11年後のレッドリスト|オオチョウザメ:悠然たる影が、絶望に近づいていた【IUCNレッドリスト比較】

オオチョウザメ 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
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こんにちは、fukumomo3_photo です。

オオチョウザメ(Huso huso)は、

2014年、図鑑に【EN:危機】として分類されていました。

2022年、IUCNレッドリストで【CR:深刻な危機】と評価されました。

つまり、2014年から2022年にかけて、

オオチョウザメの状況「悠然たる影が、絶望に近づいていた」状態になってしまいました。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるオオチョウザメの最新評価は2022年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでくれると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/10269/135087846

『種の保護』を最優先した珍しい決断

⬇︎オオチョウザメの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|オオチョウザメ(Beluga Sturgeon)
項目情報
和名オオチョウザメ(大蝶鮫)
英名Beluga
学名Huso huso
分類条鰭綱・チョウザメ目・チョウザメ科
分布カスピ海・黒海・アゾフ海と、それに注ぐ大型河川(ドナウ川、ボルガ川など)
主な生息地河川と海を行き来する回遊魚。主にカスピ海流域で確認される
体長最大8m近くに達する記録あり(現存する淡水魚類として最大級)
体重通常100〜500kg、大型個体は1,000kgを超えることもある
寿命平均50〜60年、最大で100年以上生きることもある

特徴

  • 名前の由来:英名「Beluga 」は、白っぽい体色から「白い」を意味するロシア語 beluga に由来。
  • 外見:長大な体に5列の骨板(鱗板)をもち、頭部は尖り、口は腹側に位置。ヒゲ(口髭状突起)で底生の獲物を探る。
  • 食性:肉食性で、底生魚(ニシン、カタクチイワシ、ボラなど)、甲殻類を捕食。大型個体はアザラシや水鳥を捕食した例も報告されている。
  • 成長:非常に成長が遅く、成熟に達するのはオスで約10〜16年、メスで16〜22年かかる。

生態と行動

  • 回遊性:カスピ海や黒海で成長し、繁殖のために大河川を遡上する「溯河回遊魚」。産卵場は流れの速い砂礫底の河床。
  • 産卵:メスは7〜20年おきに数百万粒もの卵を産む。卵は「キャビア」として世界的に珍重される。
  • 孵化と成長:孵化した仔魚はしばらく川で過ごした後、海へ下り成長する。
  • 生息環境:水深20〜140mの海底付近を好み、ゆったりとした遊泳を行う。

保全状況

  • IUCNレッドリスト:CR(深刻な危機, Critically Endangered)
  • 主な脅威
    • 過剰漁獲(特にキャビア目的の乱獲)
    • ダム建設による河川遡上ルートの遮断
    • 水質汚染、産卵環境の悪化
  • 保護活動:人工孵化による放流プログラム、国際取引規制(ワシントン条約付属書Ⅱ)、漁獲禁止区域の設定などが実施されている。

2014年絶滅危惧種:オオチョウザメ【EN:危機】

オオチョウザメの個体の大部分は人工飼育されており、カスピ海に生息できているのはもっぱら養殖場のおかげだと考えられている。アメリカ合衆国はオオチョウザメの最大の輸入国であるが、絶滅危惧種保護法における絶滅危惧種に認定されたため、現在同国では輸入が禁止されている。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

項目内容
問題点野生種と養殖種の見分けがつかない(外見で区別不可能)
リスク養殖を許可すると、違法に採取された野生キャビアが「養殖品」と偽られて市場に流入する恐れがある
結果違法取引の温床となり、野生個体への乱獲圧力が高まり絶滅を加速させる
法律的根拠絶滅危惧種保護法(ESA):リスト掲載種の輸入・輸出・商業取引を全面禁止
執行機関アメリカ魚類野生生物局(USFWS):科学的データに基づき規制を策定・実施
2005年の決定生息国の保護計画が不十分と判断 → ベルーガキャビアを含むすべてのオオチョウザメ製品の輸入を全面禁止
基本原則「疑わしきはすべて禁じる」= 種の保護を最優先し、少しでもリスクがあるなら市場から排除

出典:絶滅危惧種および絶滅危惧種の野生生物および植物;絶滅危惧種のシロチョウザメ(Huso huso)の取引を規制するための特別規則

現在では、違法取引の可能性を完全に断ち、

絶滅の危機にあるオオチョウザメを確実に守るために、

アメリカは非常に厳格な輸入禁止措置を維持している。

⬇︎オオチョウザメの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
産卵地の保護カスピ海流入河川(ヴォルガ川など)の産卵場を守るため、ダム建設や砂利採取を制限し、人工産卵場を整備
混獲の防止商業漁業や密漁による混獲を防ぐため、漁獲禁止区域・禁漁期を設定
水質汚染対策工業排水・農薬・石油汚染から河川・カスピ海の水質を守るための規制と改善策
国際的な取引規制ワシントン条約(CITES)附属書Ⅱにより、キャビアや肉の国際取引を厳しく規制
保護区の設定主要な産卵河川やカスピ海沿岸域を自然保護区や禁漁区に指定
市民・地域参加地元住民・漁業者・企業を巻き込み、密漁防止や環境教育活動を推進
研究とモニタリング人工ふ化放流プログラム、標識・タグによる回遊経路追跡、遺伝的多様性の研究

主な取り組み

  • 産卵地保護:ヴォルガ川などの産卵場を守り、ダム建設を制限
  • 混獲防止:禁漁区や禁漁期を設定し、密漁を取り締まる
  • 水質改善:工業排水や農薬流入を規制し、水質を保全
  • 国際保護条約:CITES附属書Ⅱによりキャビア取引を規制
  • 保護区整備:産卵河川やカスピ海沿岸域を保護区として指定
  • 地域参加:漁業者や住民による密漁防止・教育活動を推進
  • 調査研究:人工ふ化放流やタグ追跡で個体群動態をモニタリング

最後に

これを読んで、どのように感じましたか?

「キャビア高くなるじゃん」

と、残念に感じますか?

「綺麗事の裏になにか…」

と、国同士の駆け引きを疑いますか?

感じ方は、十人十色あると思います。

通常、こうした措置には、

何かしらの経済的な思惑や力関係が絡んでいることが多いので少し調べてみた。

要因内容
法律の強制力アメリカの絶滅危惧種保護法(ESA)は世界でも最強クラスの自然保護法。一度指定されると政府は行動「義務」を負い、経済的理由で無視できない。
世論とNGOの後押しNRDC・WWFなどの環境団体が科学的データを提示し続け、世論を動かした。政府も無視できない社会的圧力が形成された。
対象が贅沢品禁止対象は富裕層向けの「キャビア」。国民生活に必須でないため反対運動が起きにくく、政府も強い措置を取りやすかった。

出典:絶滅危惧種のシロチョウザメの保護

これらの要因が組み合わさり、「種の保護」という本来の目的が、

経済的な配慮や政治的な駆け引きを上回ることができた、とても「珍しい事例」と言える。

この「珍しい実例」が「当たり前の実例」になることを祈りたい。

ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な命である5分間を本当にありがとうございました。

オオチョウザメに、あなたの5分が届くことを祈ります。

fukumomo3_photo


インスタでは、オオチョウザメたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。

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