11年後のレッドリスト|アフリカノロバ:湿った熱が、命を塞ぐ【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|アフリカノロバ:湿った熱が、命を塞ぐ【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。

Hi there, it’s 鶏人|Keijin.

Today, I want to talk about the African Wild Ass (Equus africanus), livestock, and wet-bulb temperatures—a rather chilling topic.

Back in a 2014 encyclopedia, this species was classified as “CR: Critically Endangered,” primarily because they were being hunted for use in traditional folk medicine.

Fast forward to the latest Red List, and they are still stuck at “CR: Critically Endangered.” Only this time, it’s due to the compounding blows of climate change, like severe droughts.

That’s why I believe the African Wild Ass is currently trapped in a reality where “suffocating, damp heat is choking the life out of them.”

This is a quick read, only taking about 5 minutes.
I hope you’ll stick around to the end.

こんにちは、鶏人|Keijin です。

今回は、アフリカノロバ(学名:Equus africanus)と「家畜と湿球温度」といった、ちょっと怖い話です。

この種は、2014年の図鑑では、民間療法の薬の材料として狩猟されていたことが主な理由で、「CR:深刻な危機」とされていました。

そして最新のレッドリストでも、気候変動による干ばつなどの影響が重なって「CR:深刻な危機」のままなんです。

だからアフリカノロバは今も、「湿った熱が、命を塞ぐ」そんな状態なのだと思います。

この記事は短く、5分で読めます。
よかったら最後まで読んでください。

※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2014評価(2015年公開)です(以降の更新は確認されていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Equus africanus

⬇︎アフリカノロバの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

アフリカノロバ(African Wild Ass)
項目情報
和名アフリカノロバ
英名African Wild Ass
学名Equus africanus
分類哺乳類・奇蹄目・ウマ科(Equidae)
分布アフリカ北東部の乾燥地帯に分布し、現在の確実な野生個体群は主にエリトリアとエチオピアに限られる。歴史的にはスーダンやジブチなどにも分布していた。
主な生息地砂漠、半砂漠、岩場の多い乾燥地、山地などに生息し、海抜0〜2000mほどまで見られる。
大きさ体長は約2m、肩高は約125〜145cmほど。
体重およそ230〜275kgほど。報告によっては平均274kg前後とされる。
寿命一般に25〜40年ほどとされる。

特徴

  • 名前の位置づけ:家畜ロバの祖先として知られる野生種である。文献によっては家畜ロバとの分類上の扱いが異なることがあるが、現在は Equus africanus として扱われることが多い。
  • 見た目:体色は灰色から淡い褐色で、腹部や口まわりは白っぽい。背中には濃い背線があり、亜種によっては脚に横縞が見られる。耳は大きく、岩場に適した小さく硬いひづめをもつ。
  • 希少性:現存個体数はきわめて少なく、野生ではごく限られた地域にしか残っていない。
  • 保全状況:IUCNの評価ではCR(深刻な危機)として扱われ、個体数の推移は減少傾向である。

生態など

  • 生育環境:極度に乾燥した環境に適応しており、草や低木の乏しい荒地、岩山、砂漠縁辺部などを利用する。水場から離れた場所でも行動できる。
  • 食べもの:主に草本類を食べるが、乾燥地では低木や木本植物も利用する。乏しい植生でも生きられるよう適応している。
  • くらし方:涼しい朝夕や夜間に活発になり、成熟雄は強いなわばり性を示す。群れは小規模で、ゆるやかな集合になることが多い。
  • ふえ方(繁殖):妊娠期間はおよそ11〜12か月で、通常は1頭を出産する。繁殖速度は高くない。
  • 脅威:狩猟、生息地での人間活動、家畜との競合、家畜ロバとの交雑が主要な脅威とされる。交雑は野生個体群の遺伝的独自性を損なうおそれがある。

出典

最終評価2014年:アフリカノロバ「CR:深刻な危機」

アフリカノロバにとっての最大の脅威は、食用、そして民間療法の薬品の材料として狩猟されることである。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

