11年後のレッドリスト|エチオピアコガシラガエル:大地の裂け目に隠され、時の狭間で息づく影【IUCNレッドリスト比較】

Bale Mountains Treefrog 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
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こんにちは、fukumomo3_photoです。

エチオピアコガシラガエル(Balebreviceps hillmani)は、

2014年、図鑑に【EN:危機】として分類されていました。

2013年、IUCNレッドリストで【CR:深刻な危機】と評価されました。
図鑑(2014年)では【EN:危機】と記されていますが、IUCN公式サイトの最新評価(2013年)は【CR:深刻な危機】です。参照時期の違いによるものと思われます。

つまり、2013年から、

エチオピアコガシラガエルは「大地の裂け目に隠され、時の狭間で息づく影」状態なのです。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるエチオピアコガシラガエルの最新評価は2013年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでくれると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/57703/16948437

世界の森林減少とエチオピアの小さなカエル

⬇︎エチオピアコガシラガエルの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|エチオピアコガシラガエル(Bale Mountains Tree Frog)
項目情報
和名エチオピアコガシラガエル
英名Bale Mountains Tree Frog / Ethiopian Short‑headed Frog
学名Balebreviceps hillmani
分類両生類綱・無尾目・Brevicipitidae科(短頭蛙科)
分布エチオピア・バレ山地(標高約3,000–3,200m)に固有。バレ山地国立公園内。
主な生息地Erica arborea(ツツジモドキ)林、森林と草地の遷移帯、湿潤な高山環境。
体長オス 36–39mm、メス 45–53mm(吻端〜肛門間長)。
寿命不明(記録なし)

特徴

  • 体型:ずんぐりとした体型で、背面は厚くでこぼこ、腹面は滑らか。喉部はしわが多い。
  • 脚・足指:短く筋肉質な脚。指に水かきがなく、第五趾が退化。
  • 感覚器:オスは声嚢を欠き、メスは聴覚器官がないため音を聞き取れないと考えられる。
  • 色彩:背面は紫〜茶色地に黄または金色の縞模様。頭部側面にも淡い斑点あり。
  • 防御行動:脅威を感じると体を膨らませ、いかめしく見せる(擬態的防御)。

生態と行動

  • 回遊性:移動範囲は極めて限られ、局所的な湿潤林に依存した生活様式と推察されます。明確な回遊性の記録はありません。
  • 繁殖・産卵:一生を陸上で過ごし、陸上巣を作って卵を産む。幼生期は水中のオタマジャクシを経ず、ミニチュア成体として孵化します(直接発生)。
  • 性決定:温度依存性性決定については明確な情報はありません。
  • 孵化後:詳細な幼体行動の記録は限定的です。
  • 天敵・脅威:自然条件(乾燥や捕食)は高所湿潤環境のため比較的少ないが、主な脅威は人間活動。

保全状況

  • IUCN分類:絶滅危惧IA類(Critically Endangered / CR)amphibiaweb.org
  • 個体群動向:1980年代以降、成熟個体数は減少傾向にあり、個体群は非常に少数。
  • 主な脅威
    • 家畜の放牧、薪採取、開発による生息地の劣化・破壊。
    • バレ山地国立公園内ではあるものの、管理体制の不十分さが課題。
    • キトリッド菌(白紋菌)の存在が記録されているが、影響は不明。
  • 保全措置
    • 生息地の保護が進められているが、より効率的な管理やモニタリング(生息状況・病気・気候変動への対応強化)が求められます。

2014年絶滅危惧種:エチオピアコガシラガエル【EN:危機】

このあまり知られていない両生類はエチオピアのベール山に特有の種であり、この山の標高約 3200メートルのひとつの場所のみで発見されている。エチオピアコガシラガエルが生息する大型のヒースの森がつくるせまい帯状帯は、人口や家畜の増加によってその存続がおびやかされている。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

