東部太平洋の水温躍層が深くなります。その結果、湧昇流による冷却や栄養供給の効果が弱まり、カリフォルニア沿岸でも海水温が平年より高くなる場合があります。
- 2022年の研究では、スルスミアワビが選好する水温は13.8℃、成長に適した理論上の水温は14.3℃と推定されました。
- 同研究が現地の最高水温などから外挿した熱安全マージンは、弱いエルニーニョ条件では10.49℃でしたが、強い条件では3.17℃まで縮小しました。これは直ちに死亡する温度差ではなく、高温に耐えられる余地が大きく狭まる可能性を示す指標です。
しぼみ症候群と病原細菌の関係
- しぼみ症候群(WS)は、アワビの食道や消化腺の細胞内に感染する細菌 Candidatus Xenohaliotis californiensis と関係する致死性の病気です。
- 高い海水温は、スルスミアワビにおける発症を促し、病気の進行と死亡率を高めます。影響が現れる温度は種や生息環境によって異なるため、18℃を一律の発症境界とみなすことはできません。
- 感染が進むと消化腺の機能が損なわれ、食物を摂取していても栄養を十分に利用できなくなります。やがて足の筋肉がエネルギー源として消費され、岩への付着力を失い、衰弱や死亡に至ります。
- カリフォルニア州サンニコラス島では、しぼみ症候群の拡大により、2001年までに個体群が99.2%減少したと報告されています。
飢餓と生息環境への物理的被害
- エルニーニョなどによって湧昇が弱まり、沿岸の高水温が長引くと、スルスミアワビの餌となるケルプやその他の海藻の成長が抑えられ、利用できる餌が減る可能性があります。
- このため高水温時には、「病気によって栄養を利用できない状態」と「餌となる海藻の減少」が重なり、二重の栄養ストレスを受けるおそれがあります。
- 強いエルニーニョの年には、カリフォルニアの一部で多雨となる確率が高まります。豪雨や山火事後の降雨によって地滑りや土石流が発生すると、潮間帯の岩礁やスルスミアワビが土砂に埋まることがあります。実際に中央カリフォルニア沿岸では、2017年以降、こうした埋没被害が複数回確認されています。
2026年8月13日のNOAA予報では、エルニーニョはすでに発達中で、2026年秋から2027年冬に「非常に強い」規模となる確率が90%を超えています。地域ごとの高水温や豪雨が必ず発生するわけではありませんが、海洋温暖化が進むなかで沿岸の高水温が重なれば、しぼみ症候群、餌の減少、生息地の埋没といった複数の脅威が同時に強まるおそれがあります。
出典
- エルニーニョによる水温躍層と湧昇の変化(NOAA Pacific Marine Environmental Laboratory):https://www.pmel.noaa.gov/elnino/what-is-el-nino
- スルスミアワビの選好水温と熱安全マージン(Pacific Science/BioOne):https://bioone.org/journals/pacific-science/volume-76/issue-2/76.2.2/Thermal-Preference-and-Tolerance-of-the-Black-Abalone-Haliotis-cracherodii/10.2984/76.2.2.short
- しぼみ症候群の病原体・高水温の影響・個体群減少(カナダ水産海洋省):https://www.dfo-mpo.gc.ca/science/aah-saa/diseases-maladies/fwsab-eng.html
- 海水温上昇、餌資源の減少、土砂による生息地埋没(NOAA Fisheries):https://www.fisheries.noaa.gov/feature-story/climate-change-threatens-survival-and-recovery-black-abalone
- 2026~2027年のエルニーニョ予報(NOAA Climate Prediction Center):https://www.cpc.ncep.noaa.gov/products/analysis_monitoring/enso_advisory/ensodisc.shtml
Questioner: It kind of reminds me of the situation in the Sea of Japan with the tufted eelgrass (Zostera caespitosa) we looked into recently.
Me: Yeah, exactly. Both are creatures that have been protected by cold waters up until now. With global warming pushing up the ocean’s baseline temperature, and then marine heatwaves and El Niño piling on top of that, their safety margin for survival is just getting chipped away. The tricky difference, though, is that while the tufted eelgrass simply can’t handle the heat itself, what makes it even more brutal for the black abalone is that the heat actually speeds up withering syndrome.
Questioner: With the black abalone, just trying to survive the heat saps their energy, and on top of that, their pre-existing condition flares up. It makes you wonder what’s going to happen if this winter brings an El Niño like we’ve never seen before, teaming up with the global warming we’ve brought on ourselves. I’m really worried about them.
Me: You’re right. And unlike some animals, the black abalone can’t just swim away to colder waters to escape the disease. All they can do is cling to their rocks and endure the heat and the sickness. We’re starting to see some signs of recovery in certain areas, but it’s a total contradiction to just hope they bounce back while we keep heating up their oceans. Whether these abalones can manage to keep clinging to those rocks with their disease-weakened foot muscles entirely depends on how much we can cut back the heat we’re trapping in the sea.
Thank you so much for taking the time to read this today.
I truly hope our thoughts find their way to the black abalones out there.
鶏人|Keijin
質問者:最近調べた、スゲアマモ(Zostera caespitosa)の暮らす日本海と少し似ているよね。
私:そうですね。どちらも、これまで冷たい海水によって守られてきた生き物です。地球温暖化で海の基礎水温が上がり、そこへ海洋熱波やエルニーニョが重なることで、生存できる温度までの余裕が削られています。ただし、スゲアマモは高水温そのものに弱いのに対し、スルスミアワビでは、高水温がしぼみ症候群の進行を速める点がさらに厄介です。
質問者:スルスミアワビの場合、高水温に耐えることで体力が落ちてしまうし、もとからある持病が悪化するってことも考えられるよね。今年の冬あたりから今まで経験したことのないようなエルニーニョ現象と僕たちが招いた地球温暖化が合体したらどうなっちゃうんだろうね。ちょっと心配だよ。
私:そうですね。スルスミアワビは、病気から逃げるために冷たい海へ泳いで移動することもできません。ただ岩にしがみつき、高水温と病気に耐えるしかないのです。一部では回復の兆しも見え始めていますが、海を温め続けたまま、その回復だけを願うのは矛盾しています。スルスミアワビがこれからも病気で弱った足で岩にしがみついて生きられるかどうかは、私たちが海にため込む熱を、どこまで減らせるかにかかっています。
貴重な時間を、ありがとうございました。
スルスミアワビに、その想いが届くことを祈ります。
鶏人|Keijin
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