項目2014年の図鑑現在(2026年確認)
脅威の変化:狩猟から「生存競争」へ主要な脅威として、食用目的の狩猟や、肉・骨などを民間療法に使うための利用が重く見られていた。結核、便秘、背中の痛み、リウマチなどに効くと信じられ、利用されてきた地域があった。狩猟は今も残るが、近年は家畜との水・餌の競合、生息地の劣化と縮小、人の定住化による移動経路の分断のほうが、より深刻な圧力として重く見られている。狩猟圧は2002年以降の地域保全で一定の軽減がみられる一方、乾燥地での資源競争は続いている。
かつての主要な脅威(狩猟)食肉利用に加え、体の一部が薬用目的で使われることが大きな脅威とされていた。2014年ごろまでの評価では、これが「最大の脅威」として扱われる文脈が強かった。一部地域ではなお違法狩猟が残るが、最重要脅威の中心ではなくなっている。地域指導者や保全活動によって、利用慣行の抑制と意識変化が進んだと報告されている。
現在の最も深刻な脅威(家畜との競争・生息地の喪失)2014年の図鑑段階でも生息地悪化は問題だったが、狩猟の影に隠れやすかった。現在は、牛・ヤギ・家畜ロバなどとの水場・採食地の競争、生息地の劣化、人間活動による占有が中心課題とされる。とくに乾燥地では、水場へのアクセスが生存を左右する。
現在の主な脅威リスト(2026年時点)1狩猟・薬用利用。家畜との競争(水・餌の奪い合い)。
現在の主な脅威リスト(2026年時点)2生息地の縮小。生息地の喪失・劣化・断片化。人の定住化や土地利用の変化により移動経路も圧迫されている。
現在の主な脅威リスト(2026年時点)3図鑑では現在ほど強く前面には出ていない。家畜ロバとの交雑による遺伝的汚染。野生種としての遺伝的独自性を損なうおそれがある。
現在の主な脅威リスト(2026年時点)4図鑑では現在ほど強く前面には出ていない。干ばつ・乾燥化の深刻化。気候変動は水場や植生条件を悪化させ、長期的な生息地の安定性を揺るがす要因とみられている。
現在の主な脅威リスト(2026年時点)5狩猟。小規模化した個体群そのものの脆弱性。分断された少数個体群は、偶発要因や環境変動の影響を強く受けやすい。
生息数と生息域:推定生息数野生下の成熟個体は200頭未満とされ、世界で最も危機的なウマ科の一つとして扱われていた。2026年確認でも、成熟個体は200頭未満という見積もりが広く踏襲されている。総数は数百頭規模とされるが、安定回復を示す段階にはない。
生息数と生息域:状況分布は北東アフリカ一帯から大きく縮小し、残存個体群はきわめて局地的になっていた。現在の確実な中核生息地は主にエリトリアとエチオピアのダナキル周辺。エチオピアでは1970年代以降に個体数が約95%減、生息域も大幅縮小とされ、ヤングディ=ラッサ国立公園では局地的絶滅が報告されている。
希望としての保全活動:コミュニティ・スカウト2014年時点では保全の必要性が強調されていたが、地域住民を軸にした継続的な現場体制はまだ発展途上だった。現在は、アファールの地域住民をスカウトとして採用・訓練し、監視、調査、啓発、保護区候補地の選定に関わってもらう取り組みが進んでいる。現地雇用と地域参加を一体化した保全が柱になっている。
希望としての保全活動:飼育下繁殖飼育下個体群の維持は、絶滅回避の保険として重要視されていた。現在も欧州・中東などの動物園で域外保全個体群が維持されており、野生個体群の消失に備えるバックアップとして重要。いっぽうで、本命は現地での生息地保全と地域協働による野生下保全に置かれている。
希望としての保全活動:追加の前進保護の必要性が中心。保護区の候補地を地図化・区画化し、将来的な保護区設定につなげる実務が進行中。2023〜2024年の現地調査でも、生息確認、足跡確認、繁殖を示す幼獣確認が続いている。