エチオピアコガシラガエルが暮らすという「ヒースの森」を調べてみると、

エチオピアのヒースは、普通のヒースとは違い、

低木ではなくエリカ・アルボレア(Tree Heath) といった巨大なヒースの仲間が密集している場所だということがわかった。

ここではジャイアント・ヒースが木のように育ち、霧と苔に包まれた湿潤な環境が、小さな命を守り続けているらしい。

項目内容
名称ヒースの森(Ericaceous Forest / Heathland)
主な構成樹種ジャイアント・ヒース Erica arborea(白い花を咲かせるツツジ科の低木〜小高木)
分布・標高エチオピア・ベール山脈、標高約3,000〜3,800mの亜高山帯
景観の特徴樹高数m〜7m超に育ったヒースが林を形成。苔むした木々、厚い落ち葉、霧がかかる湿潤な環境
生態的役割– 高い湿度を維持し、両生類の皮膚を保護
– 密集した根元や腐葉土が隠れ家を提供
– 豊富な土壌生物(昆虫・ミミズなど)が餌資源となる
エチオピアコガシラガエルとの関係この森は同種の生息地(標高約3,200m)と一致し、固有種の生存を支える重要な環境
脅威人口増加や家畜の放牧による生息環境の劣化・消失

エチオピアコガシラガエルにとって、ヒースは森の湿度や太陽からの日差しを遮る大切なビニールハウスのような役割をしていたに違いない。

しかし、人類の開拓などでそのハウスの数は減少している。

⬇︎エチオピアコガシラガエルの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
繁殖地の保護湿地や苔むした森など繁殖場所を守るため、立入制限・水域保全を実施
農業開発の抑制生息地での農地拡大や放牧を制限し、持続可能な土地利用を推進
農薬・化学物質対策環境中の農薬や化学汚染を減らし、両生類の卵・幼生への影響を軽減
国際的な取引規制ワシントン条約(CITES)や国内法により、捕獲・飼育・取引を規制
保護区の設定ベール山地の森林や湿地を自然保護区・国立公園に指定して重点保全
市民・地域参加地元住民と協力し、森林保全や環境教育、エコツーリズムを展開
研究とモニタリング個体数・繁殖状況・遺伝的多様性を調査し、長期的なモニタリングを継続

主な取り組み

  • 繁殖地保護:苔むした森林や湿地を守り、卵や幼生を保護
  • 生息地保全:農業開発や放牧を制限し、森林破壊を防止
  • 農薬削減:両生類に影響を及ぼす化学物質を減らす取り組み
  • 国際保護条約:CITESなどにより捕獲や国際取引を規制
  • 保護区整備:ベール山地の森林や湿地を自然保護区に指定
  • 地域参加:住民と協力した森林保全活動や教育プログラム
  • 調査研究:個体数・遺伝的多様性のモニタリングを継続

最後に

これを読んでみて、どのように感じましたか?

「人口増加はしょうがないよ?」

と、あきらめてしまいますか?

「カエルさん干からびちゃうよ」

と、カエルさんが心配ですね?

感じ方は、千差万別あると思います。

しかし、「ヒースの森」以外にも、

世界で1分間に東京ドーム約2.4個分の大切な森が消えている。
出典:世界の森林(面積)の減少速度

項目内容
森林喪失の速度世界で1分間に東京ドーム約2.4個分の森林が消失
主な原因– 商業的農業(森林破壊の約半分)
 ・牛肉生産の放牧地拡大
 ・家畜用大豆栽培(南米で深刻)
 ・パーム油(ボルネオで深刻)
 ・カカオ、コーヒー、ゴムなどの農園開発
影響熱帯林の消失による生物多様性の危機(オランウータン、類人猿など)
三大熱帯林と危機1. アマゾン(南米):「地球の肺」。牛肉・大豆・採掘・ダム開発が原因。火災も深刻。
2. ボルネオ島(東南アジア):アブラヤシ農園と木材伐採が原因。オランウータンやゾウが危機。
3. コンゴ盆地(中央アフリカ):焼畑・木炭・木材伐採・レアメタル採掘。社会問題と複雑に絡み、類人猿に影響。

そして、この1分間に消えた森を再生するための時間は、

数百年から、場合によっては1000年以上かかると考えられている。
出典:Researchers: If left alone, tropical forests can recover on their own surprisingly fast

木々が成長して、ある程度「森らしく」見えるようになるまでには数十年かもしれない。

でも、それは表面的な姿にすぎないと思う。

一度開拓された森は、コンクリートやビルに変わり、

元の豊かな生態系を取り戻すまでには、途方もない年月が必要となる。

コンクリートやビルを壊して森を作ることは難しいが、

新たに森を開拓することを止めることはできると私は考える。

ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な命である5分間を本当にありがとうございました。

エチオピアコガシラガエルに、あなたの5分が届くことを祈ります。

fukumomo3_photo


インスタでは、エチオピアコガシラガエルたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。

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