出典

2014年時点では、アフリカノロバの主要な脅威は食用・薬用を目的とした狩猟として整理されていたが、2026年時点では、家畜との資源競合、生息地の劣化・断片化、さらに家畜ロバとの交雑による遺伝的汚染が、より深刻な存続要因として位置づけられる。現存個体群は主としてエリトリアおよびエチオピア北東部の限られた乾燥地に局在し、成熟個体数は200頭未満と推定されるなど、個体群の縮小と分断が著しい。他方、地域住民を組み込んだ監視体制の構築や域外保全個体群の維持が進められており、現地保全と飼育下保全を組み合わせた多層的な保全戦略が重要性を増している。

⬇︎アフリカノロバの保護活動の種類です。必要なら開いてください。

保護活動の種類内容の概要
保護区の設定エリトリアではアフリカノロバの重要生息地を保護区として区画化する取り組みが進められており、主要な生息地を法的・管理的に守ることが中核的な保全策になっている。
家畜との交雑防止家畜ロバとの交雑は、野生個体群の遺伝的独自性を損なう大きな脅威とされている。このため、野生個体群の周辺で家畜ロバの管理を強め、交雑機会を減らすことが重要な保護活動に位置づけられている。
放牧圧の軽減家畜との競合により、草や水場の利用が圧迫されることが問題になっている。そのため、放牧管理や水場利用の調整を通じて、アフリカノロバが利用できる資源を確保する対策が求められている。
狩猟・捕獲の規制食用や伝統医療利用、地域的な捕獲圧を抑えるため、法的保護と取締りの強化が必要とされている。特に残存個体群が少ないため、小規模な捕獲でも大きな影響を与えうる。
国際的な取引規制アフリカノロバは CITES 附属書 I に掲載されており、国際取引は原則として厳しく規制されている。国際的な保全協力の面では CMS でも対象種として扱われている。
地域社会との協働遊牧や家畜利用と生息地が重なるため、保全には地域住民との協力が欠かせない。近年の保全計画では、地元の利用実態を踏まえた行動計画づくりや参加型の管理が重視されている。
研究とモニタリング分布確認、個体数把握、行動や移動の解明を進めるため、野外調査と継続的なモニタリングが重視されている。特にエリトリアでの保全計画づくりや個体群把握に向けた調査強化が進められている。
保全行動計画の策定IUCN SSC Equid Specialist Group では、エリトリアにおけるアフリカノロバ保全行動計画の策定ワークショップが進められており、保護区設定、地域協働、調査強化を含む総合的な保全枠組みづくりが進行している。

出典

最後に

Questioner: With droughts getting worse due to climate change, they’re now competing with livestock for water and grass even more than they were back in 2014.

Me: The numbers are staggering—estimates show there are “fewer than 200” mature individuals left. Digging a bit deeper, I even found a report stating that “the population in Ethiopia has plummeted by 95% over the past 35 years.”

Questioner: That got me thinking… What about the temperature shifts from 2014 to now? Or more specifically, the changes in wet-bulb temperatures?

Me: I’ll definitely dive into the data from 2014 and check that out.

質問者:気候変動で干ばつが増えて、2014年のころよりも、家畜たちと水や草を取り合う状況になってきてるね。

私:成熟個体は「200頭未満」なんてびっくりする数字も出てきました。さらに調べていると「エチオピアでは過去35年間で個体数が95%減った」という報告がありますしね。

質問者:そこで気になったのが、2014年から今までの気温の変化というか、湿球温度の変化なんですよ。

私:そのあたり、2014年からのデータをちゃんと調べてみます。


項目内容要点
湿球温度が「死の指標」と呼ばれる理由:通常の温度(乾球温度)ふつうの気温として示される乾球温度は、「空気が何度あるか」を表す指標であり、日陰の温度計で測る一般的な気温に近い。高温でも空気が乾いていれば、汗の蒸発によって体温を下げられる余地が残る。乾球温度だけでは、生き物が実際にどれだけ体を冷やせるかまでは分からない。
湿球温度が「死の指標」と呼ばれる理由:湿球温度(WBT)湿球温度は、気温に湿度の影響を加味した「蒸発による冷却のしにくさ」を示す指標である。湿度が高いほど汗や呼吸による放熱が妨げられ、体温調節が破綻しやすくなるため、熱ストレスの危険度を評価するうえで重要視される。「暑さ」そのものより、「熱を逃がせない状態」を表しやすいため、致死的な熱環境の評価に使われる。
生き物ごとの「限界ライン」1人では長く理論上の限界として湿球温度35℃が語られてきたが、近年の実験研究では、若く健康な成人でもそれよりかなり低い条件で代償不能な熱ストレスに陥りうることが示されている。「35℃なら危険」ではなく、「35℃未満でも十分に危険」が現在の理解に近い。
生き物ごとの「限界ライン」2鳥類でも、最大耐容湿球温度が31.7℃前後と報告された例があり、恒温動物の熱限界は種や体格、湿度、行動条件によって異なる。哺乳類についても、単一の普遍的な閾値ではなく、種ごとの差が大きい。生き物ごとに限界は違い、しかも同じ種でも年齢、活動量、水分状態、日陰の有無で危険度が変わる。
生き物ごとの「限界ライン」3アフリカノロバそのものの湿球温度限界を直接示した公表研究は、確認できる範囲では乏しい。一方で、乾燥地の大型草食動物として、水分確保と放熱の両立が不可欠であり、熱と乾燥の複合ストレスに弱くなりやすい条件に置かれている。アフリカノロバに固有の数値閾値を断定するより、乾燥地での水不足と高熱負荷の複合影響として捉えるほうが正確である。
アフリカノロバを襲う「水と熱のダブルパンチ」:汗による水分の枯渇高温環境では体温調節のための蒸発冷却が重要になるが、それは同時に水分喪失を伴う。干ばつ下では水場そのものが減少し、さらに家畜との競合が起きるため、放熱に必要な水分確保が難しくなる。暑さへの対抗手段である「汗・呼吸による放熱」そのものが、水不足の環境では続けにくい。
アフリカノロバを襲う「水と熱のダブルパンチ」:「動けない」という死家畜による水場占有、土地利用の変化、移動経路の分断が進むと、アフリカノロバは暑さを避けて移動する自由を失う。熱い時間帯に安全な場所へ移れないことは、採食・飲水・繁殖のすべてを不利にする。熱そのものだけでなく、「逃げ場を失うこと」が生存率を下げる。
生態系への「多角的な」影響:「活動時間」の喪失高温化は多くの動物で昼間活動を制限し、採食、移動、繁殖行動を夜間や短時間に押し込める傾向を強める。乾燥地の大型哺乳類では、気温上昇と水場制約が重なると、利用できる時間と場所がさらに狭まる。暑さは単なる体調悪化ではなく、「行動できる時間」を削る。
生態系への「多角的な」影響:植物の枯死干ばつと高温は植物の生育・開花・繁殖を同時に損ない、乾燥地では餌資源そのものを減少させる。複合ストレス下では、栄養成長よりも繁殖成長が強く傷み、花数や花資源も減りやすい。草食動物にとっては「食べ物の量」と「質」の両方が落ちる。
生態系への「多角的な」影響:受粉の失敗高温と乾燥は花粉や蜜の量・質を低下させ、送粉者の訪花頻度も下げることがある。さらに、気候変動は植物の開花時期と送粉者の活動時期のずれを広げ、受粉成功率の低下につながる。植物が弱るだけでなく、植物と昆虫のタイミングのずれが再生産全体を不安定にする。
アフリカノロバの現状との接続アフリカノロバでは、狩猟圧に加えて、家畜との競争、干ばつ、生息地の断片化、家畜ロバとの交雑が主要脅威として整理されている。近年の東アフリカの深刻な干ばつは、こうした既存脅威をさらに増幅した。現在の危機は、単独の脅威ではなく、熱・水・土地利用・遺伝的圧迫が重なった複合危機である。

出典

Questioner: So it sounds like hunting used to be the main issue, but now you have livestock and wild African Wild Asses fighting over the shrinking waterholes and grazing lands caused by climate-driven droughts.

Me: It’s such a desperate survival situation. Honestly, interbreeding is probably the last thing on their minds right now. They’re likely just consumed with finding enough water and food to survive another day.

Questioner: By the way, at what point does a rising wet-bulb temperature actually start to affect living things—including us humans?

Me: That’s actually a pretty terrifying topic once you look into it. Let me pull up the data and I’ll break it down for you.

質問者:昔は、狩猟が主な原因だったみたいだけど、今は家畜と野生のアフリカノロバが、気候変動の干ばつで少なくなった水場や牧草を取り合ってる状態みたいだね。

私:もしかすると、そんな必死な状況だから、彼らからしたら交雑どころじゃなくて、目の前の水と食べ物のことで頭がいっぱいなのかもしれないですね。

質問者:ところで、湿球温度って、どれくらい上がると人間はもちろん、生き物に影響が出てくるんだろうね。

私:これ、知ると怖くなる話なんですよ。調べてから伝えます。


項目内容要点
湿球温度が「死の指標」と呼ばれる理由:通常の温度(乾球温度)乾球温度は、一般に「気温」として示される空気の温度である。空気が乾いていれば、たとえ高温でも汗や呼吸による蒸発冷却が働き、恒温動物は一定範囲まで体温を調節できる。乾球温度だけでは、「その暑さに耐えられるか」は分かりきらない。
湿球温度が「死の指標」と呼ばれる理由:湿球温度(WBT)湿球温度は、蒸発によってどこまで冷やせるかを反映する指標であり、気温と湿度の両方の影響を受ける。湿球温度が上がるほど汗や呼吸による放熱が効きにくくなり、体内に熱がこもりやすくなる。「どれだけ暑いか」ではなく、「どれだけ熱を逃がせないか」を示しやすい。
生き物ごとの「限界ライン」1人間では、かつて湿球温度35℃が理論的上限として広く引用されたが、近年の実験研究では、若く健康な成人でもそれよりかなり低い条件で代償不能な熱ストレスに達しうることが示されている。湿球温度35℃は「絶対安全線」ではなく、35℃未満でも危険は成立する。
生き物ごとの「限界ライン」2動物の熱限界は種ごとに異なり、体格、湿度、活動量、給水条件、日陰の有無によっても変動する。家畜や野生哺乳類では、単一の湿球温度だけで危険を一律に区切るより、熱収支の破綻、水分喪失、行動制限を合わせて評価するのが一般的である。生き物には共通の一本線があるのではなく、それぞれ異なる限界がある。
生き物ごとの「限界ライン」3鳥類でも、湿度上昇によって蒸発冷却効率が低下し、致死的高体温の危険が増すことが示されている。特に高温多湿条件では、同じ気温でも湿度が高いほど危険が大きい。高温だけでなく、高湿度の重なりが熱死リスクを押し上げる。
アフリカノロバを襲う「水と熱のダブルパンチ」:汗による水分の枯渇アフリカノロバは乾燥地への適応をもつが、それでも表面水へのアクセスは重要である。特に授乳中の雌は毎日の飲水が必要とされる。高温環境では蒸発冷却のための水分消費が増える一方、干ばつや家畜との競争で水場利用が難しくなる。熱を逃がすために水を使うが、その水そのものが不足している。
アフリカノロバを襲う「水と熱のダブルパンチ」:「動けない」という死乾季には水場周辺への依存が強まり、人や家畜が集中する場所ほど競争と攪乱が強くなる。高温下で移動・採食・飲水の自由が奪われると、体温調節も資源確保も同時に困難になる。単に暑いだけでなく、逃げ場と動ける時間を失うことが致命傷になる。
アフリカノロバを襲う「水と熱のダブルパンチ」:生息地との関係近年の研究では、アフリカノロバの適地は水源からの距離、降水、気温、人間居住地からの距離に強く左右される。乾季には適地がさらに縮小し、水場周辺の圧迫が強まる。熱と水の問題は、生息地の縮小そのものにつながっている。
生態系への「多角的な」影響:「活動時間」の喪失高温・高湿度条件では、多くの動物で日中活動が制限され、採食、移動、繁殖、子育てに使える時間が削られる。乾燥地の大型草食動物では、わずかな安全時間帯に行動を集中させる必要が生じる。暑さは体力を奪うだけでなく、生きるための時間そのものを奪う。
生態系への「多角的な」影響:植物の枯死植物は蒸散によって葉温を下げるが、高温や干ばつが重なると気孔調節が乱れ、光合成、成長、開花、結実が損なわれる。複合ストレス下では、栄養成長よりも繁殖成長が強く傷み、餌資源の量と質の両方が落ちやすい。草食動物にとっては、食べ物が減るだけでなく、再生産力の弱った植生しか残らなくなる。
生態系への「多角的な」影響:受粉の失敗高温や乾燥は花粉の生存性、蜜量、開花タイミング、送粉者の活動頻度に影響し、植物と送粉者の時間的ずれも拡大させる。結果として受粉成功率が低下し、生態系全体の再生産力が落ちる。熱ストレスは動物だけでなく、植物と昆虫のつながりまで弱らせる。
全体像アフリカノロバの危機は、狩猟だけで説明できる段階を超え、熱、乾燥、水場競争、生息地断片化、人為攪乱が重なった複合危機として理解する必要がある。「暑いから危ない」のではなく、「熱・水・土地利用の圧迫が同時に来るから危ない」。

出典

Questioner: If the wet-bulb temperature limit for livestock is around 26 to 29°C, and the Danakil Desert has been hitting numbers close to that recently… that means they’re already pushed right to the absolute brink, huh?

Me: Exactly. If it gets too dangerous for us humans, we can just step inside a building to cool off. Birds might be able to fly away to somewhere cooler. But wild African Wild Asses? Their only option is to find a patch of shade and just wait it out until the wet-bulb temperature drops.

Questioner: That reminds me of the news in Japan. When they warn that “you can still get heatstroke even if the temperature itself isn’t that high,” it’s because of that combination of high humidity, intense sunlight, and zero breeze, right?

Me: Yeah, I’ve actually experienced that firsthand. Back when I used to unload cargo over on the Pacific coast, there was a time I started feeling really sick—like borderline heatstroke—even though the thermometer didn’t look that high. Looking back on it now, the humidity must have been so high that my body literally couldn’t release its heat. Thinking about that… it’s honestly a little scary.


Thank you so much for taking five minutes out of your day to read this. I truly hope those five minutes reach the African Wild Ass in some meaningful way.

鶏人|Keijin

質問者:家畜の湿球温度の限界がだいたい26〜29℃くらいって話があるなら、もし近年のダナキル砂漠周辺がそれに近い湿球温度になってるとしたら、もう限界ギリギリってことだよね。

私:人間なら「ここ危ないな」って思ったら建物に入って冷やすとかできるし、鳥なら飛んで逃げられるかもしれないけど、野生のアフリカノロバは、日陰を見つけて、湿球温度が下がるのを待つしかないですからね。

質問者:それと、日本のニュースで「気温がそこまで高くなくても熱中症になります」って言うのは、湿度や日差し、風の弱さみたいな条件が重なるからなんだよね。

私:昔、太平洋側で荷下ろししてたとき、数字ほど暑くないのに気分が悪くなって熱中症っぽくなったことがありました。

いま振り返ると、湿度が高くて体の熱が逃げにくい条件だったんだと思うと、ちょっと怖くなりますね。

7–8月 平均気温(℃)7–8月 平均湿度(%)7–8月 推定WBT平均(℃)
201427.372.523.4
201526.574.022.9
201626.378.023.2
201726.978.023.8
201828.273.024.4
201926.376.022.9
202026.777.523.6
202126.778.023.6
202227.575.524.0
202329.075.025.4
202428.977.025.6
202529.073.525.2
2026(予想)28.87625.4

2030年の東京はどれだけ「蒸し暑く」なる?|7–8月の推定湿球温度(ざっくり予想)

7–8月 平均気温(℃)7–8月 平均湿度(%)7–8月 推定WBT平均(℃)ひとこと
2014(参考)27.372.523.4「普通に暑い」側
2025(参考)29.073.525.2「蒸し暑さ」が一段上がる
2030(予想)29.67626.2平均でも“しんどい側”が常態化しやすい

※2030年は、2014–2025の7–8月「月平均」から直線近似して外挿した概算です(都市の年ブレが大きいので誤差は出ます)。
※推定WBT(湿球温度)は、気温と相対湿度からの近似式(Stull, 2011)で計算した概算です。
※WBTは「同じ気温でも湿度で大きく変わる」ため、年・月・時間帯で上下します(この表は“平均の雰囲気”を見るためのものです)。

※気温・湿度は「東京」の7月/8月の月平均から算出。WBT(湿球温度)は近似式で推定した概算です(厳密値ではありません)。

Me: I put the data I found into a table, and looking at the monthly average WBT for July and August… “2014 ≈ 23.4°C → 2025 ≈ 25.2°C (roughly +1.8°C).” You can see it’s not some gentle curve—it’s spiking fast.

Questioner: Whoa, I get that it’s a sharp rise, but look at that “Summer 2030 Forecast” in the bottom table! An average temp of 29.6°C and an average wet-bulb temperature of 26.2°C?! And that’s just the average! Meaning the actual hot days will swing way higher. If we get more scorching days, or if they overlap with high humidity, we’re talking about days where the wet-bulb temperature pushes close to 30°C!

Me: True, though we can’t definitively say “an average of 29.6°C means 40+°C days will become the norm” just based on these average numbers alone.

Questioner: But still, if the baseline average is creeping up, it means brutal days for outdoor work are going to become more common. And when that high humidity hits, the WBT will shoot up and make the air feel completely suffocating.

Me: Right. And you know how the scientific community has long tossed around the idea that “a wet-bulb temperature of 35°C is the theoretical limit”? Well, recent physiological studies are actually redefining that. They’re finding that, depending on the conditions, it can be incredibly dangerous at much lower wet-bulb temperatures. Source: A physiological approach for assessing human survivability and liveability to heat in a changing climate

Questioner: Which means, considering 2030 is only four years away… saying “Japan will become uninhabitable” might be a stretch, but there will definitely be midsummer days where “living and working outside normally” becomes practically impossible.

私:調べたデータを表にしてみたんだけど、7–8月の月平均WBTは、「2014年 ≈ 23.4℃ → 2025年 ≈ 25.2℃(約 +1.8℃)」緩やかなカーブじゃなくて一気に上がってるのがわかるよね。

質問者:え?急上昇なのはわかるけど、その下の表の「2030年夏の予想」って、平均気温29.6度で、平均の湿球温度が26.2なの〜!

これって平均だよね。ってことは、暑い日はもっと上に振れるわけで、気温がかなり高い日が増えたり、湿度が高い日に重なると、湿球温度も30度近くまでいく日が出てきたりするってことじゃん。

私:ただ、「平均が29.6度=40度超えが当たり前」ってところまでは、平均の数字だけでは言い切れないみたいだけどね。

質問者:でもさ、平均がじわっと上がるってことは、外仕事のきつい日も増えやすいってことだし、湿度が高い日に重なると、湿球温度が一気に上がって息苦しくも感じるだろうね。

私:それで、科学の世界でもよく使われてきた「湿球温度35℃が理論的な限界」みたいな話があるんだけど、最近は生理学ベースで見ると、条件によってはそれより低い湿球温度でもかなり危険になり得る、って整理が進んでます。
出典:A physiological approach for assessing human survivability and liveability to heat in a changing climate

質問者:ってことは、2030年まであと4年しかないって考えると、「日本に住めなくなる」って断言は言い過ぎかもしれないけど、少なくとも真夏に「外で普通に暮らす・働く」ってことが困難になる日もあるかもしれないってことなんだろうね。


貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

アフリカノロバに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin


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